column 774. 買う&売る

土地の権利書とは?内容や登記簿との違い、紛失時の対応方法を解説

2021.11.12

土地の権利書とは?内容や登記簿との違い、紛失時の対応方法を解説

土地を売買するときは、本人確認証明の一つとして「土地の権利書」が必要です。
ただ、どこに保管したのか忘れてしまい、「権利書がない」と困っている方も少なくないでしょう。

そもそも土地の権利書とは、どんなものなのでしょうか。
取得方法や登記簿との違い、権利書を紛失したときの対処法などをまとめて紹介します。

そもそも不動産登記とは

土地の権利書は、不動産登記の際に必要なものです。
ここで、不動産登記とは何かを簡単に説明しましょう。

不動産登記とは、土地の広さや場所、建物の構造、所有者や権利関係といった情報を明確にするための国の制度です。
登記情報は法務局が管理・保管し、一般に公開されています。

土地を売買する際には、不動産登記の変更が必要です。
その際に、登記上の所有者と実質的な所有者が異なると、売却できなかったり不動産を担保にしてローンを組めなかったりすることがあります。

また、相続などで登記を更新しないまま数世代所有者が変わると、将来、自分の子孫などが登記をしたいと考えた時、手続きが煩雑になったり、権利のあいまいさに付け込まれて不動産売却詐欺に利用されたりするリスクもあります。
不動産をやり取りするときは、忘れずに登記を更新しましょう。

ちなみに不動産登記の所有者変更に関して、これまでは義務化されていませんでしたが、2026年4月1日より変更した日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられます。

土地権利書とはどんなもの?

では、土地を売却する際に必要な権利書とは、どのようなものなのでしょうか。

土地の権利書とは、「登記簿上に登録されている不動産の所有者変更手続きが終わった」ことを示す証明書のことです。
権利書とは通称で、法務局などでは「登記済証(登記完了証)」といいます。

たとえば、土地を相続したり購入したりした際など所有者を自分名義に書き換える手続き(所有権移転登記)を行うと、手続きが無事完了した証として権利書を発行してもらえます。

土地の権利書は、オンラインでも申請できます。
オンライン申請に対応するため、2005年の法改正後は12桁の英数字でできた「登記識別情報」を記して、目隠しした書類が発行されるようになっています。

どちらも名前が違うだけで、基本的には「不動産の所有者が無事変わりました」という報告書のようなものなので、受け取ったら厳重に保管しておきましょう。

●土地権利書と登記簿との違い

登記簿は不動産の登記に関する情報をまとめたものです。
一方、土地の権利書は所有権が変わったことを通知する書類に過ぎません。
権利書が土地の所有権を示すものではないことは、理解しておきましょう。

登記簿自体は公表されているため、誰でも何度でも手数料を支払えば法務局で閲覧できます。
これに対して土地の権利書が発行されるのは、手続きが終わった時だけです。

また、登記簿は法務局で保管されていますが、権利書は自宅で個人が保管するものという違いがあります。
あくまでも、登記簿という不動産に関するすべての権利関係をまとめたデータベースの「変更履歴」が権利書です。
権利書をなくしだからといって、登記簿まで紛失するわけではありません。

●土地権利書を使うのはどんなとき?

権利書は、土地の売却や譲渡、住宅ローンの契約時などに使われます。

不動産のような高額な資産は、なりすましなどによる第三者の売却を防ぐために本人確認が厳格化されています。
親の不動産を子が売却する場合でも、仲介を行う不動産業者が親と面談して売却の意思を確認するほどチェックが厳しく、本人確認なしでは土地を売買できません。

権利書を紛失した場合の救済措置も用意されていますが、権利書がない場合は本人確認に余計な時間や費用がかかってしまうので、できれば土地の売買を考えた時点で権利書を探しておきましょう。

住宅ローンを利用するには、土地や建物に抵当権を設定する必要があります。
住宅ローンを借り換える時も、抵当権を設定し直す必要があるため、土地の権利書を用意しなければなりません。

また、相続の場合は基本的に土地の権利書は不要ですが、必要になるケースもあります。
たとえば、被相続人が亡くなってから時間が経過した場合(住民票の除票が提出できない場合)や、被相続人の最後の住所が登記上の住所と一致しない場合など、被相続人の住所を証明できないケースでは権利書が求められることがあります。

土地権利書はどうやって取得する?

