
親の家を売却する方法と売却時の注意点について解説
2024.03.01「そろそろ親も高齢だし、家を売って同居して欲しい」など、さまざまな理由から親の家を売る時は、慎重に手続きを進める必要があります。
なぜなら、本来不動産を売却できるのは、登記簿上の所有者だけだからです。
親との仲がこじれたり、手続きにミスがあったりすると、スムーズに不動産を売却できません。
今回は、親の家を売却する方法や、売却時の注意点等を解説します。
自分の持ち物でない「親の家」を売却する方法
●親を説得して本人に売却してもらう
親が認知症などでなく、十分な判断力を持っている場合、親自身に売却手続きを進めてもらうのが最も無難です。
不動産の所有者本人が、自分の意思で売却手続きを進めることになるため、法的な問題もありませんし、親が亡くなった後、不動産の扱いについて親族から文句を言われる心配もありません。
ただし、親にとっては住み慣れた我が家を手放すことになるので、説得の際は細心の注意を払いましょう。
家を売るメリット、持っているデメリットを説明するだけでなく、感情面で寄り添い、売却に納得してもらうことが大切です。
●委任状を作ってもらい親の代わりに売却する
入院中など、判断能力に問題はないものの、親が自分で売却手続きできない場合は、委任状を作ってもらいましょう。
委任状の書式は自由です。
・委任者と受任者の名前・住所
・日付
・委任内容(不動産売却を委任すること、売却価格、物件の引き渡し日など)
・売却を委任する期間
・実印での押印
を記入した委任状があれば、不動産の所有者である親本人が立ち会わなくても、不動産売却を進められます。
●成年後見人を立てて売却する
不動産を所有している親が認知症などで、十分な判断能力を失っている場合、本人の手による売却もできませんし、委任状を使った売却もできません。
こういったケースでは、家庭裁判所に申し立てを行い、法定後見人を指名してもらいましょう。
法定後見人は、本人の代わりに本人の財産を管理する権限を与えられる存在なので、成人の親族が法定後見人に選任されれば、親の家を売却可能です。
ただし、法定後見人を選ぶのは裁判所なので、親族以外の弁護士などが選任される場合もあります。
親の家を売るメリット
●家を売ったお金を老後資金などに使える
親の家を売却する一番のメリットは、不動産の売却代金を親の生活費・医療費・介護費用等に使えることです。
たとえば、介護などの関係で親と同居する際、自宅をバリアフリー改修する費用を一部負担してもらえば、同居のハードルが下がるため、お互いに気兼ねなく過ごせます。
また、介護施設への入居費用として不動産の売却代金を使っても良いでしょう。
古い家を売って住みやすい駅周辺のマンションに買い替えたり、資産運用したりと、現金があればできることは多いです。
●相続トラブルのリスクを下げられる
不動産は、現金と違い、複数名で公平に分割するのが難しいという性質を持っています。
つまり、不動産は相続トラブルの原因になりやすい財産なのです。
親は「家族仲が良いから相続トラブルなんて起きない」と思っていても、いざ遺産相続の場で不動産を相続する者とそうでない者が出たら、トラブルになる可能性は十分に考えられます。
しかし、親の家を売って現金を残すかたちにしておけば公平な分割ができるため、相続トラブルのリスクを下げられるのです。
親の家の売却が必要になるシチュエーションとは
親の家の売却が必要になるのは、以下のようなシチュエーションです。
- 親が介護施設へ入居する
- 親を引き取り同居する
- 住み替えを計画している
基本的に、親が現在の住まいから離れる場合、家を維持していくか、それとも売った方が良いのかを考える必要が出てきます。
親の財産は、いずれ相続にも関わってくるため、「親のことだから」と任せきりにせず、家の扱いを家族で話し合うことが大切です。
親の家を売るときの注意点
親の家を売る時の注意点は、不動産業者探しに力を入れること、そして業者探しに協力すること。
残念なことに、不動産業界にはあくどい業者も存在します。
本来なら3,000万円前後で売れる家を、2,000万円で手放してしまったといった事態を避けるために、信頼できる業者と契約する必要があるのです。
一社だけに相談をしても、その業者が良い業者なのか良くない業者なのかはわかりません。
複数の業者に査定を頼み、対応や説明のわかりやすさなどを比較して、良い業者を吟味しましょう。
まとめ
親が持ち家を持っている場合、いずれ「親の家をどうするか」を考えるタイミングがやってきます。
なぜなら、不動産は分割しづらく、相続トラブルにつながりやすい財産だからです。
ただ、親の家は親の所有物なので、売却する場合は本人に売ってもらうか、委任状を作るか、法定後見人を立てて売る必要があります。
不動産の扱いを後回しにした結果、親が認知症などになり、売却の難易度が上がると自分達が困ることになるため、不動産の扱いは親が元気でいるうちに話し合いましょう。