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マンション・アパートの騒音問題はなぜ起きる?良くある原因と対処法

2017.04.21

マンション・アパートの騒音問題はなぜ起きる?良くある原因と対処法

集合住宅を選ぶなら、騒音トラブルに巻き込まれたり、根深いご近所トラブルに発展したりしても対処できる知識が不可欠です。
なぜなら、隣家との距離が近い集合住宅に住む以上、騒音トラブルを100%防ぐのは不可能だから。
どれだけ騒音に気を使っていても、後からうるさい住民が引っ越してきたら、騒音トラブルを回避できません。

そこでこの記事では、マンションやアパートで騒音トラブルが起きる理由や、騒音の基準、騒音トラブルに強い家の選び方、騒音トラブルの対処法などを解説します。

マンション・アパートで騒音トラブルが起きる理由

●戸建てに比べて隣人との距離が近いから

一戸建てに比べて、マンションやアパートの騒音トラブルが目立つのは、単純に隣人との距離が近いからです。
マンションやアパートは、壁一枚、天井ひとつ挟んだ先に別の住人がいます。
一戸建てなら、隣家との間に距離があるため、騒音も大幅に減衰されますが、マンションやアパートは距離が近い分、同じ音量でもうるさく感じてしまうのです。

●壁・床・天井・配管を伝って音が響くから

マンションやアパートで騒音トラブルが起きる要因としては、壁・床・天井・配管などを伝って音が響くことも影響しています。
家の外から入ってくる音や自分の家から出る音であれば、多少うるさくても、窓を閉めればある程度の防音が可能です。
しかし、マンション内の振動音は、壁や配管経由で伝わるため、そう簡単には防げません。
また、現代のマンションやアパートは気密性が高く、部屋を閉め切っていれば静かなので、少しの騒音が気になりやすいという事情もあります。

騒音トラブルの元になる音とは

●空気伝播音

空気伝播音(空気音・空気伝搬音とも呼ばれる)とは、空気の振動によって聞こえてくる音のこと。
簡単にいえば、テレビの音や人との会話、子どもの笑い声、車のクラクションなど、耳を塞ぐと小さくなる音のことを指します。
周波数の関係上、空気伝播音は、物理的に距離を取ったり何かの物体を通過したりすると小さくなるので、マンション・アパートの窓に内窓を付けたり、防音グッズで壁に防音対策を施したりするだけで対処可能です。

●個体伝播音

個体伝播音(固体音・固体伝搬音とも)は、足音や勢い良くドアを開け閉めしたときの音など、建物の壁・床・天井などを伝ってくる振動音を指します。
身近な例でいうと、カラオケ店で、扉を閉めて部屋の外にいても伝わってくる重低音が、個体伝播音です。
個体伝播音を防ぐためには、防振ゴム等を使い、振動そのものを吸収する必要があります。
空気伝播音の対処だけをしても、個体伝播音は防げないので、マンション・アパートの騒音対策は、空気伝播音と個体振動音両方の対処が必須なのです。

うるさいと感じるのはどこから?意外と知らない騒音の基準

一般人は音量(デシベル=dB)を計測する機械を持っていないので、騒音に悩まされていても、「管理会社に相談しても良いのか」「気にしているのは自分だけなのでは」と抱え込んでしまうことも少なくありません。
そんなとき参考になるのが、環境庁によって定められた「騒音に係る環境基準」です。
大雑把に説明すると、一般的な住宅地の場合、日中55dB、夜間45dBを超える音が出ていたら、騒音とみなされます。※1
静まり返った図書館の中や、夜の住宅地が大体40dB、お店や役所の中が55dB前後なので、「家の中にいるのに、買い物や外食で店内にいるときくらいうるさい」と感じるかどうかで、騒音かどうかを判断すると良いでしょう。

※1 環境省:騒音に係る環境基準について
https://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html

マンション・アパートで起きる騒音トラブルの代表例

●足音やドアの開閉音

足音やドアの開閉音、椅子を引きずったときの音は、騒音トラブルの代表例です。
基本的に、生活音は本人が大きな音を出そうとしている訳ではなく、無意識に出てしまっている音なので、管理会社にクレームを入れないと、なかなか気付いてもらえません。
また、足音などは個体伝播音なので、音を出している側に防音対策をしてもらわないと、防ぐのが難しいです。

●話し声・笑い声

話し声や笑い声も、マンション・アパートの騒音トラブルの原因として良く挙げられます。
複数人で集まって宴会をしていたり、電話をするとき窓を開けていたり、夜中にゲームや配信で喋っている方がいたりすれば、迷惑に感じるのは当然のこと。
ただ、直接文句を伝えに行くと、余計にこじれてしまうので、耳栓などを使った対処した上で、我慢できない場合は管理会社に注意してもらいましょう。

●子どもの夜泣き・騒ぎ声が気になる

赤ちゃんの夜泣きや、やんちゃ盛りのお子さんの騒ぐ声などが一日中、止まず、ノイローゼになってしまう方も多いです。
とはいえ、大人が出す音はともかく、小さなお子さんの出す音に関しては、短期間でどうこうできるものではありません。
特に、赤ちゃんは泣くのが仕事といわれるくらいです。
子どもの声が気になる場合は、自宅の防音性を高めて、静かな空間を作りましょう。

