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マンションは大規模修繕の前後どちらで売るべき?両者の違いを解説

2019.05.09

マンションは大規模修繕の前後どちらで売るべき?両者の違いを解説

マンションを売却するなら、大規模修繕が始まる前に売る方が有利です。
大規模修繕が終わるのを待てば、物件がきれいな状態で内覧を受けられますが、多くの場合、数ヶ月・数年先の大規模修繕を待つほどのメリットはありません。

ただし、大規模修繕の前後どちらの売却にも、強みがあります。
今回は、大規模修繕工事の概要と、売却タイミングによる違いを見ていきましょう。

マンションの売却結果を左右する大規模修繕とは

●建物を維持していくために必要な修繕工事のこと

マンションの大規模修繕とは、物件を長期的に維持管理していくために必要となる、定期的な大規模メンテナンスのことです。
マンションは頑丈な建物ですが、時間の経過と共に塗装が落ちたり、防水工事の効果が薄れたり、設備が劣化したりしていきます。
お手入れをしないと、資産価値や住環境が損なわれていくため、大規模修繕で物件を長持ちさせることが重要なのです。

●大規模修繕工事の頻度

マンションの大規模修繕は、10~15年ごとに行われます。
なぜ決まった周期なのかというと、単純に、マンションの塗装や防水工事の効果が、10~15年で薄れるからです。
たとえば、マンション外壁の塗装は、物件の見た目をきれいに保つだけでなく、建材を紫外線や風雨から守るという役割を持っています。
鉄筋やコンクリートで構成されるマンションは、木造住宅と違って、劣化した部分だけ取り替えるといった対処ができません。
塗料が剥がれたまま放置すると、壁がむき出しになり、ひび割れから雨水が侵入して内部の配管をサビさせたり、雨漏りの原因になったりするため、マンションを守るためには再塗装が必要不可欠なのです。

●大規模修繕工事の内容

大規模修繕では、以下のような工事を行います。
・ひび割れの修繕
・タイルの補修
・シーリングの取り替え
・外壁塗装
・屋上やバルコニーの防水工事
・給排水管の改修や交換
・エレベーターや共用部設備の点検・修繕
・インターホンや照明設備の交換

マンションの築年数が古くなると、追加で電気系統や窓、サッシの交換なども必要です。

●大規模修繕の費用は住民の修繕積立金から出る

マンションの大規模修繕は、数千万円から億単位のお金がかかる、非常に高額な工事です。
当然ながら、工事をする時に一気にお金を集めるのは難しいため、大規模修繕工事の費用は、管理組合が毎月マンション住民から徴収する修繕積立金から支払われます。

積立金が不十分だと、追加費用の負担を迫られたり、大規模修繕を見送ったりすることになり、物件の資産価値が下がるため、マンションを売るときは、修繕積立金の積み立て状況を考慮した売却プランを立てましょう。

大規模修繕の前にマンションを売るメリット

●修繕工事用の足場やシート等がなく内覧しやすい

大規模修繕前にマンションを売却するメリットは、内覧しやすいことです。
大規模修繕が始まると、マンションには足場や目隠し・保護用のシートが設置されます。
工事中は、物件の外観がわかりづらくなるだけでなく、窓からの景観が悪くなったり、部屋や廊下が暗くなったりするため、大規模修繕中の売却活動はおすすめできません。
しかし、大規模修繕の前なら、足場などを気にすることなく物件をアピールできます。

●いち早くマンション売却を進められる

大規模修繕前に売却すれば、早くマンションを売却可能です。
仮に、大規模修繕を翌年に予定している場合、売却を1年待つと、その分、マンションの資産価値が下がりますし、地域の不動産事情も変わってきます。

不動産は、立地やタイミングによって、売却価格が変動する資産です。
今売れる物件が、1年後、2年後も同じ条件で売れる保証はないので、売却を待つ理由がないのであれば、大規模修繕を待たずにマンションを現金化しましょう。

●修繕積立金の値上がりを考慮しなくて良い

大規模修繕前にマンションを売るメリットの一つが、修繕積立金の値上がりを考慮する必要がないことです。
一般的に、建物は古くなればなるほど老朽化が進み、壊れる箇所も増えて修繕費用が高くなるため、1回目より2回目、2回目より3回目に行う大規模修繕の方が、費用負担が重くなります。

そのため、大規模修繕後は、修繕積立金が値上げされることが多いです。
多くの買い主は、月々の修繕積立金や管理費込みで予算を計算します。
新居にかけられるお金に限りがある以上、修繕積立金が増額すれば、マンション価格を下げてバランスを取る必要が出てくるため、大規模修繕後の売却は損しやすいのです。

しかし、大規模修繕前なら、マンションの売り出し価格を決めるとき、修繕積立金について考える必要がありません。
早く売る分、築年数も新しいため、わずかですが、より高い金額での売却を目指せます。

