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団体信用生命保険って何?団体信用生命保険の概要やポイント

2016.09.20

団体信用生命保険って何?団体信用生命保険の概要やポイント

団体信用生命保険とは、住宅ローンの利用時に加入を求められる生命保険のことです。
ただ、多くの人は、「住宅ローンを組むためには、団体信用生命保険の加入必要らしい」といわれても、何のことか良くわからないのではないでしょうか。

そこで今回は、

  • そもそも団体信用生命保険とは一体何なのか
  • どのような種類や違いがあるのか
  • どうしても加入する必要があるのか
  • 他の保険で代用できないのか

といった団体信用生命保険の概要とポイントを解説します。

団体信用生命保険ってどんな保険?

●契約者に何かあったときにローンを一括完済してくれる生命保険

団体信用生命保険は、簡単にいうと「住宅購入者専用の生命保険」です。

住宅ローンを組む際に団体信用生命保険(団信)に加入していると、契約者が亡くなったり重度の障害を負ったりしたときに、住宅ローンの残債と同額の保険金を支払ってもらえます。

そんな団体信用生命保険最大の特徴は、「万が一の際に下りる保険金の額=住宅ローン残債」になること。
保険金の上限額はあるものの、たとえば、契約者が亡くなった時点でローンが1,500万円残っていると、1,500万円の保険金が下ります。
同様に、契約者が亡くなった時点でローン残債が100万円だった場合、下りる保険金は100万円です。

一方、一般的な生命保険は、「契約者の死亡時は○万円」といった形で、支払われる保険金の額が決まっています。
生命保険金の使い道も特に制限されていないので、故人の借金やローンを精算してお金が余ったら、生活費に当てるといった使い方も可能です。

基本的に、ローン残債がどれだけ多くても、逆にどれだけ少なくても、団体信用生命保険の保険金は手元に残りません。

また、団体信用生命保険は、ローンの完済と同時に契約が終わります。
ローン完済後はローン残債も0円なので、契約者が亡くなったとしても保険金が下りない点は覚えておきましょう。

団体信用生命保険は遺族の生活を守るためのもの

団体信用生命保険は、いわば「莫大なローンを残される家族のための生活保障」です。

契約上、ローンの契約者が亡くなっても、契約者が組んだ住宅ローンそのものは消えません。
遺産相続では、故人の預貯金や不動産といった価値のある財産だけでなく住宅ローンを始めとした負の資産も相続の対象になります。
相続手続きは、正の資産・負の資産を両方受け取るか、もしくは両方放棄するかの二択なので、家や土地を相続すれば残ったローンの返済が必要です。

ただ、たとえば小さなお子さんのいる専業主婦だけが残された場合、ローンの支払いを迫られても通常通りの返済はできません。
一家の大黒柱を亡くし、働きに出るのも難しい状態でやむなくローンを滞納してしまった家族の家が差し押さえられたら、最悪の事態になる可能性もあります。

そこで、契約者に万が一のことがあっても、ローンを完済して住まいを残しておけるのが、「団体信用生命保険」なのです。

●実は金融機関側にもメリットがある

ここまでの説明を見て、団体信用生命保険は家を買う人だけにメリットのある保険だと感じる人もいるでしょう。
しかし、団体信用生命保険は、住宅ローンを提供している金融機関側にメリットのあるシステムなのです。

数千万円単位の融資をしている金融機関は、貸したお金に利子を上乗せすることで利益を出しています。
そのため、金融機関にとって一番のリスクは、どのような事情であれローンの元金が返ってこないこと。
その点、ローンの契約者が団体信用生命保険に加入していれば、契約者に何かがあってもローンの残債を回収できます。

  • 家を買う人:自分にもしものことがあっても家族に家を残せる
  • 住宅ローンの借入先:何かあったとしてもローンの残債を回収できる
  • 団体信用生命保険の運営機関:ローンの保障をする代わりに保険料をもらって稼ぐ

