
不動産を1,500万円で売った場合の納税額は?税の種類と計算方法
2025.01.31不動産を1,500万円で売却した場合、仮に譲渡所得が500万円だとすると、大体100~200万円の税金がかかります。
ただし、節税の特例を利用すれば、譲渡所得税や住民税を非課税にできるケースも少なくありません。
不動産売却後の税負担を抑えるためには、税の仕組みや節税に関する知識が必須です。
今回は、不動産を1,500万円で売った時、いくら税金がかかるのかを自分で計算する際に役立つ、税の種類や計算方法、節税対策をご紹介します。
不動産売却時にかかる税金の一覧と課税額の求め方
●所得税と住民税
譲渡所得税と住民税は、不動産売却後の利益、譲渡所得に課される税金です。
納税額の計算式はシンプルで、
・不動産売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
・譲渡所得×税率
という2ステップで求められます。
取得費は、売却する不動産を手に入れるときにかかった経費、不動産の購入代金や仲介手数料で、譲渡費用は、売却時の仲介手数料や登記費用など、不動産を売る時にかかった経費です。
税率は、不動産売却時に、土地や物件を何年持っていたかで変わります。
所有期間5年以下の短期譲渡所得なら譲渡所得税30%・住民税9%、所有期間5年超の長期譲渡所得なら譲渡所得税15%・住民税5%です。
さらに、復興特別所得税2.1%が上乗せされるため、合計すると短期譲渡所得で39.63%、長期譲渡所得で20.315%課税されます。
●印紙税
不動産の売買契約書を作成する際に必要な税金です。
契約金額に応じた収入印紙を役所や郵便局、法務局等で購入し、契約書に貼って納税します。
不動産売却の場合、取引価格が1,000~5,000万円以下に収まることが多く、納税額は契約書1枚あたり2万円です。
ただし、2027年3月末まで軽減税率が適用され、書類1枚あたり1万円の納付となります。
●登録免許税
売買や相続で不動産の所有者が変わる時、金融機関が設定した抵当権を登記から削除するときに課される税金です。
売買に伴う登録免許税、所有権移転登記の税金は、原則買い主が負担するため、売り主が支払う必要はありません。
しかし、売却を考えている物件に住宅ローンと抵当権が残っている場合、抵当権を解除するための登録免許税は、売り主が負担します。
抵当権抹消登記の登録免許税は、土地・建物一つ当たり1,000円です。
不動産を1,500万円で売った場合の納税額
●所得税・住民税の納税額
・不動産の売却価格:1,500万円
・取得費:850万円
・譲渡費用:150万円
・不動産の所有期間:16年
仮に、上記のような条件で不動産を手放した場合、譲渡所得税と住民税の納税額は以下のようになります。
・譲渡所得=1,500万円-(850万年+150万円)=500万円
・納税額=500万円×20.315%(長期譲渡所得)=101万5,750円
もし、所有期間が5年以下なら、納税額は198万1,500円、約200万円です。
●印紙税と登録免許税の納税額
取引価格1,500万円の場合、印紙税額は1万円となります。
一般的に、売買契約書は売り主と買い主の2通分を作成し、契約の証拠としてそれぞれの手元に残すため、総額2万円の内、自身の契約書にかかる分を負担するケースが多いです。
なお、印紙税は「紙の売買契約書」を作成する際に必須の税金なので、電子契約で不動産を売却する場合、印紙税を納める必要はありません。
一方の登録免許税は、土地・建物一つにつき1,000円なので、マンションや戸建ての場合2,000円かかります。
負担額は、合計1万2,000円です。
不動産を1,500万円で売る時に使える節税制度
不動産を1,500万円で売る時に使える節税制度には、以下のようなものがあります。
・居住用財産の3,000万円特別控除
・相続した空き家を売ったときの特例
・10年超所有軽減税率の特例
居住用財産と相続空き家の特例は、マイホームや相続した空き家を売るとき、譲渡所得から3,000万円控除できる特例です。
売却価格1,500万円でこれらの制度を利用すると、譲渡所得は0、つまり譲渡所得税と住民税が非課税になります。
10年超所有軽減税率の特例は、不動産売却時の所有期間が10年超なら、譲渡所得税が10%に、住民税が4%に減税される制度です。
先ほどの例を用いると、税率が14.21%となるため、納税額は101万5,750円から71万500円まで下がります。
不動産を1,500万円で売るときにかかる税金を抑えるコツ
不動産売却時の税金を抑えるコツは、取得費・譲渡費用を証明できる契約書や領収書を取っておき、節税の特例を利用することです。
経費が多いと譲渡所得が減り、課税負担は小さくなりますし、3,000万円の特別控除を利用できれば、不動産を1,500万円で売っても譲渡所得税・住民税がかかりません。
ただし、3,000万円の特別控除は、土地のみの売却だと使えないため、注意が必要です。
まとめ
不動産を1,500万円で売った場合、譲渡所得税・住民税・印紙税・登録免許税がかかります。
ただし、取得費や譲渡費用を適切に計上すれば、譲渡所得を抑えられますし、税の特例を利用できれば、譲渡所得税と住民税を非課税にするのも夢ではありません。
不動産を売る時は、経費の証拠を集め、節税の特例の利用条件を細かく確認して、税の負担を最小限に抑えましょう。