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住宅ローンは繰り上げ返済するべき繰り上げ返済が得になるタイミング

2020.08.21

住宅ローンは繰り上げ返済するべき繰り上げ返済が得になるタイミング

住宅ローンを組んで家を購入するなら、「繰り上げ返済」を賢く使いこなしましょう。
繰り上げ返済は、月々の返済とは別に、ローンの元金を前倒しで返済できる手段です。
住宅ローンは、ローンの元金がたくさん残っていればいるほど金利負担も大きくなっていくため、繰り上げ返済をうまく使えば住宅ローンの返済総額を減らせます。
ただし、繰り上げ返済のメリットを引き出すためには、繰り上げ返済に関する知識が必要不可欠です。

そこで今回は、住宅ローンにおける繰り上げ返済の重要性や、繰り上げ返済を使うべきタイミング、住宅ローン控除と繰り上げ返済を上手に併用するコツ等を解説していきます。

繰り上げ返済とは?

●毎月の返済とは別に自己資金でローンの返済を進めること

繰り上げ返済とは、月々のローン返済とは別に、手元のお金を切り崩してローンの返済を進める手続きのことです。
「繰り上げ返済をしたから、今月分のローン返済は必要ない」というわけではなく、月々のローン返済+繰り上げ返済で二重に返済を行います。

●繰り上げ返済をするメリット

繰り上げ返済のメリットは、「住宅ローンの総返済金額を圧縮できる」ことです。
住宅ローンは、借りた元金に金利を上乗せして、毎月返済をするという契約内容になっています。
金利の計算は「住宅ローン残債」に応じて決まるので、金利負担を減らすためには、ローンの元金を減らすことが大切です。

そこで役立つのが、繰り上げ返済手続き。
通常の返済とは違って、繰り上げ返済では、支払った金額をすべて元金の返済に回せます。
繰り上げ返済をすればするほど住宅ローンの元金が減っていき、金利負担も下がっていくため、返済負担を軽減したいなら繰り上げ返済が必須なのです。

ただし、繰り上げ返済にも種類の違いがあり、どの方法を選ぶかによって家計への影響が変わってきます。
繰り上げ返済を使いこなすためには、繰り上げ返済という手続きの仕組みを理解しておく必要があるので、まずは繰り上げ返済の種類を押さえていきましょう。

繰り上げ返済にはどんな種類があるのか?

繰り上げ返済の種類は、以下の2種類です。

・返済期間短縮型:毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする
・返済額軽減型:月々の返済額を減らして返済期間は据え置き

●返済期間短縮型

返済期間短縮型は、「毎月の住宅ローン返済額を変えずに返済期間を早める」という方法。
「数ヵ月後、数年後に支払うはずだったローンの元金を、今支払ってしまう」方法だと考えればわかりやすいでしょう。

たとえば、

・借入額2,500万円
・35年払い
・毎月の返済額は78,000円
・金利1.56%
・ボーナス払いなし
・返済開始3年目に100万円の繰り上げ返済をする

という条件で返済期間短縮型の繰り上げ返済をすると、返済期間を35年から33年3ヵ月に短縮できます。
この場合、本来負担するはずだった1年9ヵ月分の金利を支払う必要がなくなるので、金利負担分として約62万円もの節約が可能です。

ただし、返済期間短縮型の繰り上げ返済を利用しても、月々の返済額自体は78,000円から変わりません。
転職や会社の業績悪化等で収入が下がったり、お子さんが生まれて教育費用が増えたりすれば、家計は苦しくなってしまいます。

先払いする額が多くなればなるほど将来の家計に対する不安が大きくなるので、返済期間短縮型の繰り上げ返済をする場合は、「繰り上げ返済にいくら使うのか」を良く考えて決めましょう。

●返済額軽減型

返済額軽減型は、「月々のローン返済額を減らして、返済期間は据え置きにする」という方法です。

先ほども使用した

・借入額2,500万円
・35年払い
・毎月の返済額は78,000円
・金利1.56%
・ボーナス払いなし
・返済開始3年目に100万円の繰り上げ返済をする

という条件を使って、両者の違いを確認してみましょう。

返済額軽減型の繰り上げ返済をした場合、総返済期間は35年のままですが、月々の返済額を約7万4,000円に減らせます。

ただし、返済額軽減型の繰り上げ返済で節約できる金利負担分は、約27万円。
返済期間短縮型よりも、返済額軽減型の方が節約効果は小さくなる天には注意が必要です。

また、変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、将来的に金利が高くなると、月々の返済額も上がってしまいます。
返済額軽減型で月々のローン返済額を減らしておけば、金利が上昇しても家計への負担を抑えられるので、リスクを避けたい人にもおすすめです。

「出費を減らして家計を楽にする」という意味では、節約額以上の魅力があるので、家計の状況に合わせて利用するかどうかを検討しましょう。

●返済期間短縮型は返済額軽減型それぞれどんな人に向いている?

