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親子リレーローンってどんなローン?メリットやデメリットを解説

2017.01.26

親子リレーローンってどんなローン?メリットやデメリットを解説

「親との同居を考えているものの、二世帯住宅は価格が高いので、個人の信用力だとローンを組めない」

といったシチュエーションで頼りになるのが、一つのローンを親子二世代に渡って返済していく「親子リレーローン」です。
親子リレーローンを使えば、ローンの返済期間を長めに設定することで、月々の返済負担を抑えつつ高額な融資を受けられます。
ただし、返済期間が長くなったり、借入額が大きくなったりするため、万人におすすめできるわけではありません。

ほとんどの人にとって、住まいは人生の中でもっとも高い買い物です。
今回は、自分に合ったローンを組むために知っておきたい、親子リレーローンの概要やメリット・デメリットなどを解説していきます。

親子リレーローンって何? 親子リレーローンの概要

●親子リレーローンとは

親子リレーローンとは、一つのローンを親から子どもへ引き継いで返済していくローンです。
たとえば、4,000万円のローンを組む場合、通常のローンだと契約者一人が4,000万円の返済を全額背負います。
しかし、親子リレーローンを利用すれば、「親2,500万円」「子ども1,500万円」といった形で、返済額を分担可能です。
ローンの契約そのものは1本分ですが、最初に親がローンの62.5%相当を返済し、親の返済が終わったら、残る37.5%分を子どもが返済していくという仕組みになっています。

●親子リレーローンの利用条件

親子リレーローンを利用するためには、

  • 同居・または同居する予定の親子である
  • ローンを組む子どもの年齢が70~80歳未満
  • 親子ともに定期的な収入がある
  • 団体信用生命保険に加入できる

といった条件のクリアが必要です。

一般的な住宅ローンは、契約者の年齢が80歳を越えるとローンに申し込めません。
しかし、親子リレーローンの場合は、完済時に親の年齢が80歳を越えていても、子どもがローンを完済できるならローンを利用可能です。

なお、詳しい条件は、金融機関によって変わります。
利用する場合は、親子リレーローンを申し込む金融機関の利用条件を事前に確認しておきましょう。

親子リレーローンのメリットは?

●親子リレーローンのメリット:一般的な住宅ローンよりも高額の融資を受けられる

親子リレーローンのメリットは、何といっても高額の融資を受けやすいこと。
親子二世帯の返済能力を担保にできるので、一人で組むローンよりも融資額が大きくなります。
ただし、返済の負担を考えると、住宅ローンの借入額は、年収の5~6倍程度に抑えておくのがおすすめです。

ここで問題になってくるのが、「二世帯住宅は高い」という事実。
一般的な住宅は、そもそも二世帯仕様になっていません。
そのため、二世帯住宅の設計をして新築をするか、中古住宅を購入してリフォームする必要があります。
リビングや水回りが二世帯分必要になる二世帯住宅は、個人のローンだと予算を越えてしまうケースが多いです。

しかし、親子リレーローンで親と子二人分の収入を合わせれば、一人だと手を出せない物件も購入できるようになります。
物件選択の幅が増えるという意味では、非常に効果的なローンです。

●親子リレーローンのメリット:返済期間を長く設定できるので月々の返済が楽

親子リレーローンは、「親が返済する」「親の返済が終わったら子どもが返済を始める」ことが前提になっているため、返済期間も長めに設定できます。
4,000万円のローンを20年で返済するのと、35年かけて返済するなら、どちらが楽かはいうまでもありません。
完済までの期間を長く取っておけばおくほど、月々の返済額も圧縮できます。

なお、親子ペアローンを利用するときは、固定金利を利用するのがおすすめです。
変動金利は、返済期間が長引けば長引くほど、「金利が上昇するリスク」が増えてしまいます。
長期的に考えると、金利の安い内に固定金利で親子リレーローンを組んだ方が良いでしょう。

●親子リレーローンのメリット:住宅ローン控除を使って節税できる

10年以上のローンを組んで不動産を購入した場合、最大13年間「年末時点のローン残債×1%」を、所得税や住民税から控除できるのが、「住宅ローン減税」制度です。
住宅ローン減税制度は、ローンの組み方によってどこまで適用できるかが変わってきます。
親子ペアローンの場合、親も子どものそれぞれ返済義務を背負っているため、両方の世帯が住宅ローン控除を利用可能です。

