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借地権って何?借地権の概要とメリット・デメリット

2020.10.13

借地権って何?借地権の概要とメリット・デメリット

「家を建てたいが希望のエリアに空き地がない」
「新築住宅の建築価格をできるだけ安く抑えたい」

といった場合、「土地を買って家を建てる」「建売住宅やマンション・中古物件を購入する」のではなく、「借地権を購入する」という手があります。

ただし、土地の権利のうち、使用権のみを借り受ける借地権は、内容がわかりづらいためトラブルにもなりやすい傾向があります。

そこで今回は、借地権とはそもそも何なのか、借地権を選ぶとどのようなメリットやデメリットがあるのかを解説します。

借地権って一体何?

●土地の使用権を借りる権利のこと

借地権とは、「家を建てるために、他人の土地を貸してもらう権利」のこと。
借地権の持ち主は、土地の持ち主である地主と交渉し、「一定期間ごとに○万円支払う」代わりに土地の利用権を貸してもらいます。
権利関係が複雑なのでわかりづらいですが、イメージとしては、賃貸物件を借りるようなものだと思っておけば良いでしょう。
家賃を払うことで「部屋に住む」という権利を手に入れる賃貸と同様に、借地権では土地の使用権をレンタルします。
レンタルした土地に自分のお金で家を建てれば、以降は地代を支払うだけで土地を利用し続けられるという仕組みです。

●ただ土地を借りるだけでなく「家を建てるため」に借りるのが借地権

借地権について理解するうえで、重要なのが土地の利用目的と契約内容。
実は、ただ単に土地の持ち主と交渉して土地を貸してもらっても、「借地権」になるわけではありません。
借地権は、「家を建てる」ために土地を貸してもらう権利なので、例えば借りた土地に家を建てなかったり、駐車場として使わせてもらったりする場合、借地権契約にはなりません。

また、「お金を支払う」ことも重要です。
お金のやり取りがない契約は、貸している側の善意によって成り立っているので、貸している側の考えが変わると簡単に破棄されてしまう可能性があります。
「お金をもらっていないのだから、すぐに出ていってくれ」といわれた場合、土地を無料で借りている側は反対できません。
「他人の土地を一定の条件で貸してもらう」というデリケートな権利を守るためには、お金を払ってお互いの立場を対等にしておく必要があるのです。

●契約内容によっては借地権契約の更新も可能

賃貸物件の契約と同じく、借地権契約では、契約の更新も可能となっています。
ただし、一口に借地権といっても、「普通借地権」「定期借地権」「旧借地権」といった複数の種類があり、更新できるのか、それとも更新できないのかといったルールは契約次第です。

なお、借地権は、「最初に契約を結んだときの条件」のまま更新するという決まりになっています。
そのため、不動産市場で売られている住まいの中には、「建物は新しいが、借地権契約は旧法基準」という借地権付き建物(借地人が売り出した物件)も少なくありません。
人によって、現行法の借地権がお得なのか、それとも旧法基準の方が使いやすいのかが変わってくるので、借地権に手を出すなら借地権の種類や違いについての知識も持っておきましょう。

●借地権自体を売買できるが地主の許可が必要

なお、借地権は、「家を建てる」ための権利を地主から借り受けるという性質上、短期間で解約することを考えていません。
そのため、契約期間は最低でも数十年。
契約期間が長いだけあって、「地主側の代替わり」や「ご近所付き合いの失敗」「家に住んでいる側の代替わり」といった事情から、地主とトラブルになるケースも多いです。

借地権には、「売買や増改築に地主の許可が必須」といった独特な制限も存在します。
土地や住まいの扱いに関する将来のトラブルを防ぎ、借地権を賢く利用するためには、借地権についての理解が必要不可欠です。

借地権について理解するうえで知っておきたい「購入」と「借地」の違い

●土地を購入すると所有権・使用権の両方が手に入る

土地の「購入」と「借地」の最も大きな違いは、「土地の所有権」の扱い。
土地の権利は、所有権(専門用語で底地権という)と所有権に分割できるようになっています。
お金を出して空き地を購入した場合、当然のことながら土地の所有権も使用権もすべて購入者のものです。

土地を購入すれば、

  • 家を建てる
  • 賃貸物件を建てる
  • 駐車場にする
  • 他人に貸す
  • 何にも使わず放置しておく
  • 売る

など、使い道に制限はありません。
ただし、土地を自由に使える代わりに、固定資産税や都市計画税といった「土地の維持・管理にかかるコスト」も自己負担となります。
また、土地自体が非常に高額な資産なので、初期費用も高額です。

