
不動産売却後の税金を節約!リフォーム費用を経費にする方法
2025.01.31リフォーム済みの不動産を売却するとき、リフォーム費用を経費として処理すれば、譲渡所得税や住民税などの税を節税できます。
ただし、取得費や譲渡費用を適切に計上するためには、不動産売却の経費に関する知識が必要不可欠です。
本記事では、不動産売却後の税金を節約するために知っておきたい、税金の仕組みやリフォーム費用の扱い方を解説します。
不動産を売って利益が出ると譲渡所得税が課税される
不動産を売る時、売り主が心得ておくべきポイントの一つが、不動産売却の結果が黒字だと、譲渡所得税・住民税という税金が課されることです。
不動産の売却価格から、不動産購入時の経費である取得費と不動産を売るときの経費となる譲渡費用を差し引いた利益を、譲渡所得と呼びます。
譲渡所得税や住民税は、譲渡所得に一定の税率をかけて納税額を決めるため、譲渡所得が多ければ多いほど、売却価格が高ければ高いほど、税の負担も重くなるわけです。
そこで重要になってくるのが、取得費・譲渡費用という経費を適切に計上すること。
リフォームによって売却価格が上がっても、その分、リフォーム費用を経費として計上できれば、譲渡所得が減るため、支払う税金を節約できます。
取得費がわからない場合、税金が高くなる
適切に経費を計上し、不動産売却後の税金を節税する際の注意点は、取得費がわからないと税金が高くなることです。
税金のルール上、取得費がわからない場合は、「不動産売却価格の5%」を取得費とみなします。
取得費には、不動産購入時に支払った土地の代金や建築費用、仲介手数料などが含まれており、多くの場合、売却価格の5%よりも適切に計上した取得費のほうが高いです。
リフォーム費用を経費にしたいと思っても、リフォーム費用以外の取得費が不明だと税の負担が重くなってしまうので、リフォーム物件の売却時は、取得費の証拠となる領収書や契約書を事前に探しておきましょう。
リフォーム費用は不動産売却時の経費にできるのか
リフォーム費用は、不動産売却時の経費にできます。
ただし、リフォームのタイミングや目的によって、取得費になったり、譲渡費用になったりするため、経費の考え方も押さえておきましょう。
結論からいうと、売却とは関係なく、自分達がより快適に暮らすために行った、キッチンや浴室の改修等は取得費です。
一方、不動産を売るため、売却直前に行った内装のリフォームや、外壁塗装は譲渡費用になります。
また、住宅の性能向上を伴わない日常的なメンテナンスや修繕工事の費用は、経費になりません。
売却のために行ったリフォームであっても、「より良い条件で不動産を売るため」に行ったことが分かる見積書や契約書がないと、譲渡費用にできないため、注意しましょう。
リフォーム費用を経費にする際に押さえておきたい減価償却とは
減価償却とは、経年劣化によって、建物やリフォーム部分の価値がどれくらい減ったのかを計算するための仕組みです。
たとえば、1,000万円のリフォーム工事の価値が、丸5年でゼロになると考えた場合、年間200万円ずつリフォーム部分の価値が下がっていくことになります。
この計算がわかっていれば、リフォームの2年後に家を売る時、「2年間の減価償却費は400万円だから、残り600万円が経費になる」と判断できるのです。
そして、減価償却費は、以下の式で求めます。
減価償却費=リフォーム費用×0.9×償却率×経過年数
償却率は、木造なら0.031、鉄筋コンクリート造で0.015です。
5年前に木造一戸建てを1,000万円かけてリフォームした場合、取得費にできる減価償却費は、
・1,000万円×0.9×0.031×5=134.5万円
となります。
リフォーム費用と併用できる節税の特例
●3,000万円の特別控除
マイホームや相続した空き家を売却する場合、確定申告で「譲渡所得の内訳書」や売買契約書を提出すると、譲渡所得から最高3,000万円控除できる特例を利用可能です。
3,000万円の特別控除は、不動産売却に関する特例の中でも特に節税効果が高く、利用しやすいので、リフォーム費用を経費として計上する際、忘れずに申請しましょう。
●所有期間10年超の軽減税率
不動産を売却した時点で、所有期間が10年を超えている場合、通常の税率よりも譲渡所得税率・住民税率が安くなるという特例です。
本来、所有期間5年以下なら39%、所有期間5年超でも20%かかる税金が、所有期間10年超の軽減税率を適用すると、譲渡所得10%・住民税4%まで下がります。
所有期間がもう少しで10年を超える場合、売却を待つだけで税負担を抑えられるため、覚えておくと良いでしょう。
まとめ
不動産売却後の税金を節約するためには、リフォーム費用を適切に経費として計上することが重要です。
また、減価償却費の計算方法を知り、リフォーム費用と併用できる節税の特例を活用すれば、さらなる節税効果を得られます。
ただし、取得費・譲渡費用・リフォームの目的を証明できる領収書や契約書がないと、リフォーム費用を経費にできません。
必要書類の準備を早めて、リフォーム済み不動産の売却と確定申告に備えましょう。