空き家対策とは

最近、空き家についてのニュースが増えています。2015年5月に完全施行された「空き家対策特別措置法」による影響が大きいと思われます。この法律によりこれまでは放置できた空き家ですが、これからは放置によるデメリットも大きいですので対策が必要になります。

今回は、空き家対策について知っておくべき基礎知識と売却についてのポイントをお伝えします。

空き家とは?

空き家について、まずはその定義と判断基準を知ることが必要です。

まず、空き家の定義については空き家対策特別措置法において、「空家等とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいう。」 難しく聞こえますが、簡単に言えば人が住める建物と考えて差し支えありません。

次に、空き家の判断基準については「1年間使用されていないこと」が大きな目安になります。ただし、売却をしようとしている場合には1年間使用されていなくても空き家とは判断されにくいです。しかし、何の管理もせずに数年間放置しているケースでは売りに出しているとしても、実際には売却の意志はないとみなされますので、空き家と判断されてしまう可能性が高いです。

仙台市では、空き家率は15%~18%ですので5~6戸に1戸は空き家という計算になります。空き家バンクなど空き家を活用するための対策が進んではいますが、なかなか結果に結びついているとは言えないでしょう。

空き家を持っていると損をする?

先ほど、空き家の定義と判断基準のお話をしましたが、「空き家を持っていると何か問題があるのか?」と思う方が多いです。実際、空き家対策特別措置法が施行されるまでは空き家を所有していても、特に問題はなかったので増え続けました。

しかし、今後は空き家を放置しておくと損をするケースが増加します。ただし、空き家=損をするというわけではなく、市町村に「特定空き家」と判断された場合に損をする事になります。

<特定空き家の判断基準>

  • そのまま放置した場合に倒壊等のおそれがある
  • そのまま放置すれば、衛生上有害となるおそれがある
  • 適切な管理をしていないため景観を損なっている
  • 近隣の生活環境の保全するために放置することが不適切である

<特定空き家と判断された時のマイナス面>

  • 市町村の立ち入り調査を受ける。断れば20万円以下の過料が科せられる。
  • 市町村から空き家の撤去や修繕などの指導、勧告、命令を受けることがある。
  • 固定資産税の特例措置が除外され、最大6倍の支払い義務を負う。
  • 命令に従わなければ50万円以下の50万円以下の過料や強制撤去をされる。

今後は空き家を放置したままでは特定空き家と判断されますので、このような損失を被らないためにも何らかの対応策を行わなければなりません。

空き家を売却するメリットデメリット

特定空き家と判断されないためには、空き家の早期売却を検討する方もおられるでしょう。 たしかに、そのようなスピーディーな動きも大切ですが空き家を売却するメリットとデメリットを知ってから動かないと、特に金銭的に損をすることもありますので要注意です。

<空き家を売却するメリット>

空き家を売却するメリットは3つあります。

1.特定空き家と判断されない

不動産仲介会社に管理をしてもらいながら売りに出せば、特定空き家としてのデメリットは発生しません。相続などで空き家の実家があったとしても市長村による撤去命令などの心配をしなくともよいです。

2.早期売却により、同じエリアの他の空き家よりも割高で売れやすい

今後は空き家対策特別措置法の影響により、これまで動きの少なかった空き家の売却が活発になることが予想されます。空き家がある場所は交通アクセスや周辺が発展しているエリアであるケースが多く、マイホームにはもってこいです。

売りに出ている空き家が少ないうちは需要と供給のバランスで考えた時、需要が多いですので割高で売れやすいです。

3.早期売却の場合は建物を解体せずにリフォームできるケースもあるので、解体費用分手元にお金が残る

築年数50年を超えるような老朽化した家は別ですが、空き家となって間もない場合はリフォームすれば住むことも可能な家が多いです。そうなれば、空き家を解体して更地にする必要が無くなるため、解体費用分(仙台市であれば、一坪1.8万~2.3万円程が相場です。)がかからなくなり手元に残るというメリットがあります。

注意する点としては空き家として数年間放置してしまうと、急激に建物の状態が悪くなるため早期売却すべきです。

<空き家を売却するデメリット>

1.築年数が相当経過している、老朽化している家の場合は解体費用が必要となる

リフォームができないような空き家は、更地にして立て建て替えるという方法しかありません。買い主は解体後更地の引き渡しか、解体費用分安くしてもらうような条件を提示してくることが多いです。そうなると、解体費用分の経費がかかるので手元に残るお金が少なくなります。

2.解体が難しい場所は二束三文でしか買ってもらえない

空き家を解体して更地にする作業は、物件の全面道路や周辺道路が狭いとトラックや重機が入りにくい、あるいは入れないこともあります。そうなると、小型の重機や多くの人手を手配して解体をします。このような場所は、なかなか買い主が見つからないため売却しても二束三文にしかならない取引が多いです。解体費用と売却価格があまり変わらない可能性も十分にあります。

いくらで売却できる?

空き家の売却価格は、土地面積が広めか狭めかで価格帯に大きな幅があります。その理由ですが、空き家の多くが20年以上前に建てられていますので現在の平均的な一戸建て土地面積に比べて狭めです。

現在の一戸建ては駐車場が2~3台分確保できるような家が人気ですので、土地面積が広めの空き家は相場価格で取引されるケースが予想されます。

しかし、駐車場が1台止めるのがやっとという土地面積の狭めですと相場より1割~2割減での売却価格となりやすいですが、地価の高いエリアであれば相場価格で売却できるでしょう。また、建物の老朽化が激しい場合などは解体や更地にする費用が売り主持ちと考えて、その分を売却価格から差し引いた数字を最終的な売却価格となることを見落とさないようにしましょう。

今回のまとめ

  • 特定空き家と判断されないような対処をする
  • 売却を検討する場合、解体費用などを計算に入れる
  • わざわざ所有する必要がない場合は早期売却が有利

今後は空き家の放置はリスクが高いと言えます。空き家の売却を前提に進めた方が所有者にとってはメリットが大きいです。どうしても所有する必要性が低いのであれば売却という方向性で考えることをおすすめします。