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住宅ローンは夫婦で組める?収支合算や夫婦ペアローンのメリット・デメリット・注意点

2021.06.02

住宅ローンは夫婦で組める?収支合算や夫婦ペアローンのメリット・デメリット・注意点

通常、ローンの契約者は申込人一人です。
しかし、夫婦共働きをしている場合、一人ではなく二人の名義でも住宅ローンを契約できます。

ただし、1世帯で住宅ローンを組む方法にもいくつかの種類があり、それぞれのメリットやデメリット、ローン利用時の注意点は別物です。

そこで今回は、単独ローン・収支合算ローンの連帯保証型と連帯債務型、そして夫婦ペアローンの中身について解説していきます。

1世帯で住宅ローンを組む方法4つ

●一人でローンを組む

夫婦のどちらかが住宅ローン契約者になり、住宅購入に必要なお金を全額借りるという方法です。住宅資金の100%を個人で借りるかたちになるため、自宅の名義も100%夫婦どちらかが所有します。専業主婦・主夫家庭など、夫婦の一方に収入がない場合も利用可能です。年収が高い、頭金や親類からの援助がある、新居のコストカットをしているなど、単独の住宅ローンで新居の購入予算をまかなえるケースでも利用されています。

●収支合算で連帯保証型

収支合算とは、文字通り夫婦の収入を合計して申し込める住宅ローンのことです。なかでも連帯保証型とよばれるタイプの住宅ローンは、一方が債務者となり、もう一方が連帯保証人となります。たとえば、4,000万円のローンを組む場合、

  • Aが債務者として4,000万円を借りる
  • Bは連帯保証人として、Aが返済できなくなったときにローンの残債を返す

という関係になるわけです。

ただし、連帯保証型の収支合算ローンは、夫婦の収入を全額合計して借り入れ額を決められるわけではありません。金融機関によって、「合算できるのは収入の50~60%」と制限されていることが多いです。単独ローンに比べると、連帯保証人の背負う責任が重いため、利用する場合は夫婦で世帯収入や今後のライフプランについて話し合った上で決めた方が良いでしょう。

●収支合算で連帯債務型

夫婦の収入を合算して組める住宅ローンの中でも、「一つのローンを二人で借りる」のが連帯債務型の収支合算ローン。連帯保証型との違いは、夫婦の両方が債務者になることです。4,000万円の住宅ローンを収支合算で利用する場合、一方が主債務者、もう一方が連帯債務者という扱いになります。万が一、夫婦のどちらかが返済できなくなった場合は、残された方が一人でローンの全額を背負うという契約です。

●夫婦ペアローン

夫婦ペアローンは、住宅購入に必要な額のローンを、夫婦それぞれで個別に組む方法のこと。例えば、4,000万円の物件が欲しいと考えているものの、一人の収入では3,000万円しか借りられないといった場合に、

  • Aが3,000万円の住宅ローンを組む
  • Bが1,000万円の住宅ローンを組む

ことで、4,000万円を確保します。夫婦がそれぞれ個別に融資を受けるため、Aは3,000万円を返済し、Bは1,000万円を返済する義務を負うわけです。

一人でローンを組む場合のメリット・デメリット・注意点

●メリット

単独ローンのメリットは、ローン契約が一つだけなので、必要最小限の手数料で住宅ローンを組めること。そして、収支合算ローンやペアローンよりも借り入れ上限額が低く、借りすぎのリスクを抑えられることです。仮に突発的な事故や病気で収入が途絶えたとしても、共働き家庭で単独ローンを組んでいれば、相手の収入があるため住宅ローンの滞納を回避できます。二人分の収入を合算して高額なローンを組むと、片方の収入が落ち込んだ場合に生活できなくなってしまうため、注意しましょう。夫婦の両方が十分な収入を得ている場合、何があっても柔軟に対応できるのが強みです。

また、単独ローンであれば、たとえば過去に夫婦の片方が借金の滞納等を起こし、住宅ローンを組めなくても、もう一人がローンを組んで新居を購入できます。住宅の全額を一人のローンで支払うことから、家や土地が個人の財産となるため、相続や離婚の際トラブルになりづらいという点もメリット。

単独ローンの利用時は団体信用生命保険に加入できるので、契約者が重度の障害を負ったり、死亡したりした場合は保険金でローンを完済可能です。万が一のことがあっても、家族は家を失いません。

●デメリット

一方のデメリットは、今回ご紹介するそのほかのローンに比べてローンの上限額が低いことです。住宅ローンの借り入れ上限額は、最大でも年収の10倍、無理なく返済できるのは年収の5~6倍だとされています。夫婦の収入がそれぞれ400万円だった場合、夫一人でローンを組むと、2,000万円から2,400万円のローンが無理のないローン借り入れ額の上限です。