●お金を払って地主から使用権を貸してもらうのが借地権

一方、借地権で手に入るのは、あくまでも「使用権」の部分だけ。
ただ、土地の活用法は、先ほどご紹介した通り複数存在します。
土地の用途によって固定資産税の納税額が変わりますし、一般的な住宅と高層マンションでは現状の復帰のしやすさや周囲への影響度も変わってくるため、地主側は土地の使用権を無制限に開放するわけにはいきません。
また、用途自由で土地を賃貸借すると、土地の使い方が変わったときに地代をどう調整するのかといった問題も出てきます。
そのため、借地権では「何らかの建物を建てる」という用途に絞って、土地の使用権をレンタルするという内容になっているのです。

上記の事情があるからこそ、借地権では「家を建てる」以外の用途で土地を利用できないようになっています。
しかし、土地に対する固定資産税は「所有権の持ち主」に届くので、借地権を選べば、借地人が土地の固定資産税を納める必要はありません。
地代だけで住宅用地を用意できることから、高額な土地の購入費用を用意しなくても家を建てられるという強みもあります。

複数存在する借地権の違いを解説

●旧借地権

旧借地権とは、1992年に「借地借家法」ができる前にあった、「借地法」を根拠とする借地権のことです。
法改正によって旧法基準での借地権は新たに結べなくなりましたが、古い契約の更新は可能なので、意外と市場には旧借地権の土地が残っています。

そんな旧借地法の特徴は、「半永久的に土地を利用できる場合がある」こと。
契約時に契約期間を定めている場合、たとえ物理的に建物がなくなったとしても、借地権が残ります。
契約期間満了前に建物がなくなっても、地主側は一方的な契約解除を求められないのです。
また、旧借地権は、借地人側が契約更新を持ちかけた場合に、地主が拒否できないという制限もあります。

たとえ建物がなくなっても、建て替えや再建築すれば借地権を継続できてしまうので、旧借地権を普通借地権に更新する場合、一旦借地権契約そのものを解除して新たに結び直すという手続きが必要です。

ただ、旧借地権自体は借地人側に有利な内容になっているため、できるだけ有利な条件で借地を使いたい場合は、旧借地権の物件を探すと良いでしょう。

●普通借地権

普通借地権は、借地借家法の成立の基準に従った借地権のことです。
借地人側の権利が強い旧借地権と違って、地主と借地人のバランスを取るため、「契約更新をする度に延長期間が短くなっていく」という特徴を持っています。

具体的には、期間の定めがあってもなくても契約の期間は30年、その後1回目の更新で20年、2回目以降は10年ごとに更新を見直すというルールです。
旧借地権だと、契約の存続期間が最長60年だったので、大幅に期間が短縮されています。
また、普通借地権の場合、契約更新のタイミングで地主側が更新を拒否できるという点も大きいです。

「問題のある人に土地を貸しても、契約更新のタイミングで解約できる」ことから、普通借地権の土地を積極的に運用している地主も多く、比較的契約しやすいという強みがあります。

●定期借地権

定期借地権は、借地借家法ができたときに新しく追加された借地権のスタイルです。 旧借地権や普通借地権は、「お互いの意思次第で更新できる」という特徴を持っていましたが、定期借地権は「最初に決めた契約期間が終わったら更新しない」という契約内容です。
最初から契約更新を前提としていないため、借地人が「もう少し土地を利用させてほしい」といっても更新できません。
基本的には、ビジネス目的で土地を使いたい人が結ぶ借地権契約です。
そのため、一般住宅向けの土地は、たいていの場合定期借地権ではなく普通借地権、または旧借地権のものが売却されています。

借地権のメリット

●土地を購入するより安い金額で家を建てられる

借地権の土地、または借地権付き建物を選ぶメリットは、新居の施工費用を節約できることです。
新居の購入費は、「土地代」と「建物の施工費用」が金額のほとんどを占めています。
例えば、予算3,000万円で土地を1,700万円で購入する場合、建物にかけられる費用は1,300万円です。
しかし、借地権を選べば、地代だけで土地を利用できるので、2,000万円もあれば家を建てられるようになります。
新居の購入費を節約すれば、家も買いやすくなりますし、住宅ローンの借入額も減るので、返済負担も軽くなるでしょう。

また、用意できる予算3,000万円をフルに使って、間取りにこだわったり、最新の設備や家具・家電を導入したりするのもおすすめです。

●固定資産税を納める必要がない

借地権契約を結んで使わせてもらう土地は、あくまでも地主の持ち物なので、自分で固定資産税や都市計画税を納める必要がありません。
固定資産税は、不動産を所有している限り毎年必ず発生する税金です。
仮に、年間の固定資産税が10万円だとしたら、30年間同じ家に住み続けると税金だけで300万円納めることになってしまいます。
借地に建てた家は自己所有なので、固定資産税を納める必要があるものの、土地の維持費を安く抑えれば、浮いたお金で自宅の修繕費やメンテナンス費用を捻出できるでしょう。