三者三様に得をする仕組みになっているからこそ、団体信用生命保険は住宅ローンとセットで広く利用されているのです。

●住宅ローンを組む場合は「団信」への加入がほぼ必須

住宅ローンを組む場合、基本的には団体信用生命保険への加入を求められます。

団体信用生命保険に入っていないということは、「契約者に万が一のことがあった場合、金融機関はローンを回収できない」ということになり、金融機関側のリスクが上がってしまうからです。

ただし、すべての金融機関で団体信用生命保険への加入が審査項目になっているわけではありません。たとえば、長期固定金利で有名なフラット35は、団体信用生命保険の加入が任意となっています。

とはいえ、実質的に住宅ローンと団体信用生命保険はセットです。民間金融機関では必須条件なので、できれば団信にも加入しましょう。

●一般的な団体信用生命保険の種類と保障内容を紹介

実は、一口に団体信用生命保険といっても、金融機関によって保障の内容が異なります。

基本的には、「契約者の死亡」と「重度の障害」を対象にした団体信用生命保険に対して、特約を付けていくかたちです。

代表的な種類を紹介すると、

  • スタンダードな団体信用生命保険
  • 三大疾病特約付き
  • 七大・八大疾病保障特約付き

などがあります。

日本人の三大疾病と呼ばれる重篤な病、

  • がん
  • 脳卒中
  • 急性心筋梗塞

にかかった場合に保険金が下りるのが、三大疾病特約付きの団体信用生命保険です。

さらに、上記の三大疾病に加えて、

  • 糖尿病
  • 高血圧症
  • 肝硬変
  • その他肝臓病
  • 慢性の腎不全
  • 慢性すい炎

などを含んだ団信が、七大疾病特約付き・八大疾病特約付きとよばれます。

住宅ローンを申し込むときは、「団体信用生命保険でカバーできる保障の広さ」にも注目すると良いでしょう。

団体信用生命保険の利用時に注意すべきポイント

●団体信用生命保険にも審査がある

団体信用生命保険は、一般的な生命保険と同様に、加入時の審査があります。
あくまでも生命保険なので、収入や職業などの制限についてはあまり考える必要はありませんが、「持病」や「過去の病歴」によっては団体信用生命保険に加入できない場合もあるため、注意が必要です。

生命保険は、契約後に月々保険料を支払う代わりに、契約者が病気・事故などで亡くなった場合に保険金を支払ってもらうという約束事になっています。
もし、加入者全員が保険金支払いの対象になれば、保険会社は潰れてしまうでしょう。
そのため、持病があって日常的に通院している人、過去に大病を患っている人など、「健康な人に比べてリスクの高い人」は加入を断られやすいのです。
ご自身の健康状態に合わせて、複数の申し込み先を検討しておきましょう。

●特約を付けないと保障範囲が狭くなる

スタンダードな団体信用生命保険の保障範囲は、

  • 契約者の死亡
  • 重度の障害

が起きたケースです。

特約を付けずに団体信用生命保険に加入した場合、がんを始めとした三大疾病などにかかっても、保険金は下りません。

また、

  • 突然のリストラ
  • 体調不良や事故などによる停職・失職

といった事態に巻き込まれた場合も、保障されない点には注意が必要です。

特約を付けると保険料は高くなるので、団体信用生命保険を利用するときは、加入している保険の見直しや、団体信用生命保険の補償範囲も調整する必要があります。

●住宅ローンによっては団信への加入が任意になっている

民間の金融機関など、大半の住宅ローンでは、団体信用生命保険の加入がほぼ必須です。
標準的な団体信用生命保険だと、保険料の支払いは月々のローン返済に上乗せされるため、「何が何だか良くわからないが、とりあえず加入しているだろう」と考えてしまう人も少なくありません。

しかし、フラット35など、なかには団体信用生命保険へ加入しなくても利用できる住宅ローンが存在します。

団体信用生命保険や住宅ローンについての知識が浅いと、「住宅ローンに入れば自動的に団体信用生命保険にも入っている」と勘違いしてしまう可能性もあるのです。
団体信用生命保険が活躍するのは、契約者が亡くなったり重度の障害を負ったりしたときなので、「入っているはず」という思い込みで実際には保険に加入していなければ、人生設計が大きく崩れてしまうでしょう。

