
空き家の放置で固定資産税は6倍に!?特定空き家法について解説
2024.05.16
・自分の家があるから
・法律の制限で建て替えられないから
・売却手続きが面倒くさいから
など、さまざまな理由で持っている空き家を放置する方は多いです。
しかし、空き家の放置はおすすめできません。
なぜなら、日本には特定空き家法という法律があり、空き家を放置し続けると、固定資産税が数倍になったり、罰金を取られたりするからです。
今回は、特定空き家法という法律の概要や、2023年12月に行われた改正のポイントを通じて、空き家を放置するリスク、持て余している空き家の適切な扱い方等をお伝えします。
特定空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)とは
空家等対策の推進に関する特別措置法、通称「特定空き家法」は、日本の空き家を減らすための法律です。
空き家は個人の所有物なので、敷地内のゴミで周囲に悪臭が漂っていても、建物が倒壊しそうになっていて危険な状態でも、原則として行政はお願い以上の対応ができませんでした。
しかし、空き家が増えると、新しい住民は引っ越して来られませんし、景観・衛生・防犯面の問題も出てきます。
そこで、一定の条件を満たした「特定空き家」に関しては、行政が所有者に対して「適切に管理しなさい」と指導できるようにしたのが、特定空き家法なのです。
2023年12月に特定空き家法が改正された
特定空き家法で、建物の管理や処分について所有者に指導できるのは、もともと、ほぼ完全に放置されており、危険性や衛生上の問題を抱えていると認められた物件、特定空き家だけでした。
従来の法律では、「大きな問題にはなっていないが、敷地内にゴミがある家」「一部分壊れたり劣化したりしている家」など、特定空き家未満の問題物件には対処できません。
そのため、2023年12月の法改正によって、放置が続くといずれ特定空き家になる物件、「管理不全空き家」という区分が新たに設けられ、管理不全空き家に対しても、行政が定期的な換気や掃除を所有者へ指導できるようになりました。
放置で固定資産税が6倍にアップ!?空き家を放置するリスクとは
●管理不全空き家・特定空き家に認定されると固定資産税が高額に
通常、住宅が建っている土地は、固定資産税の軽減措置が適用されるため、固定資産税は本来の金額の3分の1から6分の1程度まで圧縮されます。
しかし、特定空き家法の定める管理不全空き家または特定空き家に認定されると、軽減措置の対象外となり、固定資産税が高くなってしまうのです。
また、不動産の適切な管理や掃除について指導され、対応をしないと罰金などの処分を受けることになります。
●放置している空き家で事故・事件が起きた場合責任を追求される
もし、放置している空き家に近所の子どもが入り込んで怪我をしたり、住宅の倒壊によって他の家を破損させたりした場合、空き家の所有者は責任を追求されるという点にも注意が必要です。
「知らなかった」「勝手に敷地に入るほうが悪い」と主張しても、空き家を持っている限り、管理者として損害賠償や慰謝料を請求されるリスクをゼロにはできません。
使わない空き家を持っている場合はどうすれば良いの?
●定期的な清掃やメンテナンスで維持し続ける
空き家を持っており、自分で使う予定はないが手放したくもない場合、定期的に換気・清掃・補修を行って空き家を管理しましょう。
管理不全空き家や特定空き家に認定されるのは、劣化・老朽化・放置等によって周囲に迷惑をかける物件です。
空き家であっても、定期的に掃除していれば、固定資産税の軽減措置を外される心配はありません。
●他人に貸し出す
空き家を自分で管理する余裕はない、住む予定もない場合、第三者に家を貸すという手もあります。
他人に家を貸し出せば、日常的な掃除や換気を入居者にやってもらえますし、住宅設備の不調や破損、老朽化も教えてもらえるので、「いつの間にかリスクの高い空き家になってしまった」という事態を避けられるでしょう。
ただし、賃貸物件として立地や家賃などに魅力がないと、入居者を確保できないため、他人に貸す場合は「市場で価値がある物件なのか」を見極めることが重要です。
●管理が面倒なら売るのが一番
空き家を管理するのが面倒なら、思い切って売却しましょう。
空き家を売却すれば、固定資産税を納める必要がなくなりますし、自身の知らないところで事故や事件が起こり、責任を追求されることもありません。
持っているだけで維持費や管理の手間がかかる以上、将来的に土地や家を活用する予定がなければ、不動産を保有しておくメリットは薄いです。
まとめ
使っていない空き家を長期間放置すると、行政によって「管理不全空き家」や「特定空き家」に認定され、固定資産税が高くなったり、場合によっては建物の解体費用などを請求されたりする可能性があります。
特定空き家法という法律がある以上、不動産の管理義務からは逃れられません。
家を持っていても、使う予定がなければ維持費で損をするだけなので、空き家を管理するお金や時間がない場合は、早目に売却して空き家リスクから解放されましょう。