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安ければ良い?中古マンションを購入する前に修繕積立金のチェックを!

2021.12.29

安ければ良い?中古マンションを購入する前に修繕積立金のチェックを!

中古マンションを購入するときは、修繕積立金の額や現時点の積立額を確認した上で買うかどうかを考えましょう。

修繕積立金は、マンションを買ってから手放すまで継続的にかかる維持費です。
一見すると修繕積立金は安い方がお得に感じますが、物件によっては結果的に高額な修繕費を徴収される場合もあるため、修繕積立金は安ければ良いというものでもありません。

ここでは、中古マンションの購入時における修繕積立金の見方を解説します。

修繕積立金とは

●大規模修繕工事に備える積立金のこと

修繕積立金とは、不動産の状態を健全に維持するメンテナンスや修繕工事を行うため、マンション各戸の所有者から徴収する積立金のことです。
各部屋の中で起きたトラブルに関しては、マンションの住人がそれぞれのお金で対処できますが、廊下や外壁、給排水管といった共有部分の修繕工事等は個人で好きにできる規模ではありません。
そのため、管理組合がマンションの住人からお金を集め、積み立てた資金から必要なお金を出すという形式になっています。

頑丈に見えるマンションも、外壁の塗装や防水工事は10年程度で劣化してきますし、築15年や25年ほど経過してくると給排水管の取り替え工事等も必要です。
大規模修繕工事と呼ばれるこれらのメンテナンスには、数百万円単位のお金がかかります。
国土交通省のガイドラインでも、おおよそ12年に一度大規模修繕工事を行うよう推奨されているため、マンションを買ったら修繕積立金の支払いも必須になると考えておきましょう。

●マンションによって修繕積立金の金額は違う

なお、修繕積立金の金額はマンションによって違います。
これは、各マンションの規約がすべて管理組合ごとに異なるからです。
同じような価格・間取りで売り出されているマンションでも、管理組合によって修繕積立金が十分に確保されていたり、逆に管理組合が機能しておらず修繕積立金が不足していたりすることもあるため、気をつけましょう。

たとえば、大規模修繕工事の見積額が500万円となり、修繕積立金が250万円しかない場合、残る250万円は中古マンションの住民から別途徴収する必要が出てきます。
空き室が多かったり、支払いを拒否する所有者がいたりすると真面目に修繕積立金を支払う所有者が大きな金銭的負担を受けることになってしまうのです。

工事の発注に必要な金額を用意できなければ、メンテナンスなしで共有部分が放置されることになります。
塗装が剥げて見た目が悪くなったり、壁にヒビが入って雨水が建物の内部に浸透してきたりすると、将来的に中古マンションを手放したいと思っても良い価格で売れません。
それどころか、頻繁に排水口が詰まる等の不具合が起きて生活自体がしづらくなることも考えられます。
居住空間としての快適さを維持するためにも、修繕積立金の負担は必要です。

●マンションは古くなればなるほど修繕積立金が上がっていく

中古マンションを購入する際に覚えておいて欲しいのが、修繕積立金の値上げについて。
修繕積立金は、マンションの築年数が経過していけばいくほど値上がりしていきます。
主な理由は2点で、ひとつは古くなるにつれて問題の起きる箇所が増えてしまうこと、もう一つが入居者の減少による積立金不足問題です。
古い物件は賃貸や持ち家としての需要も下がってしまうため、古くなるほど住人が減ってしまうのが一般的。
立地が良く修繕積立金の額も十分にあり、満室状態が続くごく一部の人気中古マンションを除くと、多くの物件は将来的な修繕積立金の増額を避けられません。

実際、中古マンションの場合、「今度修繕積立金が高くなるから」という理由で売り出されるケースも多いです。
中古マンションの購入後すぐに修繕積立金が値上がりすれば、当然当初考えていた住居費よりも大きな負担を背負うことになるので、中古マンションに手を出すときは「修繕積立金の値上がりタイミングはいつなのか」も考えておく必要があります。

修繕積立金が安いのはいいことなのか?

●長期的に見るとデメリットの方が多い

中古マンションの物件広告を見比べていると、修繕積立金の安い物件とそうでない物件があることに気がつくでしょう。
単純に考えれば、修繕積立金は家賃に上乗せして支払う費用なので、安いに越したことはありません。
しかし、修繕積立金の安い物件は、長期的に見ると後々大きな負担が増えてしまう可能性が高いです。

そもそも、修繕積立金の安い物件が出回っているのは、新築時点の入居率を高めるためです。
新築や築浅に近い状態であれば大きな不具合が出る可能性は低いですし、少なくとも築12年程度までは大規模修繕工事をする必要がないので、新築マンションだと修繕積立金を値下げして集客するという手が使われています。