住宅ローンと団体信用生命保険は、セットで加入する機会の多い商品ですが、あくまでもまったくの別物です。
住宅ローンを利用するなら、団体信用生命保険の加入の有無や加入条件は、慎重にチェックしておきましょう。

●団体信用生命保険を利用すると保険料がローンに上乗せされてしまう

団体信用生命保険に加入した場合、保険料の支払いが必要です。
当然のことながら、特約を付けると保険料は高くなってしまいます。
費用としてはさして大きなものではありませんが、お金がかかることは理解しておきましょう。

●団体信用生命保険の保険料は年末調整で控除できない

個人的な事情で加入した生命保険の保険料は、会社員の場合年末調整で、個人事業主などの場合は確定申告で控除できます。

控除が増えると所得税や住民税が安くなるため、毎年手続きしている人も多いでしょう。
しかし、団体信用生命保険の保険料は、控除の対象になりません。

銀行系住宅ローンとフラット35の団体信用生命保険の違い

銀行系住宅ローンの団体信用生命保険と、フラット35利用時に加入できる団体信用生命保険の違いは、「加入義務の有無」です。

民間の金融機関である銀行で提供されている住宅ローンでは、団体信用生命保険の加入が「ほぼ必須」となっています。
また、利用できる団体信用生命保険の種類も銀行ごとに固定なので、「A銀行の住宅ローンに申し込む際、B銀行と提携している団体信用生命保険に加入する」といった手続きは取れません。

一方、フラット35は、団体信用生命保険に加入しなくてもローンを組めます。
各金融機関で提供されているフラット35固有の団体信用生命保険を利用する場合もありますが、そもそもフラット35用の団体信用生命保険が用意されていないケースも多いです。

そのため、団体信用生命保険に加入する場合は、各フラット35の窓口を通して団体信用生命保険に申し込むか、「住宅金融公庫機構」が運営している「機構団体信用生命保険」に加入することになります。

団体信用生命保険を利用しないという選択肢もありますが、できるだけ審査に通る確率を上げたいと考えるなら、住宅ローンと一緒に申し込むのがおすすめです。

団体信用生命保険を選ぶコツ

団体信用生命保険を選ぶ際のコツは、「現在加入している生命保険と保障内容が被らない」ものを選ぶこと。

同じ条件で保険金が出る生命保険が重複していると、掛け金をムダにしてしまいます。
がんや脳卒中などの三大疾病保障は団体信用生命保険に任せるなど、担当分野をずらすことで、万が一の保障を充実させましょう。
通常の生命保険は、保険料を控除できるので、節税にもつながります。

収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになる?

「病気や怪我などで長期間働けなくなったとき、失業保険のようにお金をもらえる」のが収入保障保険です。

収入保障保険自体は非常に便利なサービスですが、残念なことに団体信用生命保険の代わりにはなりません。

一般的な収入保障保険は、年金のように決まった額を一定期間もらえるという内容になっています。
一方、団体信用生命保険は、「契約者の死亡時」に「住宅ローン残債」を一括で肩代わりしてもらえるという契約です。

生活を維持するという意味では便利でも、数千万円にも達する住宅ローンを、収入保障保険だけで完済するのは難しいでしょう。

しかし、収入保障保険は、団体信用生命保険ではカバーされない「長期間働けなくなった」というケースで役立ちます。
たとえトラブルがあっても、生活費を確保していれば住宅ローンの返済を滞納せずに済むので、余裕があるなら団体信用生命保険と収入保障保険の併用を考えましょう。

まとめ

団体信用生命保険とは、契約者が万が一亡くなったり、重度の障害を負ってローンを返済できなくなったりしたときに、住宅ローン残債を肩代わりしてくれる生命保険の一種です。
フラット35など、一部の機関を除いて住宅ローンの審査条件になっているので、特別な事情がない限り、加入しておきましょう。

ただし、団体信用生命保険の保障内容は、銀行やフラット35の窓口によって異なります。
保障範囲の広い生命保険へ加入していると保障の範囲が被って掛け金を損してしまうので、住宅購入を機に保険の見直しも検討してみましょう。

 

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