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断熱材にはどんな種類がある?断熱材の役割とメリット・デメリット

2020.10.13

断熱材にはどんな種類がある?断熱材の役割とメリット・デメリット

住まいの断熱性を高め、快適な住空間を作るために必要なのが断熱材です。

ただ、一口に断熱材といっても複数の種類があり、それぞれ材質や性能が違います。
断熱材の特徴や、効果を発揮する設置箇所を理解していないと、「高い断熱材を選んだはずなのに、思ったよりも断熱性を感じない」「コストを抑えるために断熱材を安いものにしたら、部屋が暑くて(または寒くて)我慢できない」といったことにもなりかねません。

この記事では、一般的な断熱材の種類と、各断熱材のメリットやデメリットをご紹介します。

断熱材の役割は快適な住空間を保つこと

住宅における断熱材の役割は、熱を遮断すること。
寒すぎる家・暑すぎる家では、快適に暮らしていけません。
住宅建築に使われるコンクリートや金属、窓ガラスといった素材は、外気温をそのまま内部に伝えてしまうので、快適な室温を保つためには断熱材が必要不可欠です。

新居の居住性は、断熱性次第といっても過言ではありません。
だからこそ、家を買うなら断熱材の特徴を知っておくことをおすすめします。

断熱材は材質によって4つに分類できる

断熱材の分類は、大きく分けると以下の4つです。

  • 無機繊維系
  • 木質繊維系
  • 天然素材系
  • 発泡プラスチック系

文字から想像できる人も多いと思いますが、上記の分類は「断熱材の材質」に注目した分け方です。
鉱物を薬品で溶かして繊維状にしたもの、樹脂などを加熱してビーズ状にしたものなど、製法や断熱材としての形もそれぞれ大きく違います。

断熱材9種類の特徴を紹介

今回ご紹介する断熱材は、以下の9種類です。

<無機繊維系>
・グラスウール
・ロックウール

<木質繊維系>
・セルロースファイバー

<天然素材系>
・羊毛(ウールブレス)
・炭化コルク

<発泡プラスチック系>
・ポリスチレンフォーム(ビーズ法)
・ポリスチレンフォーム(押出法)
・硬質ウレタンフォーム
・フェノールフォーム

それぞれの特徴を見ていきましょう。

●グラスウール

ガラスを溶かし、繊維状に加工した断熱材です。
細かく絡まりあった繊維の間に空気の層ができることで、内外の温度をシャットアウトできるようになっています。
そんなグラスファイバーの特徴は、ガラスという素材の性質ゆえに燃えづらいこと。
価格も安く、断熱材として大量に利用されているので、入手しやすいのも強みです。
ただ、湿気を吸着できないので、壁にわずかな隙間が開いていたり防湿対策がおろそかになっていたりすると、結露が生じて周りの建材を腐食させてしまう可能性があります。
とはいえ、隙間ができないよう丁寧に施工し、防湿シートなどを利用して湿気対策を施せば、とくに問題にはなりません。

●ロックウール

ロックウールは、ガラスとは違った素材の鉱石を砕き、同じく繊維状にまとめたもの。
基本的な性能や使い方は、グラスウールと同じです。
アメリカや日本で広まっているグラスウールと違って、主にヨーロッパで利用されています。
無機繊維系は、どちらにも板状やスポンジ状といったさまざまな形状があるため、壁の中や屋根裏、軒下など幅広い場所で活用されている断熱材です。

●セルロースファイバー

木質繊維系の断熱材は、主に使い道のなくなった古紙などを再利用して作られています。
グラスウールやロックウールといった無機繊維系の断熱材に比べ、木が原料なので密度が高く、ある程度の防音効果を期待できるのがポイントです。
断熱性能が最も優れているわけではありませんが、そこそこの価格で無機繊維系の断熱材と同等の断熱性を持つため、新居の素材にこだわりたい人から人気を集めています。

●羊毛(ウールブレス)

名前の通り、羊毛を使った断熱材です。
天然素材を使っているため、虫対策をしたうえでロール状にまとめたものが販売されています。
羊毛自体にある程度の調湿作用があることから、別途防湿シートを設置する必要がなく、多少施工費用を節約できるのが強みです。
ただし、羊毛は繊維系断熱材に比べて価格が高いため、コストパフォーマンスがあまり良くありません。

●炭化コルク

コルクボードなどに使われている、コルクを炭化するまで焼いて固めた断熱材です。
コルクは、コルクガシという木の皮を砕いたものなので、木材特有の調質作用を持っています。
また、コルクには「スペリン」と呼ばれる天然の防虫成分が含まれているため、ダニなどの侵入を防ぐ効果を期待できるのもポイント。
接着剤を使わずに作られている製品が多く、ホルムアルデヒドなどの化学物質が含まれていないため、アレルギーのリスクも低いです。
ただし、優良なコルクは世界的にも量が減ってきているとされており、端材を使っても材料費がかさんでしまうので、繊維系・発泡スチロール系断熱材よりも予算がかかります。

●ポリスチレンフォーム(ビーズ法)