なお、実際の控除額は、「ローンの返済負担割合」によって決まります。
例えば、4,000万円の住宅ローンを親が2,500万円、子どもが1,500万円返済していく親子リレーローンを組んでいる場合、

  • 親:ローンの62.5%
  • 子ども:ローンの37.5%

を負担しているわけです。
毎年住宅ローンの返済を進めていき、年末に残っているローン残債に上記の割合をかければ、各世帯が利用できる住宅ローン控除額を割り出せます。

住宅ローン控除は、所得税と住民税を節税できる便利な制度です。
使った方がお金を節約できるので、親子リレーローンを利用するなら積極的に活用しましょう。

●親子リレーローンのメリット:ローン設定時の手数料が一人分で良い

親子リレーローンは、住宅ローンを組む際の手数料が一人分しかかかりません。

後述しますが、親子リレーローンと混同されやすい「親子ペアローン」は、「親子でそれぞれ1本ずつローンを組む」契約なのでローン保証料などが倍になります。

実際は二人で返済できる内容なのに、手数料が一人分で良いのはお得です。
また、契約手続きも一本化できるので、申込書類等を記入する手間も防げます。

親子リレーローンのデメリットは?

親子リレーローンのデメリット:相続時もめごとになりやすい
親子リレーローンのデメリットは、権利関係が複雑になってしまうことです。
親子リレーローンで購入した不動産は、基本的に親子で同居するための住まいなので、ローンを支払って同居している子どもが相続します。

しかし、同居してローンを負担する家族以外の人が、納得してくれる保証はありません。
預貯金や生命保険が大量にあり、全相続人に公平な相続できる家でもないと、「家を相続する人だけが得をするのはおかしい」と、法定相続分の分割を求められる場合もあるでしょう。

相続問題は、想像以上にデリケートです。
生前はほとんど親交のなかった親戚や兄弟姉妹の配偶者が口を出してきたり、親の死に伴って我慢していた不満が噴出し、仲の良かった家族の関係がぎくしゃくしたりすることも珍しいことではありません。

一見仲の良い家族でも、相続トラブルになるリスクが潜んでいるので、親子リレーローンを組む場合は、あらかじめもめごとにならないように財産を整理しておきましょう。

●親子リレーローンのデメリット:団体信用生命保険に入れるのは子どもだけ

住宅ローンを組む際、多くの金融機関は「団体信用生命保険」への加入を求めてきます。
団体信用生命保険とは、契約者が死亡・もしくは重度の障害を負った場合、ローン残債を肩代わりしてくれる生命保険のことです。

しかし、親子リレーローンの場合、団体信用生命保険に加入できるのは子どもだけ。
団体信用生命保険は、あくまでも生命保険の一種です。
死亡リスクや病気にかかるリスクが高い人は、そもそも加入できません。
親子リレーローンを利用するということは、親や子世帯だけの収入で手を出せない高額な家を買うということなので、寿命の短い親側に団体信用生命保険を適用すると、保険会社が損をしてしまいます。

そのため、団体信用生命保険で保障されるのは、子ども側の死亡と重度の障害だけです。
万が一ローンの返済期間中に親が亡くなってしまったら、残ったローンは全額子世帯が背負うことになります。

●親子リレーローンのデメリット:完済まで時間がかかる

親子リレーローンは、基本的に二世代かけてローンの完済を目指す仕組みになっているため、なかなか返済が終わりません。
短期間でローンを片付けたいと考えている場合は、住宅ローンの存在が足かせになってしまうでしょう。
また、ローンを完済するまで、気軽に引っ越したり家を買い替えたりしづらいという問題もあります。
ローンを組んでから仕事の転勤やリストラ等が起きると、人生設計を大幅に修正する必要が出てくるので、親子リレーローンで家を買うときは無理のない借入額を融資してもらいましょう。

親子間での「リレーローン」と「ペアローン」の違いとは

●契約の仕組みと返済の方法が違う

親子で組む住宅ローンには、

  • 親子リレーローン
  • 親子ペアローン

の2種類があります。

今回ご紹介している「親子リレーローン」の特徴は、

  • 契約するローンは1本のみ(例:4,000万円のローンを組む)
  • 返済者は2人(例:親が62.5%・子どもが37.5%ずつ返済する)
  • 返済の順番が親から子へのリレー形式に限定される