ただし、こういった物件は大規模修繕工事までに十分な積み立てができておらず、修繕積立金を値上げしたり、別途修繕費の負担を求めてきたりする可能性があるのです。
修繕積立金が安くても、結局は所有者である自身の負担が増える可能性が高いため、中古マンション売買では必ずしも修繕積立金が安いほうが良いとはいえません。

●修繕積立金は金額よりも計画的に蓄積されていることが重要

修繕積立金に関しては、金額がいくらなのかを気にするよりも、「長期的な修繕計画を立てているのか」「そのために必要な金額を計算して修繕積立金を設定しているのか」「修繕積立金の積み立て状況は問題なく進んでいるのか」を確認することが重要です。
修繕積立金が月2万円のマンションであっても、たとえば機械式の駐車場にジムやレンタルオフィスといった共用設備が充実しており、それら設備の整備にお金がかかるといったように、事情を説明できる管理会社や管理組合がいるなら問題はありません。
修繕積立金が十分にプールされており、大規模修繕工事を始めとした建物のメンテナンスが行き届いている中古マンションを選べば、長期間快適な暮らしを送れます。

修繕積立金算出の目安・十分かどう判断するのか

●国土交通省のガイドラインから算出する

修繕積立金の目安額は、国土交通省のガイドラインを参考にすれば個人でも計算可能です。
2021年9月に改訂されたガイドラインでは、マンションの階数と建築延床面積に応じた1平方メートルあたりの修繕積立金額を算出しています。
たとえば、高さ20階未満で建築延床面積が5,000平方メートル~10,000平方メートル未満のマンションを購入した場合、1平方メートルあたりの修繕積立金額は170円~320円です。※1

購入を検討しているマンションの床面積が50平方メートルなら、修繕積立金が月々8,500円~16,000円の範囲内であればおおよそ適正な設定をしていると判断できます。
国土交通省のガイドラインでは、調査した事例の3分の2が該当するラインとして上記の数値を公開していますが、物件によって築年数や大規模修繕工事にかかる費用が違うため、参考として計算してみると良いでしょう。
計算した修繕積立金の目安額よりも実際に請求される修繕積立金の額が安い場合、新築の時点で入居率アップを狙って修繕積立金を下げている、つまり修繕積立金の必要残高不足に陥っている可能性があるといった判断もできるようになります。

●マンションの設備によっては高く見積もっておく

なお、マンションの設備によっては、国土交通省のガイドラインよりも大幅に修繕積立金の額が上がってしまうため、調整が必要です。
具体的には、機械式駐車場があるかどうかが大きなポイントになります。
省スペースで大量の車を駐車できる機械式駐車場は、構造が複雑なのでメンテナンス費用が非常に高額です。
そのため、機械式駐車場が付帯設備として用意されている場合、機械1台あたり月々4,645~7,210円ほど修繕積立金が高くなります。※1
修繕積立金は、「全員が利用できる設備の修繕費」なので、自家用車を持っておらず駐車場を使っていなくても加算されてしまうケースが多いです。

機械式駐車場の維持費を捻出できず、故障したまま放置されている中古マンションも少なくありません。
出費を抑えたい場合は、機械式駐車場のない物件を選んだ方が良いでしょう。

※1 マンションの修繕積立金に関するガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf

中古マンション購入時に要チェックの項目

●物件全体の空室率

修繕積立金を考慮した中古マンション選びでは、物件全体の空室率に注目することをおすすめします。
空室率の高いマンションは、大規模修繕工事に必要な額の積み立てができていない可能性が高いです。
特に、大規模修繕工事が必要となる築10年や20年程度の段階で多数の部屋が空いている場合、短期間で修繕積立金を埋め合わせるためには値上げや一時金の支出が必要になります。
短い期間で満室になるとは考えづらいため、空室率の高い物件には注意した方が良いでしょう。

●長期修繕計画の有無と進捗

長期修繕計画があるのか、必要額に対してどの程度残高のプールが進んでいるのかもチェックしたい項目です。
多少空室があっても、現在の入居率で大規模修繕工事までに必要額が揃うのであれば、入居直後に修繕積立金が値上げされるといった事態にはならないでしょう。
また、マンションの区分所有者に滞納者がいるか、過去の修繕工事は問題なく行われているのかなどもポイントです。
残高不足のリスクを回避できる中古マンションを選びましょう。

まとめ

中古マンションを購入するときは、修繕積立金の安い物件ではなく、将来的に修繕積立金の負担が増えづらい物件を選ぶことが大切です。
修繕積立金が安く見えても、入居直後に値上がりしたり、大規模修繕工事用の資金が足りずに一時金の支払いを求められたりすると家計の負担が増えてしまいます。
大規模修繕工事の実施は、中古マンションの資産価値を守り居住性を確保するためにも欠かせない要素。
空室率が低く、修繕積立金の残高が十分プールされている物件を見極めましょう。

 

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