ポリスチレンフォームとは、いわゆる「発泡スチロール」のことです。
ポリスチレンという樹脂に、燃えづらくするための薬品等を加え、ビーズ状に発泡させたものを固める「ビーズ法」という手法で作られています。
非常に軽量で水を吸わず、家の形状に合わせて切り出すのも簡単なので、ボード状のポリスチレンフォームは様々な住宅で使われているメジャーな断熱材です。
ただし、発泡スチロールは、ガラスや鉱物でできた無機繊維系の断熱材より火・熱に弱いので、キッチン周りなどには利用するのはおすすめできません。
ボヤを起こしたり、熱を受けたりした際、発泡スチロールは熱で縮みます。
壁自体が無事でも、内部の断熱材が収縮していると、本来の断熱性を発揮できません。
なお、製法の関係上、Expanded Poly Styreneの頭文字を取って「EPS」とも呼ばれています。

●ポリスチレンフォーム(押出法)

ポリスチレン樹脂を発泡させて固めているという意味ではビーズ法のポリスチレンフォームと同じですが、押出法のポリスチレンフォーム(XPS)は、EPSよりも断熱性が高くて固いです。
両者の違いは、樹脂を発泡させる手順の差から来ています。
押出法の場合、EPSよりもビーズのサイズが小さく、ビーズとビーズの間に大量の隙間ができるため、EPSより断熱性が高いです。
とはいえ、熱に弱いという樹脂の特徴は、EPSもXPSも変わりません。

●硬質ウレタンフォーム

ポリウレタン樹脂にいくつかの素材や発泡剤を加えて、ボード状に成形した断熱材のことです。
ウレタンのイメージができない人は、いわゆる低反発タイプのクッションや枕などを思い浮かべてもらえるとわかりやすいでしょう。
ウレタンフォームには、現場で直接断熱の必要な場所に吹き付けて固まるのを待つタイプもありますが、硬質ウレタンフォームは板状の製品だけです。
使用率でいえば、サイズ合わせの必要がない吹付け式の方が利用されています。

●フェノールフォーム

フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤等を混ぜて固めた断熱材のこと。
フェノール樹脂は「熱を加えると固まる」という性質を持っているため、他の発泡スチロール系断熱材よりも火に強いです。
発泡スチロール系断熱材の利用を考えていて、防火性を重視したい場合は、フェノールフォームを選ぶと良いでしょう。
仮に火がついても有害なガスがほとんど出ないので、比較的安心して利用できます。
ただし、値段は安くありませんし、加工がしやすくても柔軟性があるわけではないので、細かい部分を埋めるといった用途には向きません。

無機繊維系断熱材を選ぶメリット・デメリット

グラスウールやロックウールといった無機繊維系断熱材のメリットは、コストパフォーマンスの良さです。
鉱物由来の製品なので火災や熱等の被害にも強く、世界的に使われている断熱材なので安価に利用できるというメリットがあります。

しかし、向き繊維系断熱材は、湿気を吸収しないので湿気対策が必須ですし、肌に触れたり吸い込んだりすると人体に有害な影響が出る可能性もあるため、取り扱いには注意を払いましょう。

木質繊維系と呼ばれる断熱材のメリット・デメリット

セルロースファイバーを使うメリットは、断熱性だけでなく、多少の防音性や調湿作用も期待できることです。
また、天然素材を使っているため、ナチュラル志向で家を建てたいという人にも向いています。

ただし、無機繊維系断熱材に比べるとコストは高くなるので、予算に余裕を持たせておいた方が良いでしょう。
質量が高く、大量に使うとその分高い調質作用を期待できるので、過ごす時間の長いリビングにはセルロースファイバーを選ぶといった使い方もおすすめです。

天然素材系に分類される断熱材のメリット・デメリット

羊毛や炭化コルクといった天然素材系の断熱材は、防虫効果や調湿作用も見込めます。
比較的柔らかい羊毛は、細かい部分にもカットして敷き詰められるので、狭小住宅では大いに活躍してくれるでしょう。
とはいえ、繊維系断熱材や発泡スチロール系断熱材に比べると、供給量が少ないため予算が高くなりがちです。
予算によっては、選べない場合も出てくるでしょう。

発泡プラスチック系断熱材を使うメリット・デメリット

水気を弾き、軽くて加工しやすい発泡スチロール系断熱材は、比較的安価で加工もしやすいので、使いやすい断熱材の一種です。
日本ではボードタイプよりも吹き付け式のものが一般的なので、隅々まで断熱材を充填できます。
一方で、難燃性のフェノールフォーム等以外は熱に弱いので、使う場所は選びましょう。
特に、硬質ウレタンフォームは、細かい部分への適応が苦手です。

まとめ

新居に使う断熱材によって、住まいの快適さや空調の効率が大きく変わってきます。
ただし、断熱材は安くてお得なら良い、高ければ良いというわけではありません。
材質によって燃えやすさや防音性、吸湿性能も違うため、予算や場所に合わせて適切な断熱材を選ぶことが重要です。
断熱性の低い家は、結露が起きやすいため劣化も早く進みます。
家を長持ちさせるという意味でも、家を買うなら断熱材の種類と設置場所にこだわりましょう。

 

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