
投資用物件の売却時に必要な税金は?節税対策や売却時の注意点も紹介
2025.01.31
収益目的で所有している投資用物件を売却する場合、売却益に応じた譲渡所得税や住民税、取引内容によっては消費税もかかります。
不動産売却は、取引価格が多いので、売却後にかかる税の負担は決して無視できるようなものではありません。
売却益を次の投資に回したり、手元により多くの利益を残したりするためには、節税対策の把握も不可欠です。
そこで今回は、投資用物件の売却時にかかる税金や、税以外の出費、節税対策に売却時の注意点などをお伝えします。
投資用物件の売却時にかかる税金と税以外の出費
●譲渡所得税・住民税
投資用物件の売却益に対して、課税される税金です。
売却価格から取得費・譲渡費用といった経費を差し引いた譲渡所得に、税率をかけた額を納付します。
適用される税率は、物件の所有期間が5年以下なら合計で39.63%、所有期間が5年超なら合計20.315%です。
投資用物件は、5年超所有してから売ることで、税の負担を抑えられます。
●印紙税
印紙税は、売買契約書に貼付する、収入印紙の費用です。
投資用物件の売却価格が1,000万円から5,000万円以下の場合、軽減税率が適用され、1万円分の収入印紙を購入し、契約書に貼る必要があります。
一般的に、印紙税は売り主と買い主の両方で折半するケースが多いです。
書類1枚ごとに印紙税がかかるため、事前に収入印紙の必要な書類を何枚作成する必要があるのか、不動産業者や買い主に確認しておきましょう。
●登録免許税
登記の変更や登録をする際にかかる税金です。
売買による所有者変更の場合、所有権移転登記の税金として、固定資産税評価額の0.4%を払います。
不動産の売買では、買い主が所有権移転登記の費用を負担するのが一般的ですが、交渉次第では売り主に費用の一部負担を求められる場合もあるため、覚えておくと良いでしょう。
また、ローン返済中の投資用物件を売却する場合、抵当権を解除する登記、抵当権抹消登記の費用として、土地・建物ひとつあたり1,000円の登録免許税がかかります。
●消費税
売り主が免税事業者(消費税の申告・納税を免除されている事業者)でない場合、消費税の納税も必要です。
土地は経年劣化しないため、土地の消費税は非課税ですが、建物部分の売却価格には消費税がかかります。
なお、取引相手や取引の内容によっては、売り主が課税事業者になったり、インボイスの届け出をしたりする方が良いケースもあるため、注意が必要です。
税制は非常に複雑なので、消費税の扱いについて悩んだときは、不動産業者や税理士に相談しましょう。
●仲介手数料
買い主を探してもらう手数料として、不動産業者に支払う費用です。
宅建業法上、「売却価格×3%+6万円(税別)」が上限とされており、一般的には上限額の仲介手数料を請求されます。
投資用物件の売却価格が2,000万円なら66万円、3,000万円なら96万円の負担です。
なお、支払う仲介手数料が同じでも、仲介を依頼する不動産業者によって、売却期間や売却後の満足度が変わります。
投資用物件を売る時は、複数の業者と面談し、信頼できる不動産業者と契約しましょう。
投資用物件を売却する際に使いたい節税対策
●長期譲渡所得で売る
投資用物件は、所有期間が5年を超えてから売却するとお得です。
売却時の所有期間が5年以下だと、39.63%の譲渡所得税と住民税がかかる一方で、所有期間5年超の長期譲渡所得なら、20.315%の負担ですみます。
所有期間は、「投資用物件を売った年の1月1日時点」の年数で決まるため、取得後4~6年で投資用物件を売却する場合、長期譲渡所得になっているかどうかを確かめてから、売却手続きを進めましょう。
●事業用の資産を買い換えたときの特例を利用する
事業用の資産を売却して別の資産に買い換えるとき、売却時にかかる税金を、「将来買い換えた資産を手放すとき」まで猶予してもらえる制度です。
税金がなくなるわけではありませんが、納税を先延ばしできるため、資金に余裕を作れます。
ただし、投資用物件でこの制度を利用するためには、賃貸物件として利益が出ていること等の条件が必須です。
投資用物件を手放す時の注意点
投資用物件を手放す際の注意点は、マイホームの売却に比べて、使える節税対策が限られること。
投資用物件の売却だと、マイホームや相続した空き家の売却時に使える、3,000万円の特別控除を利用できません。
譲渡所得を大幅に抑える手段がない分、譲渡所得税や住民税が高くなりやすいため、投資用物件を売る時は、「無理なくローンを返済し、納税できる売却価格はいくらか」「売却後手元にいくら残るのか」を考慮した上で、売却プランを立てる必要があります。
まとめ
投資用物件の売却時にかかる税金は、譲渡所得税や住民税、印紙税に登録免許税です。
取引の内容や取引相手によっては、消費税も課税されますし、消費税の申告や納税も求められます。
また、投資用物件の売却は、マイホームなどの売却に比べて使える節税制度が少ないです。
税の負担が重くなりやすいので、投資用物件を売るときは、税理士など専門家の力を借りて、一番負担の少ない売却プランを考えましょう。