というものです。

一方、おもに共働きの夫婦が利用する「ペアローン」の親子版である「親子ペアローン」は、以下のような特徴を持っています。

  • 契約するローンは2本分(例:親が2,500万円・子が1,500万円ずつ個別に借りる)
  • 返済者は2人(例:親子はそれぞれ自分で借りたローンを返済する)
  • 別々のローンを契約しているため返済タイミングは親子の自由

同じように「4,000万円のローンを組んで二世帯住宅を買う」という状況でも、リレーローンを使うのか、それともペアローンを使うのかによって、返済の仕方は大きく変わってきます。

●親子リレーローンを使った方が良いケース

親子リレーローンをおすすめするのは、「同居を考えているものの、親または子どもの収入が不安定で一世帯ではローンを組めない」というケースです。
一人では高額な住宅ローンを組めなくても、親子の収入を合算して審査に挑めば、ローンを利用できる可能性が高くなります。

●親子ペアローンを使った方が良いケース

親子ペアローンを組んだ方が良いのは、「お金をかけて住まいのグレードアップしたい」「二世帯同居することになったが、親の希望を聞いていたら予算が足りないので、自分たちでお金を出して欲しい」といったケースです。

「要望を出すときはお金を出す」という選択肢を取れば、間取りや予算決めのトラブルも避けられるでしょう。

親子リレーローンの審査基準

親子リレーローンの審査基準は、

  • 法的な親子関係の有無
  • 親子の年収や勤続年数
  • 過去のローン利用履歴
  • 親子それぞれの年齢
  • 希望する融資額
  • 担保となる不動産の資産価値
  • 同居の予定があるかどうか

などです。

ポイントになるのは、年収・年齢・過去のローン履歴など。
基本的に、住宅ローンは申請者の年収が高ければ高いほど融資を受けやすくなります。
親子の年齢が若ければ、職や収入を失うリスクが低いからです。
ただし、過去に自己破産等の経歴があったり、何度もローン等の滞納を繰り返したり、すでに多額の借金を背負っていたりすると、ローンを利用できません。

とはいえ、住宅ローンの審査基準はあくまでも非公開。
実際にはローン審査に申し込んでみないと結果は分からないので、不動産会社と相談して入念に準備を整えましょう。

返済途中で親が亡くなってしまったらどうなるの?

親子リレーローンの利用中に、もし親が亡くなってしまった場合は、子どもが残りのローンを引き継ぎます。

たとえば、

  • 借入額は4,000万円
  • 親が2,500万円・子どもが1,500万円を返済する親子リレーローンを契約
  • 1,000万円の返済が終わった時点で親が亡くなった

上記のケースだと、子ども側は自分の負担分である1,500円に、親が返済できなかった1,500万円を合わせた計3,000万円の返済を負うわけです。

返済できる場合はそのまま返済を続け、返済できない場合は、

  • 不動産を手放してローンを整理する
  • 金融機関に相談して返済期間や金額を考え直す

といった対応を取ることになるでしょう。

親子ペアローンを利用する際の注意点

親子ペアローン利用時の注意点は、

  • 個人ローンよりも融資可能額が大きいので無理なローンを組んでしまう
  • 相続トラブルが起きやすい
  • 2人分の手数料が必要
  • 住まいの名義や持ち分を動かすと贈与税の対象になる場合がある
  • 親子リレーローンよりも親側の審査が厳しくなる

ことです。

手数料がかかること、親側の返済能力が厳しく審査されること以外は、親子リレーローンと大きな違いはありません。

まとめ

親子リレーローンは、二世帯住宅など、一人では手を出せない高額なローンを組める方法のひとつです。
二世代で返済を進められるので、時間をかけて住宅ローン返済を進めたい人、収入にあまり余裕のない人は、一度利用を考えてみましょう。
ただし、親子リレーローンにもデメリットやリスクはあります。
各ローンのメリット・デメリットやリスクを上手に比較する自信がないなら、自分の状況に最も適したローンを教えてもらうためにプロの不動産業者へ相談しましょう。

 

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