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不動産を何度も売るのは違法!?「反復継続」にあたる不動産売却とは

2022.03.08

不動産を何度も売るのは違法!?「反復継続」にあたる不動産売却とは

不動産は、専門的な資格がなくても売却できます。

ただし、利益を目的とした複数回の不動産売却、「反復継続」の取引をするためには宅建業の免許が必要です。
不動産の売り方や不動産売却の回数によっては、違法行為をするつもりがなくても無免許営業扱いとなり、罰則を受けることになってしまいます。

ここでは反復継続の定義や反復継続を避けるためのポイントを押さえていきましょう。

反復継続って何?

反復継続とは、「不動産を何度も売買する」という意味の用語です。
不動産売買のルールをまとめた宅地建物取引業法では、「土地や建物を安く仕入れて高く売る」「さまざまな物件の売り主と買い主の間を仲介して手数料を受け取る」といった継続的な不動産ビジネスを免許制にしています。
「古くなった不動産の住み替え」「相続したのは良いものの使う予定のない不動産の売却」といった私的な不動産の売却なら免許は不要ですが、反復継続の不動産売却をすると無免許営業になってしまうため、注意が必要です。

なお、宅建業法違反の無免許営業だとみなされた場合、本人が反復継続や宅建業免許について知らなくても罰則の対象となります。
法律違反が「知らなかった」では済まされないからこそ、不動産売却では反復継続の取引を回避するための知識が必要なのです。

反復継続の取引をするリスク

●3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑

宅建業法の免許を持たない一般人が反復継続の不動産取引をした場合のリスクは、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑」となっています。
運転免許を持たない者の運転行為、医師免許がない人の治療行為、弁護士資格がない者の弁護士業務がどれも重大な罰則の対象になるのと同じように、宅建業法でも無免許営業に対するペナルティーは軽くありません。
取引の内容が悪質だと判断された場合、懲役と罰金刑の両方が科せられることもあります。

●無免許営業または無免許営業のほう助も罰則の対象

・不動産を売買するための法人を設立し、無免許営業している
・個人で仕入れてきた不動産売却の仲介を何度も業者に頼み、差額で儲けた

など、法人が絡む場合の処罰は個人に向けたものより重いです。
法人として宅建業の無免許営業をした場合、1億円以下の罰金刑に処されます。
また、不動産売却の仲介を頼んだ業者も無免許営業のほう助をしたことになるので、関係者の逮捕・営業停止処分等の対象です。
たとえば、相続などで手に入れた不動産を売却したところ高額で売れたため、節税目的のために法人化して何度も不動産の仕入れと売却を繰り返すと、処分を受けることになります。

反復継続には明確な基準がない!?

免許を持たない者による不動産売却の反復継続は、宅建業法違法です。
しかし、どういった取引をすると法律違反になるかは、明確な基準があるわけではありません。
極端な話、たった一度の不動産売却でも、その中身や目的によっては反復継続とみなされるケースがあるのです。
逆に、人生の中で何度も不動産を売っているのに、反復継続にならない場合もあります。

では、どのような基準で反復継続かどうかが判断されるのかというと、事業性があるのか、つまりお金儲けを目的としているかどうかです。
以下5つの項目のうち、一つでも該当するものがあれば、事業性ありと判断されます。

1.不特定多数に不動産を売り込んでいる
2.住み替えや相続税の納税資金確保といったプライベートの事情ではなく、利益を求めている
3.自分で使う予定のない不動産を仕入れて売っている
4.自分で買い主を探して直接取り引きしようとしている
5.継続的に不動産を売ろうとしている

たとえば、競売物件を安く仕入れ、リフォームして資産価値を高めてから売るといった取引は、仕入れ値と売却価格の差額を儲けるための行為なので、反復継続性が高いです。
投資用の物件を仕入れて価格が上がったタイミングで売ったり、所有している一棟マンションの部屋を個別に売ったりするのも反復継続の取引となります。

反復継続を回避するためのポイント

反復継続を回避し、懲役や罰金刑を受けないようにするポイントは、転売をしないことです。
事業性の低い取引、たとえば「相続した不動産を売る」「住み替え資金が欲しいので現在の住まいを売る」「個人取引ではなく不動産業者に仲介を頼む」場合は利益を目的としていないため、反復継続になりません。

とはいえ、不動産を手に入れた経緯等によっても事業性の判断は変わります。
不動産を売るときは免許を持った業者に相談し、反復継続性がないかを相談すると良いでしょう。

まとめ

反復継続の不動産売却は、宅建業法違反の無免許営業なので、懲役や罰金刑の対象となります。
ただし、取引内容が反復継続にあたるかどうかは不動産売却の内容次第。一回の取引でも、転売など事業性が高いと問題になるので注意が必要です。
一個人の判断だと誤って反復継続の取引をしてしまう可能性もあるので、不動産を売るときは、業者と相談して違法な取引にならないよう注意しましょう。

 

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