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住宅の耐震等級って何?等級の違いや調べ方を分かりやすく解説

2023.11.06

住宅の耐震等級って何?等級の違いや調べ方を分かりやすく解説

戸建てやマンションの耐震性は、目で見て分かるようなものではありません。

しかし、地震大国日本で家を買う以上、家族の安全を守るためには、気になる住宅が一定以上の耐震性を持っているのかどうかを見極める知識も必要不可欠です。

そこで今回は、住宅の耐震性能が一目でわかる「耐震等級」の区分や調べ方、耐震等級を上げるためのポイントなどを解説します。

耐震等級って何?

●「どれくらい地震に強い建物なのか」を示す全国共通の耐震指標

耐震等級とは、建物がどれくらい地震に強いのかを示す指標のことです。
日本の住宅は、地震への強さを判断する指標として、「耐震基準」と「耐震等級」の2種類を利用しています。

ただし、耐震基準は、あくまでも建築基準法で定められた必要最低限の耐震性能をクリアしているかどうかを見るためのもの。
耐震基準だけだと、法律上の基準をギリギリクリアしている住宅と、耐震基準よりも遥かに地震に強い住宅を見分けられません。
そこで、2000年に作られた品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で、より上位の耐震性能を認定できるように作られたのが、耐震等級なのです。

●耐震等級の区分は等級1・2・3の3種類

耐震等級は、耐震性能の高さに応じて、等級1・等級2・等級3の3種類に区分されています。
各等級の違いは、以下の通りです。

  • 耐震等級1:新耐震基準(建築基準法レベル)と同等の耐震性。震度6~7の地震が起きても倒壊はしない。
  • 耐震等級2:等級1の1.25倍地震に強い。学校や病院などの公的施設は耐震等級2以上が必須とされている。
  • 耐震等級3:等級1の1.5倍地震に強い。震度7の地震が複数回来ても、あまりダメージを受けない。

数字が大きくなればなるほど、耐震性能は上がっていきます。

●耐震性能を示す免震・制震と耐震の違い

免震や制震は、地震の揺れを軽減し、耐震性を上げる技術や構造のことです。
免震は、建物の基礎などに振動を吸収する免震ゴムなどを設置し、そもそも地震が起きても建物自体がなるべく揺れないようにすることを目指します。
一方の制震は、例えば壁などに揺れを吸収するダンパー等を設置し、建物の揺れを抑えることを目指す技術です。
古い住宅や高層マンションなどは、免震・制震の両方を駆使して耐震性を高めています。

耐震等級の調べ方

●不動産の持ち主や管理会社などに聞いてみる

耐震等級の一番簡単な調べ方は、不動産の持ち主や管理会社、売却を仲介している業者などに耐震等級を聞いてみることです。
相手側の手元に耐震性能や耐震等級の分かる書類、たとえば、住宅性能評価書などがあれば、教えてもらえます。
もし、問い合わせても耐震等級が分からない場合、建物が何年に建てられたかを聞きましょう。
1981年6月1日以降に建てられた家は、新耐震基準をクリアしているため、少なくとも耐震等級1以上の耐震性があると判断できます。

●耐震診断を受ける

耐震診断は、名前の通り建物の耐震性能を調べる検査のことです。
住宅性能評価書や耐震等級といった制度ができる前、2,000年以前に建てられた住宅は、「建築基準法をクリアしている」という証明しかないので、細かい耐震性能がわかりません。
しかし、専門の機関に耐震診断を頼めば、住まいの耐震等級を調べてもらえます。

費用の目安は、木造住宅で10~20万円。
マンションだと建物全体を診断する必要があり、持っている部屋、または買いたいマンション一室だけの診断ができないので、マンションの耐震診断を受けるときは、管理組合の同意が必要です。