大規模修繕の前にマンションを売るデメリット

大規模修繕を行う前にマンションを売却するデメリットは、物件のきれいさをアピールポイントにできないことです。
マンションは、大規模修繕をすると外観が新築同然になります。
ある程度、築年数の進んだ物件は、外壁のひび割れや塗装の色褪せなどが目立つため、買い主に好印象を持ってもらうのが難しいです。
マンションを売るためには、立地や間取り、暮らしやすさなど、見た目以外の魅力を広告や内覧で上手くアピールする必要があります。

大規模修繕後にマンションを売却するメリット

●外観がきれいなので買い主に好印象を持ってもらいやすい

大規模修繕が終わるのを待ってから、マンション売却を進めるメリットは、買い主に好印象を持ってもらいやすいことです。
大規模修繕後は、マンションの外観や共用部の見た目がきれいになるため、物件写真の写りも良くなりますし、内覧の印象も良くなります。

中古不動産市場は、ライバル物件との比較で売れるかどうかが決まる世界です。
地域に同程度の立地・築年数・価格の物件があった場合、大規模修繕済みできれいなマンションの方が、早く売却できるでしょう。

●大規模修繕済みで機能や資産価値に問題がないことをアピールできる

大規模修繕後のマンションは、外壁や防水工事をやり直しているため、構造的な問題や老朽化の影響が少ないです。
世の中には、十分な修繕積立金を用意できず、本来必要な大規模修繕ができていないマンションも少なくありません。
大規模修繕後の物件は、少なくとも一度は大規模修繕ができる程度に住民がおり、メンテナンスできているという証明になるので、長持ちするマンションを購入したい方、資産価値を落としたくない買い主の興味を引きやすいというメリットがあります。

大規模修繕後にマンションを売却するデメリット

●マンションのコストパフォーマンスが下がる

大規模修繕後にマンションを売るデメリットは、売却価格が下がることです。
なぜなら、不動産には地域ごとの相場があるから。
多くの方が、管理費・修繕積立金込み月々9万円程度の出費でマンションを買える地域では、月額9万円で買えるマンションが最も人気を集めます。
相場よりも高い物件を、あえて探す買い主はそれほど多くありません。
大規模修繕後に、修繕積立金が5,000円値上がりすると、周囲のライバル物件よりもコストパフォーマンスの低い不動産になってしまうため、大規模修繕後は売却価格を値下げすることが多いです。
しかし、マンションの売却価格を下げると、売り主の手元に残るお金が減ります。
高額売却を目指すなら、値下げの必要がない大規模修繕前に売るほうがお得です。

●マンションの売却が遅れる

大規模修繕後にマンションを売る場合、少なくとも工事が終わるまで売却活動を待つ必要があります。
中古不動産市場において、物件価格を左右するのは、立地と築年数です。
売却を待つ期間が長ければ長いほど、マンションの経年劣化が進み、資産価値も下がっていくため、マンションの売却を待つのはおすすめできません。
買った時よりも高く売れる物件は、全国的に見てもごくわずか。
多くの場合、売却を遅らせても、価格が下がって売りづらくなるだけなので、マンション売却は売りどきを考えず、売れる時に売りましょう。

大規模修繕の前後どちらでマンションを売るべきか迷ったときは?

大規模修繕の前後どちらでマンションを売るべきか迷った時は、過去の修繕履歴と、修繕積立金の積み立て状況を確認すると、判断しやすいです。
マンションは、大規模修繕を含めた定期メンテナンスを実施しているかどうかで、建物の寿命や住みやすさが変わります。

極端な話、築30年で一度も大規模修繕を施されていない物件は、大規模修繕を2回経験しているマンションよりも資産価値が低いのです。
大規模修繕が計画通り行われていない物件は、空室率が高い・修繕積立金の滞納者が多いといった問題を抱えている可能性があるため、早めの売却を目指しましょう。
逆に、大規模修繕が定期的に行われており、修繕積立金の積み立て状況に余裕のある物件は、「寿命の長い物件」「住民の質が良い物件」として売り込めるので、売却を急ぐ必要がありません。

理由がなければマンションは大規模修繕前に売るのがおすすめ

マンションを売る時は、特別な理由がない限り、大規模修繕の前に売ることをおすすめします。
大規模修繕を待っても、売却期間が短縮したり、高額売却したりするわけではないからです。
むしろ、多くの場合、大規模修繕を待つことで、売却期間が長引いたり、修繕積立金の関係で売り出し価格を下げたりすることになります。
売却を待つメリットより、早く売るメリットの方が大きいので、マンションは売りたいと思ったときに手放しましょう。

まとめ

マンションを大規模修繕の前後どちらで売却するかは、市場の状況やマンションの修繕計画、修繕積立金の積み立て状況次第です。

修繕前なら、修繕積立金の負担増を回避しつつ、マンションの早期売却が可能ですし、大規模修繕後であれば、きれいな外観をアピールできます。

マンションを売る時は、不動産業者に相談し、ご自身が最も得する売却タイミングを見極めましょう。

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