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共有名義の不動産はどうやって売却する?売却方法や注意点を解説

2023.11.06

共有名義の不動産はどうやって売却する?売却方法や注意点を解説

不動産は、すべてを自分のものにするだけでなく、複数人で権利を共有する場合もあります。

ただし、一つの不動産を複数名で共有している場合、不動産を売却したり解体したりするためには、ほかの共有人から同意を得る必要があるため、通常の方法では不動産を売却できません。
今回は、共有名義の不動産を売る方法や、共有名義の不動産を手放すときの注意点などを解説します。

不動産の共有名義とは

不動産の共有名義とは、不動産の所有権(名義)を複数人で共有している状態のことです。
たとえば、相続などで親の不動産をきょうだい2人で相続した場合、一人が不動産の50%を、もう一人が残りの50%を所有していることになります。
相続だけでなく、「親子ペアローンで家を買った」「夫婦の共有名義でローンを組んだ」「ビジネスパートナーと不動産を取得した」など、不動産を共有するケースは少なくありません。

共有名義の不動産を売る方法

●自分の持分を売却する

共有名義の不動産は、自分の持分だけならいつでも売却できます。
たとえば、父が亡くなり、実家を兄と自分の2人で共有した場合、自分が持っている実家の50%は兄の同意を得ることなく売却して良いのです。
ただし、共有名義の不動産は、あくまでも複数人で所有しているもの。
買い主側からすれば、買っても自由に使えないので、共有名義の持分は、売りに出してもほとんどの場合は売れません。
基本的には、不動産の買取業者か、自分以外の共有名義人、この場合は兄へ売ることになります。

●所有者全員の同意を得て不動産全部を売却する

共有名義の不動産を売る方法として最も理想的なのが、所有者全員の同意を得て、全員で一気に不動産を売却することです。
同意を得るのは大変ですが、一人の買い主に一つの不動産を丸々売却できるので、買い主も見つけやすいですし、高額売却も狙えます。
不動産が売れたら、持分に応じて売却代金を分け、各々で確定申告や納税を行うのが一般的です。

●他の共有者の持分を買い取り個人の不動産として売却する

資金に余裕がある場合、他の共有名義人の持分をすべて買い取り、不動産を完全に自分の所有物にしてから売るという手もあります。
お金も時間もかかりますし、共有名義人の説得も困難ですが、名義を統一するため、通常の不動産売却と同じように売却可能です。
持分の売却と違って、「知らない間に不動産の一部が別人のものになっていた」という感情的な対立から来るトラブルも起こりません。

●土地の場合は分筆して自分の土地を売るという手も

分筆とは、土地の境界線を引き直す手続きのことです。
たとえば、一つの土地を分筆すると、それぞれが違う住所の土地として登録されます。
何らかの事情で土地を共有していても、自分の持分を分筆して100%自分が所有している土地にすれば、個別に売却可能です。

ただし、共有名義の土地を分筆する場合、どこに境界線を引くのか、他の名義人と交渉して決める必要があります。

●リースバックを利用する

リースバックとは、不動産を投資家や賃貸業者などに売ってその代金を受け取りつつ、家賃を払い、売った家に住ませてもらう売却方法のことです。
多くの場合、ご高齢の方がまとまった資金を得つつ、住み慣れた我が家で暮らし続けたい時に利用される方法ですが、共有名義の不動産を売却する際、「自分はこの家に住み続けたい。売りたくない」という名義人がいる時にも使えます。
売りたい名義人は不動産を手放し、住みたい名義人は家賃を払って住み続けられるので、名義人間で意見が対立していても問題ありません。

共有名義の不動産を手放すときの注意点

●まとめて売る場合は売却者全員の身分証明書が必要

共有名義の不動産をまとめて売却する場合、名義を手放す方全員の身分証明書が必要になります。
また、売却する名義人が複数いる場合、代表として買い主や不動産業者とやり取りする窓口係を決めておくことが重要です。
名義人同士で最低限の売却金額や売却期間、売却代金の分割割合などを共有していないと、売却中にトラブルになってしまう可能性があります。

●自分の持分を買取業者に売却するとトラブルになりやすい

共有名義の持分を、自分の分だけ買取業者に売却するとトラブルになりやすいです。
なぜなら、本来なら自由に使えない不動産の共有名義を買い取る業者は、多くの場合、その後、残りの持分を売買することを目的としているから。
買い取りをお願いした業者が悪徳で、相手がトラブルになった場合、持分を売却した自身がほかの名義人から責められてしまいます。
そのため、自分の持分だけを売るときも、ほかの名義人には必ず伝えておきましょう。

まとめ

共有名義の不動産は、持分だけでも売却できます。
ただし、ほかの名義人に黙って持分を売却すると、売却額も小さくなりますし、自分以外の共有名義人とトラブルになる可能性が高いです。
基本的に、持分をまとめて一つの不動産として売った方がお得なので、名義を共有している不動産を売るときは、所有者と話し合って売却のメリットを伝えたり、リースバックを提案したりして売却の同意を得ましょう。

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