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親が認知症になったときの不動産売却手段!成年後見人制度とは

2022.11.24

親が認知症になったときの不動産売却手段!成年後見人制度とは

不動産の売買契約という大きな決断を下すためには、十分な判断能力が必要不可欠です。

ただし、少子高齢化が深刻化する現代では、親が認知症になってしまい、不動産売却に必要な売却意思の確認ができなくなってしまうというケースが少なくありません。

そんなときに役立つのが、認知症や寝たきりになった親の代わりに不動産売却を進められる、成年後見人制度です。
この記事では、成年後見人制度を使った不動産売却の方法や、注意点について解説します。

成年後見人制度とは

成年後見人制度とは、認知症等の影響によって十分な判断能力を維持できなくなってしまった方の財産を、本人の代わりに管理する後見人の選出手続きです。
認知症になると判断能力や記憶力が低下し、だまされやすくなってしまうため、日本では「認知症の方がサインをした契約は無効にできる」というルールが適用されています。

ただし、不動産を売却できるのは所有者本人のみというルールがある以上、不動産を売った方が良い状態、例えば「老人ホームへの入居資金が足りないので不動産を売りたい」といった状況でも、本人が認知症だと不動産を売却できません。
そのため、成年後見人を立てると、所有者が認知症でも不動産を売却できるという仕組みになっているのです。

なお、成年後見人は、家庭裁判所に申し立てをして選んでもらう必要があります。
成年後見人になった後も、財産の管理や不動産売却の妥当性や必要性を裁判所にチェックされるため、成年後見人になれば親の財産を自由にできるというわけではありません。

成年後見人にはどうやったらなれるの?

成年後見人になるためには、以下のような準備と手続きが必要です。

  • 医師の診断を受けて認知症の症状を確認する
  • 成年後見人制度の申し立てに必要な書類を揃える
  • 4親等内の親族が家庭裁判所で成年後見人制度の申し立てをする
  • 裁判所の審判が出て成年後見人が決まる

成年後見人を立てるためには、医師の診断で「本人に十分な判断能力がない」ことを証明する必要があります。
また、成年後見人の申し立てができるのは、玄孫やいとこ・伯父伯母なども含む4親等内の親族だけです。
さらに、成年後見人は、親族だからといって申し立てをすれば必ず申立人がなれるわけではありません。
裁判所の判断によっては、弁護士など利害関係のない第三者が指名される場合もあります。

成年後見人制度を利用した不動産売却の進め方

●不動産業者から見積もりを取って売却の仲介を頼む

成年後見人制度を利用して認知症になった親の不動産を売却する場合、まずは不動産業者の見積もりを受けましょう。
このときに重要なのが、複数の不動産業者に査定をお願いすることです。
不動産は、どの業者に売却を仲介してもらうかで売却価格が変わります。
相談しやすい業者、説明や対応の丁寧な業者と契約できれば、その分売却結果も良くなる可能性が高いです。
納得できる不動産業者を見つけたら、仲介契約を交わして買い主探しを始めます。

●買い主が見つかったら停止条件付きの売買契約を結ぶ

条件の合う買い主を見つけたら、次は売買契約です。
ただし、認知症の親の不動産を売るときは、たとえ成年後見人であっても家庭裁判所の許可を得る必要があります。
不動産売却の条件や不動産を売る必要性によっては、裁判所の許可が下りない可能性もあるので、売買契約を交わす場合は、「裁判所の許可が下りなかったら、違約金などなしで契約を白紙に戻す」という停止条件を設定しておきましょう。

●家庭裁判所に不動産売却の許可を申し立てる

停止条件付き売買契約を結んだら、最後に行うのが、家庭裁判所に対する不動産売却の申し立てです。
認知症の親の不動産を売る場合、「不動産を売る必要があるのか」「売買条件に不審な点はないか」「不動産を売ることで本人が損をしないか」などを家庭裁判所にチェックしてもらう必要があります。
無事に許可が下りれば、決済と不動産の引き渡しです。

成年後見人制度を利用するときの注意点

家庭裁判所の判断によっては、申し立てを行った親族ではなく、弁護士や司法書士が成年後見人に指名されるケースもあり得ます。
この場合、弁護士や司法書士に仕事として財産の管理をお願いすることになるため、月々数万円程度の費用負担が必要です。
なお、費用の支払いは、本人の財産から行われます。
安易に成年後見人の申し立てをすると、結果的に遺産が減ってしまうため注意が必要です。

まとめ

認知症になった親の不動産を売る必要が出てきたら、家庭裁判所に成年後見人の申し立てを行いましょう。

ただし、成年後見人の役割は、あくまでも本人の財産を保護することです。
後見人になったからといって、自由に親の財産を使ったり処分したりできるわけではありませんし、弁護士などが選出されると別途費用もかかります。

簡単に利用できる制度ではないので、成年後見人制度を使うときは、親の不動産を売った方が良いのか、ほかに良い方法がないかを考えた上で、申し立てを行いましょう。

 

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