返済期間短縮型と返済額軽減型、どちらを選ぶべきか迷った場合は、「自分にとってメリットの多い方」を選ぶのがおすすめです。
ポイントは、「金利総額を減らしたい」のか、「月々の支払いを減らしたい」のかを考えること。

完済までの時間を早め、金利負担を大きく減らせる返済期間短縮型は、

・できるだけ早くローンを完済したい
・支払う金利を減らして手元にお金を残したい
・将来楽をするためなら今お金を使っても問題ない

という人に向いています。

一方、返済額軽減型が合っているのは、

・転職・リストラ・病気・事故などで収入が減りそう
・子育てや介護の関係で生活費や教育費等の支払いが増えた
・月々のローン返済額を高めに設定しすぎて家計が苦しい
・金利の総額を気にするよりも月々の支払いを楽にしたい

といった方です。

どちらの方法が自分に合っているのかを理解していれば、「月々の返済額を最低限に抑えて、余裕のあるときに貯めたお金で返済期間短縮型の繰り上げ返済をする」といった、自分なりの返済プランを立てられるようになります。

住宅ローンの返済は数十年かけて進めていく長期戦なので、より負担の少ないやり方を優先しましょう。

返済期間短縮型と返済額軽減型のシミュレーション

ここでは、返済期間短縮型と返済額軽減型の違いを数字で比較できるように、それぞれの返済プランをシミュレーションしていきます。
基本的な住宅ローンの借入条件は、以下の通りです。

・借入額2,500万円
・35年払い
・毎月の返済額は7万8,000円
・金利1.56%
・ボーナス払いなし
・返済開始3年目に繰り上げ返済を行う

●繰り上げ返済額200万円の場合

○返済期間短縮型

・総返済期間:35年→31年7ヵ月
・節約できる額:119万円

○返済額軽減型

・月々の返済額:7万8,000円→7万円
・節約できる額:54万円

●繰り上げ返済額300万円の場合

○返済期間短縮型

・総返済期間:35年→29年11ヵ月
・節約できる額:174万円

○返済額軽減型

・月々の返済額:7万8,000円→6万7,000円
・節約できる額:81万円

●繰り上げ返済額400万円の場合

○返済期間短縮型

・総返済期間:35年→28年4ヵ月
・節約できる額:220万円

○返済額軽減型

・月々の返済額:7万8,000円→6万4,000円
・節約できる額:108万円

●繰り上げ返済額500万円の場合

○返済期間短縮型

・総返済期間:35年→26年9ヵ月
・節約できる額:270万円

○返済額軽減型

・月々の返済額:7万8,000円→6万円
・節約できる額:135万円

実際には繰り上げ返済を複数回に分けて行ったり、繰り上げ返済の支払額が毎回違ったりするため、つねに同じ結果が出るわけではありません。

しかし、基本的には、繰り上げ返済の額が大きければ大きいほど、節約効果も大きくなります。
住宅ローン返済において、繰り上げ返済を使わないことがどれだけ損なのか、数字を見ればイメージできるでしょう。

繰り上げ返済を行う上手なタイミング

●繰り上げ返済は早めに始めた方がお得

繰り上げ返済は、多くの場合、早く始めた方がお得です。
住宅ローンの支払い金利は、「元金×金利」で決まるため、早めに元金を減らすと将来の金利負担を減らせます。

たとえば、2,500万円の住宅ローンを10年返済した時点で、100万円返済期間短縮型で繰り上げ返済した場合、短縮できる金利は1年6ヵ月分です。
しかし、2,500万円の住宅ローンを1年返済し、同じく100万円を返済期間短縮型で繰り上げ返済した場合、1年9ヵ月分の金利をカットできます。

まったく同じ金額を出すにも関わらず、繰り上げ返済のタイミングが遅れるだけで数カ月分金利を損してしまうこともあるので、預貯金に余裕があるなら早めに繰り上げ返済を始めましょう。