そのため、気になっている不動産の価格がローンの借り入れ上限額より高い場合、購入を諦めるか何とかして頭金や親族からの援助を受ける必要があります。夫婦の収入を合算すれば買える家を買えなくなってしまうのは、家づくりにおいて無視できないデメリットです。特に、地価の高い大きな駅の周辺に家を持ちたいと考えているなら、収入合算やペアローンの利用を検討した方が良いでしょう。

●注意点

単独ローンの注意点は、住宅ローン控除や不動産売却時の特別控除といった税の特例を最大限に利用できないこと。家を買うと、最大10年(購入時期によっては13年)、ローン残高の1%を所得税・住民税から控除できる住宅ローン控除を利用できます。しかし、単独ローンだと、実際には夫婦二人の収入で家計を維持していても、控除を受けられるのは名義人一人だけ。同様に、持ち家を売ったとき3,000万円を控除し、譲渡所得税を軽減できる税の特例も、単独ローンだと一人しか利用できません。

新居の資産価値が高ければ高いほど、控除をふたりで分散した方がお得になるため、高額な住宅の購入を検討している場合は、節税対策まで考えた上で単独ローンを組むかどうか決めましょう。

収支合算で連帯保証型の場合のメリット・デメリット・注意点

●メリット

収支合算、連帯保証型の住宅ローンを利用するメリットは、一人では組めない金額のローンを組めることです。配偶者の収入全額をカウントできるわけではありませんが、ローン融資上限額を決める際に参照される年収が、一人のときよりも1.5倍高くなれば、単純計算で1.5倍多くのローンを借りられるようになります。それでいてローンの名義人は団体信用生命保険に加入できるため、万が一、契約者が団信の対象になったとしても、保険金で住宅ローンを完済可能です。

●デメリット

連帯保証型の住宅ローンは、保証人側が住宅ローン控除や不動産売却時の特別控除を利用できないというデメリットを抱えています。資産価値の高い不動産を所有していたり、売却したりする場合、節税の特例を利用できるかどうかの差は大きいです。二人分の節税対策を利用できないことで、損をしてしまう可能性があります。

そのほか、連帯保証人側は団体信用生命保険に加入できないため、もし連帯保証人になった側に万が一のことがあったとしても、原則団信の補償を受けられないという点もデメリットです。

●注意点

連帯保証型住宅ローンでは、お金を借りて住宅代金を支払うのはあくまでも債務者一人なので、連帯保証人は土地や建物の名義を持てません。さらに注意しておきたいのが、将来離婚した場合の扱いです。連帯保証型の住宅ローンは、たとえ夫婦が離婚をしても保証人は保証人のままなので、「離婚した相手がローンを滞納すると、自分にローンの残債を請求されてしまう」というリスクがあります。離婚に向けた話し合いがこじれてしまった場合、悪意のある嫌がらせで滞納をされる可能性もゼロではありません。もしも離婚することになったとしたら、家を売却し、財産と契約を整理してから離婚の手続きを進めましょう。

収支合算で連帯債務型の場合のメリット・デメリット・注意点

●メリット

収支合算で連帯債務型のローンを利用する場合のメリットは、単独ローンよりも大きな額を借りられることです。一人よりも二人の収入を合わせた方が大きな融資を受けやすくなりますし、何らかの事情で収入が減った場合も夫婦で助け合えます。

また、連帯保証型の住宅ローンと違って、夫婦ふたりがそれぞれ持ち分に応じた住宅ローン控除を利用できるのも大きな魅力です。契約上、二人でお金を出し合って家を買うかたちになるため、主たる債務者ではない側も住宅や土地の権利を所有できます。それでいてローン契約自体は1本なので、契約時の事務手数料や保証料が1契約分で済む点もメリットといって良いでしょう。

●デメリット

連帯債務型の収支合算住宅ローンのデメリットは、なんといっても利用できる金融機関の数が少ないこと。世帯で利用できるローンとしては、収支合算できる住宅ローンの連帯保証型やペアローンの方が圧倒的に多いです。そもそも選択肢が豊富ではないため、自宅の近くに金融機関の窓口がなかったり、納得のいく条件でローンを組めなかったりする可能性があります。とはいえ、長期固定金利の住宅ローンとして人気のある、フラット35が連帯債務型の住宅ローンに対応しているため、フラット35の貸付条件に満足できるなら問題はないでしょう。

●注意点

連帯債務型住宅ローンを利用する場合、主たる債務者だけでなく連帯債務者もローン全額の返済義務を負うことになります。連帯保証型のように、「債務者が返済できなくなったら請求がくる」わけではなく、ローンの融資実行日から返済義務が発生するため、夫婦で一緒にローンを返していく覚悟が必要です。

特に気をつけたいのが、子どもがおらず、フルタイムで働いているときの収入状況でローンの借り入れ額を決めてしまうこと。将来お子さんができたり、会社が倒産したり、病気や怪我で働けなくなったりした場合、本来一人では借りられなかった大きな住宅ローンを一人で返済することになります。ローンの滞納後に待っているのは持ち家の差し押さえなので、たとえ収入が減っても滞りなく返済できるように融資額を調整しましょう。