建物の耐震等級を上げるために必要な要素

●建物の重量を軽くする

軽い建材やしなやかな建材を使って家を建てると、地震が起きた時の揺れが小さくなります。
たとえば、コンクリートは高重量で頑丈ですが、重くて固い素材は揺れを逃せないため、大きな地震が起きたり複数回の地震が来たりすると、ひび割れ等の深刻なダメージが残りやすいです。
しかし、木材は鉄骨やコンクリートに比べてある程度軽く、しなるので、地震が起きても大きく損傷する心配がありません。

●家を支える耐力壁の数を増やす

耐力壁は、地震の横揺れや台風等の強風など、横からの力が加わっても壊れづらい壁のことです。
地震が起きると、縦揺れと横揺れの両方が発生します。
縦の力、つまり高重量にのみ耐えられる構造は、大きな横揺れに耐えられず、途中で折れてしまうリスクがあるため、耐震性を高めるためには耐力壁を増やすことが重要です。
基本的には、耐力壁を増やせば増やすほど耐震等級が上がりやすくなります。

●耐力壁や耐震金物をバランス良く配置する

耐震性の向上を考える上で、重要なのが耐力壁やはり・柱などを固定する耐震金物の配置です。
単に耐力壁の数を増やしても、どこか一箇所に耐力壁が固まっていると、建物全体の耐震性は確保できません。
構造計算を行い、地震が起きたとき大きな負荷がかかる場所や、家族が過ごす寝室を中心にバランス良く強化すると、耐震等級が高くなります。

●壁や屋根だけでなく床の耐震性能も底上げする

住宅は弱い部分から壊れるので、耐震等級2以上を目指すなら、壁や屋根だけでなく床の強化も必要です。
耐力壁を複数配置しても、床の強度が足りないと地震が起きたときに床が抜けてしまいます。
そのため、たとえば床材として剛性の高い構造用合板を利用したり、できるだけ吹き抜け等を作らず、大きな荷重に耐えられるように床面積を確保したりすると良いでしょう。

耐震等級の注意点

●耐震等級にこだわり過ぎると住み心地が悪くなる

耐震等級は、住宅の耐震性能が一目でわかる、非常にわかりやすい指標です。
ただし、耐震等級が高くなるにつれて、窓のサイズが小さくなったり、はりや柱が太くなったりします。
基本的に、耐震等級を追い求めていけばいくほど間取りの自由度が減り、住宅の住み心地が悪くなってしまうので、耐震等級にこだわり過ぎるのはおすすめできません。

●新築住宅を買うときは耐震等級の指定が必要

家を新築するとき、「耐震等級2以上の家を建てたい」といった要望がある場合は、設計の時点で耐震等級を指定する必要があります。
なぜなら、耐震等級を指定しなかった場合、施工を頼むハウスメーカーや工務店の基準で耐震性を含めた仕様が決まるからです。
耐震等級1で設計された住宅を、後から耐震等級2に上げるのは大変なので、あらかじめ施工会社と意見をすり合わせておきましょう。

●「耐震等級2相当」=「耐震等級2」とは限らない

ハウスメーカーや工務店が手掛ける住宅の中には、「耐震等級2・3相当」と記載されているものがあります。
これは、耐震等級を出してもらうために必要な住宅性能評価を受けずに、耐震等級2や3と同等の耐震性を持つよう設計するという意味です。
第三者機関によるチェックを受けるわけではない以上、耐震等級2相当と書いてあっても、実際に耐震等級が2あるのか素人には判断できません。
確実に耐震性を高めたいなら、住宅性能評価を受けましょう。

まとめ

耐震等級は、住宅の耐震性能を3段階で示す全国共通の耐震指標です。
耐震等級が1から3に上がると、住まいは1.5倍地震に強くなります。
耐震等級が何なのかによって、住宅の耐震性は大きく変わってくるため、家を買うときは耐震等級を気にしましょう。

ただし、耐震等級を上げれば上げるほど、間取りの自由度や住み心地は制限されてしまいます。
家を買うときは、住みやすさやコストとのバランスを考えて、耐震等級を決めることが大切です。

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