長年返済を進めてローンの残債が減ってからでは、十分な節約効果も返済期間の短縮効果も望めません。
また、返済額軽減型の繰り上げ返済に関しても、ローン残債が多い状態で利用したほうが、月々の出費を安く抑えられるのでお得です。

●金利が低い場合は10年待ってから繰り上げ返済をした方がお得

残念なことに、どんな状況でも早めに繰り上げ返済をすべきというわけではありません。
非常に金利の低い住宅ローンを組んでいる場合、10年待ってから繰り上げ返済を始めたほうが、結果的に得をします。
詳しい内容は次の項目で説明しますが、家を買ってから10年間は、ローン残債に応じて所得税と住民税が安くなる、「住宅ローン控除」という強力な税の特例を利用できるからです。

繰り上げ返済よりも住宅ローン控除がお得なケースも

●住宅ローン控除とは

繰り上げ返済をする上で知っておいて欲しいのが、「住宅ローン控除」という特別な節税制度。
住宅ローン控除とは、ローンを組んでから最大10年間(住宅購入期間によっては最大13年)、住宅ローン残債の1%を翌年の所得税・住民税から控除できる制度となっています。
簡単にいうと、家を買ってから10年間、ローンの残債に応じて所得税と住民税が安くなる(還付金として戻ってくる)というお得な制度なのです。

控除できる金額は年間40万円、10年間の合計で最大400万円なので、高額なローンを組んでいる人なら、10年間で400万円もの税金が戻ってきます。
基本的に、10年以上のローンを組んでいれば誰でも使える制度なので、繰り上げ返済だけでなく住宅ローン控除も活用できると良いでしょう。

●金利1%未満なら住宅ローン控除と繰り上げ返済を併用した方がお得

住宅ローン控除は、「毎年の年末時点で返済しきっていない、ローン残債の1%」を控除できる制度です。
もし、利用している住宅ローンの金利が1%を下回っている場合、繰り上げ返済で節約できる額よりも、住宅ローン控除で節税できる金額の方が大きくなってしまいます。
この場合、住宅ローン控除をフルに使い切ったほうが、最終的に支払うお金を節約可能です。

金利1%未満の低金利ローンを利用している場合は、住宅ローン控除を使ってから繰り上げ返済を始めましょう。
繰り上げ返済のタイミングを調整すれば、住宅ローン控除と繰り上げ返済を併用して、より大きな節約ができます。

ただし、住宅ローン控除で節税できるのは、年間40万円・10年間で400万円までです。

・4,000万円以上のローンを組んでいる
・繰り上げ返済をしてもローン残債が4,000万円以上ある

という場合、住宅ローン控除の期間中に繰り上げ返済をしても、最大限の節約効果を得られます。

また、ローン金利が1%以上ある場合は、住宅ローン控除よりも繰り上げ返済を使う方がお得なので、住宅ローン控除と繰り上げ返済を併用しましょう。

繰り上げ返済をする際の注意点

●使えるお金が減ってしまう

繰り上げ返済をすると、手元のお金が減ってしまいます。
預貯金がなくなると、冠婚葬祭等の急な出費に対応できません。
「有り金をすべて繰り上げ返済にあてる」といった方法は取らないように気をつけましょう。

●金融機関によっては繰り上げ返済手数料が必要

金融機関によっては、繰り上げ返済をする際に手数料がかかります。
少額の繰り上げ返済を何度も繰り返すと、手数料でせっかくの節約効果が帳消しになってしまうので、「一度にまとめて繰り上げ返済をする」といった工夫が必要です。
好みの問題で、できるだけこまめに繰り上げ返済をしたい場合は、繰り上げ返済手数料無料の金融機関で住宅ローンを組みましょう。

まとめ

繰り上げ返済でローンの元金を直接減らせば、ローンの返済が楽になります。
また、利用しているローンの金利や年収などによっては、節税効果の大きい住宅ローン控除を組み合わせることで、さらなる節約も可能です。

ただし、人それぞれ最適な返済プランは違います。
無理のない返済プランを立てたり、繰り上げ返済を使いこなしたりするためには、ローン返済のシミュレーションが必要不可欠です。

住宅ローンの返済は、数十年続きます。
無理をしてローンを滞納しては意味がないので、自分に合っていて、なおかつお得な返済プランを考えましょう。

 

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