
登記していない土地は売買できる?訳あり不動産の扱い方
2022.02.18登記していない土地も、売買可能です。
ただし、不動産市場において、登記されていない土地は買い主にとってハイリスクな資産なので、未登記のまま売り出すのはおすすめできません。
そこで本記事では、登記していない土地を売買する上で知っておきたい、登記の基礎知識や未登記不動産の売買方法、売買時の注意点などを解説します。
不動産の登記とは?
●登記とは
登記とは、土地や建物が「誰のものなのか」を記録し、公表する仕組みのことです。
不動産の「所有者」「所在」「面積」などを記録した登記簿は、法務局という公的機関で管理されており、誰でも内容を検索できますが、登記の変更や削除は権利者本人にしかできません。
登記があるからこそ、第三者が所有者になりすまし、勝手に家や土地を売買したり、相続したりできないようになっています。
●未登記の土地や物件は少なからず存在する
不動産の登記は、法律で義務化されていますが、登記していない土地や物件は少なからず存在します。
良くあるのが、不動産の相続時に名義変更が行われず、そのまま相続が繰り返されているパターン。
「親が祖父母から相続した」「先祖代々の土地だ」ことはわかっていても、登記簿上の所有者が数十年前に亡くなった方のままだと、「自分が正式な所有者だ」と証明できません。
未登記の土地や登記が古い土地も、地図や公図には掲載されていますし、固定資産税の通知は届くため、「まさか登記していなかったとは」と驚く方も多いです。
●土地が登記されているかどうかの調べ方
自身が所有している土地、相続した土地が登記されているかどうかは、その地域を管轄している法務局で「全部事項証明書」を取得すれば、確認できます。
全部事項証明書とは、過去から現在までの履歴を含む、不動産の登記情報全てを記載した証明書のことです。
所有者の氏名はもちろん、土地の所在地や面積、抵当権を設定している権利者がいるかどうか等も調べられます。
最大600円の手数料は必要ですが、証明書は法務局の窓口・郵送・オンラインで請求可能です。
登記していない土地は売買できる?
登記していない土地であっても、売買できます。
ただ、登記していないということは、仲介の不動産業者や買い主に対して、自身が正当な不動産の所有者だと証明できない状態、第三者がなりすましているかもしれないという状態で取引するということです。
当然ながら、売却のハードルは高くなりますし、買い主の信頼も得られにくいので、未登記の土地は、多くの場合売れません。
こうしたリスクを避けるために、土地の登記が必要なのです。
登記していない土地のデメリットとは
●売買したり賃貸に出したりできない
不動産を売買したり賃貸として運用したりする場合、「所有者である証明」を求められます。
なぜなら、万が一、所有者ではない赤の他人が、所有者になりすまして不動産を売買したり、賃貸契約を結んだりした場合、法的トラブルになってしまうからです。
誰のものかわからない不動産を買ってくれる方、誰のものかわからない土地を借りてくれる方は少ないので、持て余している土地を売ったり活用したりするなら、登記をする必要があります。
●お金を借りる際の担保にならない
登記していない土地、登記そのものは存在していても、登記簿上の所有者と現所有者が違う土地は、金融機関から融資を受ける際の担保にできません。
不動産を担保にするためには、登記に抵当権を追加する必要があります。
しかし、そもそも登記が存在しない場合、抵当権を設定できない、つまり土地を担保にできません。
また、土地などの資産を担保にしてお金を借りられるのは、契約者が返済を滞納しても、担保を売却すればお金をある程度回収できるからです。
未登記の土地、登記が更新されていない土地は、不動産市場で人気がなく、担保としての価値が低いため、担保にならないという問題もあります。
●悪意のある他人に土地を奪われるリスクがある
登記が存在しない、または登記簿上の所有者と現所有者の氏名が違う土地には、悪意のある第三者が所有者になりすまし、勝手に登記をして土地を奪ったり、売却して代金を持ち逃げしたりするリスクがあります。
登記をしていれば、仮になりすましなどの被害にあっても、「所有者の自分は売却や登記の変更を認めていない」と主張して対抗できますが、登記していない場合は権利を主張できません。
売買契約の撤回を求めたり、新たな所有者の立ち退き要求を拒否したりできないため、泣き寝入りすることになってしまいます。
●未登記のまま相続させると将来トラブルになる
登記していない土地は、売買や賃貸運用が難しいので、放置してしまうという方も少なくありません。
しかし、未登記の土地をそのまま所有し続けた場合、いずれ登記していない土地、ご自身でも処分に困る財産を、自分の子どもや家族へ相続で押し付けることになってしまいます。
登記していない土地の扱いが原因で、深刻な相続トラブルに発展する可能性があることを考えると、リスクのある不動産は放置せず、自分の代で整理することが重要です。
