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不動産売却の基礎知識!手付金の役割や相場について解説

2022.11.24

不動産売却の基礎知識!手付金の役割や相場について解説

不動産売却では、売買契約を結ぶときに手付金を求めるケースが多いです。
売り主としては、決済よりも早く、ある程度のお金が入ってくるというありがたい手続きですが、取引の経過によっては手付金を返金する場合もあります。

お金が入ってきたからと手付金を使い切ると、後々、自分が困る可能性もあります。
今回は、不動産売却における手付金の役割や、金額の相場、手付解除のルール等をご紹介します。

不動産売却の手付金って何なの?

●安易な売買契約解除を防ぐための違約金

不動産売却における手付金とは、簡単にいうと売り主・買い主の安易な契約解除を防ぐための違約金です。
手付金ありで売買契約を結んだ場合、買い主側が契約解除をするためには、手付金を放棄する必要があります。

逆に、手付金ありの売買契約を結んでいる状態で、売り主側が契約解除をするためには、もらった手付金の倍額を買い主に支払う必要があるのです。
このように、売買契約を交わした後の解約に対して、「手付金の分だけ損をする」というリスクを持たせるのが、手付金の主な役割となっています。

●不動産売買に手付金が利用されている理由

そもそも、どうして多くの不動産の売買で手付金が使われているのかというと、不動産の売買契約を途中解約できるようにするために、手付金が必要だからです。

実は、売買契約のような法的拘束力の強い契約は、基本的に解約できません。
たとえ買い主が住宅ローン審査に落ちても、引き渡しまでの間に火事が起きて家がボロボロになっても、売買契約を交わした以上は売り主に不動産を引き渡す義務があり、買い主にはお金を支払う義務があります。

ただ、上記のような状態で、不動産売買契約を無理やり成立させるのは現実的な取引とはいえません。

そこで役立つのが、手付金です。
手付金は、民法で「契約が成立したことを証明する」「残金の支払いや登記の変更が行われる前なら無条件で契約を解除できる」「一方的な解約があった場合損害賠償の代わりに手付金を回収できる」という3種類の機能が認められています。
つまり、本来解約できない売買契約に手付金を適用すると、一定期間内ならペナルティーなしで解約したり、一方的に解約されたときに手付金という違約金を取って損失を抑えたりできるようになるのです。

手付金の相場や入金のタイミング

手付金の相場は、不動産価格の10%前後です。
仮に不動産を3,000万円で売却する場合、売買契約を交わしたときに手付金として300万円をもらい、残金の2,700万円を不動産の引き渡し時に払ってもらうことになります。

なお、手付金の相場10%はあくまでも目安です。
売り主と買い主の交渉次第では、手付金を1%にしても50%にしても構いません。
ただ、手付金が高すぎると買い主が見つからなくなりますし、手付金が少なすぎると買い主側が一方的に解約してもあまりダメージを受けないため、引き渡し直前で解約されてしまうというリスクがあります。
途中解約されると、広告を出して買い主を探す作業からやり直すことになるため、冷やかしを防ぐという意味でも5%から20%の範囲で手付金を設定すると良いでしょう。

契約解除でお金をもらえる!?手付解除のルールとは

手付金を設定していると、登記の変更や残金の支払いといった売買を進めるための行動を起こす前日までなら、ペナルティーなしで売買契約を解除できます。
また、ペナルティーなしで解約できる期間を過ぎても、違約金を払えば契約解除可能です。
違約金が発生する契約解除のことを、手付解除と呼びます。

手付解除のルールは、以下の2点です。

  • 買い主側の事情で解約する場合:売り主はもらった手付金を返さなくて良い
  • 売り主側の事情で解約する場合:売り主が買い主に手付金の倍額を支払う

無料で解約できる期限を越えると、売り主側からのキャンセルにも違約金がかかるため、不動産を売却するときは、売り主も安易に売買契約を途中解約しないよう気をつけましょう。

手付金の注意点

手付金の注意点は、手付金の額やペナルティーなしで解約できる期限を決め、売買契約書に文章として盛り込むことです。
たとえば、「ペナルティーなしで解約できる期限は具体的にいつか」を想定していなかったり、買い主と十分に意思疎通できていなかったりすると、相手は問題ないタイミングで解約したと思っていても、売り主としては問題のあるタイミングで解約される可能性があります。

契約書を作る以上、トラブルが起きたときの対応は契約書に何が書かれているかで決まるため、手付金の設定は必ず文書化しましょう。

まとめ

不動産売却をする場合、売り主は手付金を受け取ることになります。

不動産の売買では、手付金をもらうからこそ契約締結後の解約ができるようになっているので、不動産の売り主になるなら手付金の扱いや手付解除のルールを把握しておきましょう。
売買契約書で手付金の詳細を決めておけば、途中解約に関するトラブルも回避できます。

 

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