●テレビの音量や楽器の演奏音が大きい

テレビや楽器の練習、掃除機・洗濯機を使うときの音なども、騒音トラブルの良くある原因です。
多くのマンションやアパートでは、夜間の騒音トラブルを防ぐため、管理規約で楽器の練習時間等がある程度、制限されています。
これらの音が気になる場合、集合住宅の規約を守れているか確認してから、相手に改善を求めたり、音量や練習時間を抑えてもらったりすると良いでしょう。

ポイントは受忍限度!騒音が法的な問題になるラインとは

●マンション・アパートの騒音を罰する法律はない

実は、日本には、「これ以上の音を出してはいけない」「◯dB以上の騒音を出したら罰金刑に処す」といった法律がありません。
なぜなら、同じ音量でも、騒音は発生源から数メートル離れただけで音の感じ方が変わってしまうからです。

不法行為として認められるのは、
・深夜に敷地内で騒いで迷惑をかける
・嫌がらせのために大きな音を出している
など、迷惑行為として市区町村の条例違反になるケースに限られます。

訴えても勝つのが難しいからこそ、騒音トラブルの対処は慎重に進めることが重要です。

●受忍限度を超えた騒音なら損害賠償を請求できる場合も

騒音が受忍限度を越えている場合、相手を訴えて損害賠償を取れる可能性があります。
受忍限度とは、社会通念上、生きていればお互いに迷惑をかけるのだから、ある程度は迷惑をかけられても我慢しましょう、という考え方のことです。
騒音計で音量を計測し、環境基準や条例の騒音規制よりも大きな音が出ていたら、裁判で勝てる可能性が出てきます。
ただし、相手を訴えて勝てるかどうかは、受忍限度だけでは決まりません。
環境基準より小さな音で損害賠償が認められることもあれば、環境基準より大きな音で損害賠償を認められない場合もあります。
騒音トラブルで相手を訴える場合、「騒音計の結果を見せて対応を求めたのに、誠意のある対応をしてくれなかった」といった証拠も必要です。

騒音トラブルに悩まされる心配の少ないマンション・アパートの選び方

●鉄筋コンクリート造で壁や床が分厚い物件を選ぶ

木造や鉄骨造の建物は、音が響きやすく遮音性も低いので、防音性を重視するなら鉄筋コンクリート造の物件をおすすめします。
ただし、鉄筋コンクリート造の中にも、壁が薄い物件があるため、注意が必要です。
そこで、マンションやアパートを選ぶときは、不動産業者や管理会社に物件の図面を見せてもらいましょう。
部屋と部屋を区切る壁や床、天井が分厚い物件、内窓や二重窓付きで窓の防音性が高い物件等を選べば、生活音を気にすることなく過ごせます。

●昼間だけでなく夕方・夜に内覧する

防音性の高いマンション・アパート探す場合、日中だけでなく夕方や夜にも内覧しましょう。
基本的に、日中は住民が出払っているため、話し声や生活音がどの程度、聞こえるのかを判断できません。
住民の多くが帰ってくる時間帯、自分が家で過ごす時間帯に内覧を行い、音や振動をチェックすれば、騒音トラブルに巻き込まれるリスクを下げられます。

騒音トラブルの予防と対策

●防音グッズを活用したり防音工事をしたりする

マンション・アパートで騒音トラブルから身を守る最も確実な方法は、防音性を高めることです。
たとえば、二重窓にして遮音性を高めたり、壁に遮音シートや吸音材を貼ったり、防音カーテンを使ったりすれば、外からの音も自分が出す音も減らせます。
また、分厚いカーペットを敷いたり、本棚などの大型家具を壁際に配置したりするのもおすすめです。
耳栓や、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなどを使っても良いでしょう。
お金に余裕があれば、防音室を購入して設置するという手もあります。

●管理会社に相談する

すでに騒音トラブルに悩まされている場合は、管理会社に相談しましょう。
直接クレームを入れに行ったり、騒音の仕返しとして壁や天井を叩いたり、張り紙をしたり手紙を書いたりすると、相手とトラブルになってしまうからです。
マンションの騒音は、壁や配管等を伝ってきます。
上からの音だと思っていたら、実は斜め上の住民が原因で、違う相手に難癖を付けていたという事態になることも考えられます。

なお、騒音に関しては、限界まで我慢するとノイローゼになり、僅かな音にもストレスを感じるようになってしまうので、早目に相談することが大切です。
余裕がある内に相談すれば、相手が少し音に気を付けてくれるだけで、騒音が気にならなくなる場合もあります。

まとめ

マンションやアパートは、隣人との距離が物理的に近いため、一戸建てよりも騒音トラブルが起こりやすいです。

ただし、同じ集合住宅に住んでいる以上、ある程度はお互い様なので、我慢も求められます。
自分では気付いていないだけで、自分がほかの住民にとって騒音の発信源になっているケースも少なくありません。
騒音問題は、相手を訴えても勝つのが難しいため、防音性の高い物件を選んだり、できる範囲で防音対策を施したり、早めに管理会社に相談したりして、音が気にならない環境を作りましょう。

 

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