また、2024年の法改正により、相続した不動産の登記を変更する手続き、相続登記が義務化されました。
相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料が科せられるため、たとえ面倒でも、未登記の土地を相続したら登記しましょう。
登記していない土地を売買する際の流れ
登記していない土地を売買する際は、以下のような流れで手続きを進めます。
・全部事項証明書を取得し土地の登記を確認する
・登記を行い土地の所有者を自分に変更
・不動産業者の査定を受ける
・不動産業者と契約し土地の買い主を探す
・売買契約を締結
・代金の決済・土地の引き渡し・登記の変更を行う
トラブル予防という面からいえば、登記していない土地を買う時も、売る時も、登記をすませてから取引することが重要です。
もし、買い主として気になる土地が未登記だった場合、安易に売買契約書にサインするのは危険なので、登記以外の方法で所有権を証明してもらったり、事前に登記を変更してもらったりしてから購入を検討しましょう。
なお、土地の状態にもよりますが、一般的に土地の登記手続きに1~2週間、売却活動に3ヵ月前後必要です。
田舎や郊外の土地は、さらに時間がかかるため、余裕のあるスケジュールで売買を進めましょう。
土地の登記をする方法
●表題登記と所有権保存登記のやり方
国有地の払い下げなどで未登記の土地を手に入れた場合、土地の広さや所在を登録する「表題登記」と、所有者を登録する「所有権保存登記」を法務局で申請します。
表題登記は、土地の所有権を証明できる書類(遺産分割協議書など)や申請書、住民票、測量図等を求められ、所有権保存登記には、表題登記と同様土地の所有権を証明できる書類、住民票と申請書が必要です。
そして、表題登記は10~15万円程度、所有権保存登記は、固定資産税評価額×2.0%の登録免許税がかかります。
なお、表題登記をする際に提出する測量図は、専門知識を求められる書類なので、土地家屋調査士に測量を依頼すると良いでしょう。
●相続登記の進め方
相続登記は、相続によって手に入れた不動産の名義を、自身のものに変更する手続きです。
相続が発生することを知った日から3年以内に登記する義務があり、期限内に手続きしなかった場合、10万円以下の過料を科されます。
相続登記の必要書類は、遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本と住民票、亡くなった方の戸籍、固定資産税評価書に登記の申請書などです。
書類の提出先は法務局で、土地の固定資産税評価額×0.4%の登録免許税がかかります。
また、書類の準備や申請を司法書士に依頼する場合、別途10万円前後の依頼料が必要です。
相続人が複数名いると、遺産分割の話し合いや必要書類の準備に時間かかるため、なるべく早く手続きを始めましょう。
登記していない土地を売るときのポイントと注意点
●土地の正確な価値を見積もるために不動産業者の査定を受ける
登記していない土地を売るときに重要なのが、適正価格で販売することです。
不動産には相場があり、相場の範囲から外れると売却難易度が跳ね上がるため、業者の査定を受けて地域の適正価格を把握する必要があります。
未登記の土地を登記し、資産としての不安要素を解消すれば、市場価格での売却も可能になるでしょう。
できれば、2~3社以上の不動産業者から相見積もりを取り、相場感を掴むことをおすすめします。
●相続の場合後で揉めないように遺産分割協議書を作る
登記していない土地を相続し、売却するためには、相続人全員の同意が必要です。
遺産分割についての話し合いが長引いたり、相続人同士の関係にヒビが入って交渉できなくなったりすると、遺産分割協議・相続登記・売却手続きの全てが中断するので、相続トラブルにならないよう細心の注意を払いましょう。
また、遺産について口頭で合意を取ると、問題になりやすいです。
相続人同士の話し合いで決まったことは、遺産分割協議書という形で書面化しましょう。
●土地家屋調査士や司法書士の力を借りて登記する
登記していない土地の登記には、測量図の作成など、個人では対応の難しい書類も必要です。
時間をかければ個人でも登記できますが、スタートが遅れれば遅れるほど売買の成立も遅れていくため、忙しい方、スムーズな売買を目指す方は、土地家屋調査士や司法書士の力を借りて登記しましょう。
依頼料はかかりますが、未登記の土地は、登記したほうが売りやすくなりますし、売却価格も上げやすいです。
まとめ
登記していない土地も、自身が所有者だと証明できれば売買できます。
ただ、未登記では売買や賃貸利用も制限されますし、第三者に奪われるリスクもあるため、登記していない土地は、放置せずに登記するのがおすすめです。
土地家屋調査士、司法書士といったプロの力を借りれば、登記は比較的スムーズに終えられます。
専門家のサポートを受け、より良い売却結果を手に入れましょう。