また、上記のような状態で夫婦のどちらかが「相手側の債務」を年間110万円以上肩代わりした場合、ローン返済に当てたお金に対して贈与税がかかる場合があります。将来的に休職・退職などを考えているなら、いずれ収入の減ってしまう側が頭金や住宅購入時の手数料を負担しておくなどして、「不動産の持ち分」と「実際に支払った金額」が釣り合うようにすることが大切です。

夫婦ペアローンの場合のメリット・デメリット・注意点

●メリット

夫婦ペアローンのメリットは、世帯で利用できる住宅ローンの中で、最も高額なローンを組めることです。ペアローンの場合、夫婦それぞれの収入をフルに使ってローンを組めるため、収支合算タイプのローンと違って「合算できるのは収入の50%まで」といった制限がありません。年収400万円の夫婦なら、収入の5倍のローンを組むと考えた場合でも、「400万円×5倍×2人」で4,000万円のローンを組めるのです。

また、ローン自体を2本契約することになるので、住宅ローン控除や不動産売却時の特例控除をふたりとも利用できます。そのほか、住宅購入者が申請すると数十万円のお金をもらえる「すまい給付金」をふたりで受給可能です。

さらに重要なのが、夫婦でローンの内容を変えられること。ペアローンだと夫婦で個別にローンを組むので、夫は35年返済ローンを、妻は30年ローンを利用するといった調整も可能です。金融機関を統一する必要はありますが、返済期間や借り入れ額、金利のタイプをお互いの事情に合わせて選べるのは、大きなメリットといって良いでしょう。

●デメリット

夫婦ペアローンのデメリットは、住宅ローンを二つ組む関係上、契約時の手数料や印紙税といった必要経費も倍になってしまうことです。また、住宅ローンの申し込み書類も二人分用意する必要があります。新居の購入前はプラン決めや家具・家電の吟味に引っ越し準備など、何かと忙しくすることが多いため、ある程度時間にゆとりを持てる時期に住宅の購入や住宅ローンの申し込みを進めましょう。

●注意点

ペアローンの注意点は、高いローンを組んでしまった場合のリスクが増えること。夫婦ペアローンは、基本的に「家を買った後、夫婦二人ともが数十年働き続ける」ことを前提にお金を借りる契約です。そのため、お子さんができたり病気療養で仕事を辞めたりして収入源が失われると、一気に返済の負担が跳ね上がってしまいます。特に、お互いが返済能力ギリギリのローンを組んでいると、万が一のことがあった場合、生活費すら赤字になりかねません。一時的な育休や休職ならともかく、退職となると今後の収入が保証されなくなるため、住宅ローンの借り換えも難しくなってしまいます。

また、ペアローンではお互いに土地や建物の持ち分を所有するため、やむを得ない事情があっても、相手のローン返済を手助けすると贈与になってしまう点にも注意が必要です。「相手のローンを繰り上げ返済した」「親や子どもにローンを肩代わりしてもらった」といったケースが、贈与税の課税対象になってしまう場合があります。

夫婦で住宅ローンを組むと団体信用生命保険はどうなる?

●収支合算で連帯保証型の場合

収支合算、連帯保証型住宅ローンを組んだ場合、債務者であるローン契約者一人だけが団体信用生命保険に加入可能です。連帯保証人であっても、債務者がローンを滞納し、金融機関から残債の請求を受けるまではローンの返済をする必要がないため、保証人側は団体信用生命保険を利用できません。

ただ、その代わり債務者が生命保険の対象となる出来事があれば、住宅ローン残債を100%保険金で完済できます。

●収支合算で連帯債務型の場合

収支合算・連帯債務型ローンの場合も、基本的には連帯保証型と同じです。債務自体は100%一人の契約者が背負うため、団信にも契約者一人が加入します。ただし、連帯保証型と違うのは、連帯債務者が障害を負ったり亡くなったりした際にも保険金が下りる夫婦用の団信を利用できること。フラット35など一部の金融機関に限られますが、より強固な保険を選べる場合があります。

●夫婦ペアローンの場合

お互いがそれぞれの収入でローンを組むペアローンだと、団体信用生命保険も個別に加入可能です。
ただし、保険金で完済できるのは、障害を負ったり亡くなったりした側のローンのみです。たとえば、3,000万円のローンを組んだ夫が亡くなり、2,000万円のローンを組んだ妻が残された場合、妻は自身のローンである2,000万円を返済する必要があるわけです。

まとめ

収支合算やペアローンを利用すれば、通常なら一人で申し込む住宅ローンを夫婦で利用できます。

ただし、収支合算やペアローンは、それぞれ不動産の所有権や借り入れ可能額、団体信用生命保険に加入できるかどうか等が違うため、注意が必要です。

住宅ローンは長い時間かけて返済していくローンなので、たとえお互いに万が一のことがあったとしても、無理せず返済を続けられる金額・内容のローンを利選びましょう。

 

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