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共有名義の不動産を売った場合にかかる税金と確定申告の流れ

2025.01.31

共有名義の不動産を売った場合にかかる税金と確定申告の流れ

共有名義の不動産を売却した場合にかかる税金は、譲渡所得税や住民税です。
また、不動産売却手続きを進める際に印紙税がかかるほか、住宅ローンを組んでいる家を売る場合は、登録免許税もかかります。

これらの税金は、売却後待っていれば自動的に税額が計算され、納税通知が届くわけではありません。
不動産の売り主が自身で確定申告をし、納付する必要があるため、今回は共有名義の不動産を売ったときにかかる税金の種類や計算方法、確定申告のやり方をお伝えします。

共有名義の不動産を売った場合にかかる税金

●譲渡所得税・住民税

譲渡所得税と住民税は、不動産売却の利益、つまり共有名義の不動産売却価格から、取得費や譲渡費用を引いた譲渡所得に対して課税される税金です。
稼げば稼ぐほど税率も高くなる一般的な所得税と違って、不動産を手放した時の所有期間で、税率が変わるという特徴を持っています。

税率は、以下の通りです。
・所有期間5年以内の売却→短期譲渡所得:所得税30%・住民税9%
・所有期間5年超での売却→長期譲渡所得:所得税15%・住民税5%

●登録免許税

登録免許税は、主に不動産の所有権移転登記、名義変更を行う際に課税されます。
不動産売却の場合、新しく名義人になる買い主の負担になることが多いです。

ただし、共有名義の不動産を売却するにあたって、たとえばほかの共有者の持ち分を買い取り、不動産全てを自身の名義に変更してから売却手続きを進めるといったケースでは、売り主が負担することもあります。

売買による所有権移転登記の税率は、土地2.0%・建物0.4%ですが、2027年3月末まで軽減税率が適用されるため、土地1.5%・建物0.3%の課税です。

そのほか、売却する不動産に住宅ローンが残っている場合、ローンを完済して抵当権を解除する登記手続き、抵当権抹消登記が必要になります。
抵当権抹消登記の納税額は、不動産の価値に関わらず、不動産一つにつき1,000円です。

●印紙税

日本では、売買契約書や工事の請負契約書、手形に領収書といった特定の書類を作成する際、印紙税の納付することになっています。
納税額は、契約者に記載されている取引金額に応じ、最低200円から最大60万円です。

一般的な不動産売買価格である、取引価格1,000~5,000万円の売買契約書を作成する場合、納税額は2万円となります。
ただし、2027年3月末まで軽減税率が適用されるため、実際の納付額は1万円です。

印紙税を売り主と買い主のどちらが負担するかは自由ですが、不動産売却では、取引の証拠として双方の手元に売買契約書を残すため、印紙税を折半します。

課税される譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の納税額は、以下の式で計算可能です。
・不動産売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
・譲渡所得×税率

仮に、不動産を2,000万円で売却し、取得費200万円、譲渡費用が200万円だった場合。

不動産の所有期間が5年超で長期譲渡所得なら、課税額は以下の通りです。
・2,000万円-(200万円+200万円)=1,600万円
・1,650万円×15%=240万円

ただし、名義を共有している不動産は、税の負担も持ち分に応じます。
この不動産を2名で共有している(持ち分50%)場合、一人当たりの譲渡所得は800万円なので、譲渡所得税額は800万円×15%=120万円です。

最後に、税の特例を利用できる場合、特例を適用します。
例えば、共有不動産が親族から相続したもので、現在誰も住んでいない場合、3,000万円の特別控除を利用可能です。
控除を適用した後の譲渡所得に税率をかけた金額が、実際に納める譲渡所得税となります。

共有名義の不動産を売った後に行う確定申告の流れ

共有名義の不動産を売った後に行う確定申告の流れは、以下の通りです。

・申告に必要な書類の準備:売買契約書・源泉徴収票・取得費や譲渡費用の領収書等
・確定申告書の作成
・譲渡所得の内訳書(譲渡所得や取得費等を記入する書類)の作成
・申告書類の提出

売却価格が安く、取得費や譲渡費用の計算時点で譲渡所得がゼロ以下になる場合、確定申告をする必要はありません。

しかし、譲渡所得税の納税が必要であったり、節税の特例を使ったりする場合、確定申告が必要です。
確定申告書類の申告は、共有不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までに行います。

共有名義の不動産を手放すときの注意点

共有名義の不動産を手放すときの注意点は、共有者それぞれが個別に確定申告を行う必要があることです。

たとえば、名義の共有者を代表して一人が売却手続きを行っても、申告や納税は各人で行う必要があります。
代表者が申告をしても、それ以外の共有者が申告をしなかった場合、無申告のペナルティーを受けることになるため、覚えておきましょう。

まとめ

共有名義の不動産を売却する際は、譲渡所得税を始めとした各種税の納税や申告が必要になります。
そして、適切な申告や納税、節税をするためには、税制度の理解が不可欠です。

共有者全員が申告を行う必要があるなど、売却時の注意点も少なくありません。
共有名義の不動産をスムーズに売却し、適切に納税できるように、必要に応じて税理士や不動産業者を頼り、売却手続きを進めましょう。

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