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事故物件を売るときの注意点は?告知義務や売却時のポイントを解説

2023.11.07

事故物件を売るときの注意点は?告知義務や売却時のポイントを解説

いわゆる事故物件は、瑕疵について告知した上で売却手続きを進める必要があります。

ただし、事故物件は、告知事項の中身によって売却価格が相場よりも安くなる不動産です。
非常に特殊な住宅なので、事故物件をスムーズに売れるように、今回は事故物件の概要や売却価格への影響、告知義務の基本等について解説します。

事故物件って何?

事故物件とは、主に人間の死に関係するような事件や事故が起きた不動産のことです。
事故物件は、住宅としての性能や状態に何ら問題がなくても、「できれば購入したくない」「心理的瑕疵があると分かっていれば購入しなかった」と考える層が多いので、市場価格よりも安く売買されていますし、買い主に対する告知義務も設定されています。

事故物件だと売却価格はどれくらい落ちるのか

●自然死・事故死の場合

基本的に、自然死・事故死、つまり老衰や病死、浴室などでの事故による住民の死亡については、事件性や不審な点がないため、家の中で誰かが亡くなっていても特に価格は下がりません。

ただし、住民が自然死・事故死してから発見されるまで時間がかかり、ご遺体が腐敗してしまった場合、部屋に臭い等が染み付いてしまいます。
特殊清掃が必要になる状態だと、心理的に抵抗を覚える方が少なくないため、本来の市場価格からは10~20%ほど売却価格が下がることが多いです。

●自殺の場合

自殺の場合、自然死や事故死よりも大きく売却価格が下がります。
やはり、心理的に何となく気になるという方が増えるからでしょう。
また、自然死に関して告知する必要はないのですが、自殺の場合は買い主に告知する必要があります。
情報を伏せても、噂話などで買い主に知られてしまうため、売却価格は20~30%ほど安くなることが多いです。

●他殺の場合

事故物件の中で、最も売却価格が下がるのは他殺のケース。
衝動的な動機による事件はもちろん、凄惨な事件やニュースになるような大きな事件だと、売却価格が市場価格の半額以下になることも少なくありません。
大きな事件は、地域住民の記憶に長く残ります。
周囲から「あんなことがあった家を買うのは誰か」と注目されてしまうので、市場で売却する場合は大幅な値下げが必要になるでしょう。

事故物件を売る際に知っておきたい告知義務の話

●事故物件の売却時は何があったのか買い主に告知する義務がある

いわゆる事故物件を手放すときは、買い主に対してどのような事件・事故が起きたのか、告知するよう宅地建物取引業法で義務付けられています。

なお、どこまで告知すべきか、どの程度の問題なら告知しなくて良いかは長年議論されていましたが、2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定済みです。
ガイドラインでは、自然死や日常生活の中での事故死は告知不要で、それ以外の事件・事故に関しては、時期・場所・死因・特殊清掃の有無などを伝える必要があると定められています。

●告知義務違反は損害賠償等の対象になる

もし、告知義務の対象となっている瑕疵を買い主に伝えなかった場合、買い主から損害賠償を請求されるため、注意が必要です。
賃貸の場合、告知期間は原則3年ですが、売買に関しては明確な期限がありません。
たとえ数十年前の事件だったとしても、告知義務を怠ると訴えられてしまいますし、事故物件の告知義務は、建物を解体してもなくなりません。

不動産売却では、売り主が知っているかどうかに関わらず、引き渡した物件の現況と契約書に書いてある物件詳細に違いがあると、売り主の責任が追求されます。
そのため、不動産を売るときは、「自分も知らない告知事項がないか」を確認することが大切です。

事故物件を売るときのポイント

●不動産業者に協力してもらう

事故物件を売るときは、不動産業者に相談しましょう。
基本的に、事故物件を独力で売ろうとするのは現実的ではありません。
物件の査定や市場の動向、告知事項があっても気にしない買い主の選定など、プロに手助けしてもらえば売却の可能性を高められます。

また、どうしても仲介で売れない場合、訳あり物件を引き取ってくれる買取業者に相談するという手もあります。

●数年待ってから売る

事故物件は、事故・事件の記憶が残っている状態だとなかなか売れません。
そのため、基本的には、数年待ってから売ることをおすすめします。
焦って不動産を市場に出したところで、買い主が見つからなければ、「事故物件でなおかつ売れ残っている物件」という良くないイメージが付くだけです。
ある程度、世間の記憶が薄まるまで待って、少しでも良い条件で売り出せる時期を見定めましょう。

まとめ

事故物件は、積極的に購入したいと考える方が少ないので、売却価格は市場相場の10%から50%ほど安くなってしまいます。

また、人の死に関する事項は、宅建業法や政府のガイドラインで定められた告知義務。
告知義務を遵守しなかった場合、たとえ数十年前の事件でも訴えられて裁判になり、損害賠償を支払う可能性があります。

扱いに細心の注意が必要な不動産なので、事故物件を売るときは、不動産業者に相談し、慎重に売却手続きを進めましょう。

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