●地主との関係性によっては格安で土地を貸してもらえる

もし、地主と知り合いだった場合、交渉や相手との関係次第では格安料金で土地を貸してもらえます。

なお、借地権契約の締結は、賃借人だけでなく地主側にもメリットが多いです。
借り受ける土地が空き地だった場合、その土地の固定資産税は「貸宅地」として税額を計算できます。
土地の固定資産税は、「建物がない」「使っていない」状態だと高くなり、建物があったり他人に貸していたりすると安くなるという仕組みなので、安い賃料でも空き地を借地として貸し出してもらえば、地主側も固定資産税を節約できるのです。
活用していない土地を持っている地主と知り合いがいるなら、上記のメリットを伝えて借地権契約を持ちかけてみても良いでしょう。

借地権のデメリット

●増改築や売却をする場合地主の許可が必要

借地権の住まいは、リフォームをしたり、増築をしたり、売却をしたりする場合に地主の許可を得る必要があります。
なぜなら、借地権は「こういう家を建てるので、土地を貸して欲しい」という契約内容になっているからです。
増改築によって家の形状やサイズが変わると、土地の利用範囲も変わってきます。
土地自体が借り物である以上、勝手に使い方を変えるわけにはいきません。

また、特に注意したいのが、借地権付き建物の売却です。
借地権契約は、「地主」が「あなた」に土地を貸す契約なので、第三者に家を売ると、借地権契約上の契約者と土地の使用者が別人になってしまいます。
しかし、地代の請求先は、元借地人のまま。
元借地人が地代の支払いを滞納すると、地主は現利用者に契約解除を求めることになるため、新借地人は当然反発するでしょう。
無断での借地権売却は、トラブルの元です。
借地権の増改築をしたり、売ったりする場合は、前もって地主や不動産業者に相談しましょう。

●何年地代を払っても所有権が手に入らない

借地権契約を結んで支払う地代は、あくまでも土地のレンタル料なので、何十年地代を払い続けても所有権(底地権)は自分のものになりません。

借地が気に入っており、今度も長く住み続けたいと考えているなら、お金を貯めて地主から底地を買い取ることも視野に入れると良いでしょう。
「借地権で安く家を建て、貯蓄ができたら底地を買い取る」といったやり方をすれば、収入に余裕がない時期でも持ち家を購入できます。

●契約介助する場合は家を解体して更地にする必要がある

借地権契約は、「契約を解除するとき、更地にして土地を地主に返す」のが一般的です。
当然のことながら、建物の解体工事もタダではありません。
短期間で借地を出ていくことになると、住宅ローンの負担に加えて解体費用もかかってくるので、「仕事の関係上遠方に引っ越す可能性がある」といった場合は、借地権以外の方法で住居を整えた方が良いでしょう。

●中古市場で人気がないため売却するのが難しい

  • 地代がかかる
  • 増改築や売却、建て替えに地主の承諾が必要
  • 地主との人間関係によってはトラブルになる場合がある

といった事情のある借地は、土地の購入よりもトラブルになりやすいので、不動産市場で人気がありません。
いざ借地権を売却しようと思って地主の許可を取り、売り出しても、なかなか売れない場合、最終的に損をする可能性が高いです。
中古不動産市場では、トラブルの可能性が低く、リスクの少ない土地が好まれます。
将来的に借地権を売却する予定を立てているなら、底地を買い取って売却する、土地需要が高く売却しやすい借地を選ぶなど、借地の出口戦略まで考えた上で契約を決めましょう。

借地権について知らないとトラブルになる

「地主が代替わりして急に地代の値上げを求められた」
「無許可でリフォームしたため地主が怒ってしまった」
「相続の際にゴタゴタして地代の支払いが遅れた」
「借地権を売却したいが、地主の同意が得られない」

など、他人の土地を貸してもらう借地権はトラブルになりやすいです。
ただ、借地権に関するトラブルの多くは、地主と借地人の双方が適切な知識を持つことで避けられます。
上手に使いこなせば、メリットも多い手続きです。
トラブルを避けたい場合は、借地権について勉強するだけでなく、借地権の内容を正しく理解している地主の吟味も必要になってきます。

まとめ

借地権は、第三者の土地を貸してもらって、そこに家を建てる権利です。
「購入したら建物を建てる必要がある」「地代を払う」といった条件はありますが、土地の購入と違って地代だけで新居の土地を確保できるので、預貯金や収入がまだ安定していない人でもマイホームを購入できるというメリットがあります。
特に、設計の自由度が高い注文住宅の購入を考えている場合、土地代を節約した分、新居の間取り・デザイン・設備にお金をかけられる借地権は魅力的な選択肢です。

ただ、借地権は権利関係が複雑なので、地主への配慮や契約に対する理解によってはトラブルにもなる場合もあります。
借地権を買うときは、借地権のメリットやデメリット、契約上の注意点を理解してから交渉を始めましょう。

 

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