権利書は、土地を新たに取得した際に、法務局から一度だけ発行されるものです。
法務局で所有権移転登記をした際に交付されます。
オンラインで登記申請をする際には「登記識別情報」が窓口または郵送で交付されます。
そのため、自ら取得する必要はありません。

なお、権利書(登記識別情報)を希望しない時は、登記時に書面で申し出れば交付されません。

土地権利書を紛失したらどうなるのか

土地の権利書は、どのような事情があっても再発行はできません。
不動産の所有権を変更した時にのみ発行される書類だからこそ、所有者の証明ができるからです。

では、「紛失したら土地を売れないのか」といわれると、なくても売却できます。
土地の権利書をなくした方は、以下の方法で手続きを進めましょう。

●司法書士などに本人確認書類を作成してもらう

土地の権利書は、あくまでも本人確認書類の一つです。
つまり、紛失しても権利書と同等の本人確認ができれば土地を売却できます。

その一つの方法として、司法書士や弁護士などに本人確認をしてもらうという手続きがあります。
司法書士と面談して「登記手続きをしようとしている方は本人で間違いない」という書類を作成してもらえば、その書類が土地の権利書の代わりになります。

なお作成してもらう際には、運転免許証やマイナンバーカードといった顔写真付きの公的証明書が必須です。

本人確認の書類は、早ければ数日中に発行してもらえます。
売却を急いでいる方は、弁護士や司法書士に相談してみましょう。
ただし、依頼料がかかります。

●事前通知制度を使う

事前通知制度とは、本人限定郵便を使った本人確認方法のことです。

法務局に土地の権利書を添付せずに登記手続きの申請を行うと、「登記変更の申請があったが、本人のもので間違いないか」という内容の書類が本人限定郵便で送られてきます。
この書類が発送されてから2週間以内に「間違いなく本人です」という回答を返送すると、権利書を紛失していても登記の手続きが可能です。

司法書士などに依頼するより費用が安く個人でもできますが、「法務局で登記の申請をする」「法務局から事前通知が届くのを待つ」「届いた事前通知を一定期間内に返送する」という作業が必要な分、時間がかかってしまいます。

●公証人に本人確認をしてもらう

公証役場でも、本人確認ができます。
公証人の立ち会いのもと委任状などに署名捺印し、そこに公証人が「本人であることを確認した」という認証文を付けることで、公的に保証してもらえます。

司法書士や弁護士に依頼するよりも安い方法ですが、手続きを委任する司法書士などとは別に公証役場まで足を運ぶ必要があります。
時間に余裕がある場合に適した対処法です。

土地権利書の紛失で起こるリスクと対処法

権利書がなくても土地を売却できますが、その権利書を盗んだ人が勝手に売却するというリスクも考えられます。
もっとも権利書だけでは土地を売却できませんが、実印と印鑑証明が揃えば手続きができてしまうのです。

こうした事態を防ぐ上で、「不正登記防止の申出」または「登記識別情報の失効申出」をするという対処法があります。

不正登記防止の申出とは、第三者が不正な登記申請をした場合に通知してくれるという制度です。
仮に第三者が登記手続きをしても、通知を受けたらすぐに抹消手続きを行うことで、もとに戻せます。
なお、法務局が通知してくれる期間は3ヵ月ですが、再度申出をすれば延長も可能です。

登記識別情報の失効申出とは、権利書自体の効力をなくす制度です。
権利書を使った手続きができなくなるため、不正な登記変更を防げます。

権利書を失っても、土地の所有権まで失われるわけではありませんが、万が一に備えて法務局に申し出ておくと安心です。

●盗まれた土地権利書を悪用されるリスクは?

空き巣などに土地の権利書を盗まれてしまった場合、「土地を奪い取られるかもしれない」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、土地の権利書はあくまでも土地の所有者が変わったという証明書です。
これだけで所有権移転登記の手続きはできないので、不安になる必要はありません。

仮に第三者が自分になりすまして手続きをした場合でも、不正登記防止の申出や記識別情報の失効申出などの対策をしていれば、第三者の手続きは無効にできます。

土地権利書以外で土地の売却に必要な書類

土地を売却するには、権利書のほかにも必要な書類があります。
以下の書類も準備しましょう。

・本人確認書類
・住民票
・実印と印鑑証明書
・固定資産税等の納税通知書または固定資産税評価証明書
・測量図や境界確認書

このほか、必要に応じて不動産購入時に受け取った売買契約書や重要事項説明書などがあると良いでしょう。

登記変更の手続きは、売買契約が成立し、代金の決済が行われる引き渡し当日になるケースが一般的です。
売り主から買い主への所有権移転登記にも権利書や本人確認書類は必要になるので、あらかじめ用意しておきましょう。

土地権利書に関するよくある質問

Q.土地の権利書を紛失したら、まず何をすれば良い?
A.土地の権利書のほか、実印と印鑑証明書も紛失していないか確認しましょう。
権利書だけでは登記変更手続きはできませんが、実印と印鑑証明書が揃うと手続きができてしまいます。
これらも紛失していたら、悪用を防ぐために法務局などに相談しましょう。

Q.土地の権利書を紛失したら、どこに相談すれば良い?
A.権利書の悪用が心配な場合は、法務局に相談しましょう。
「不正登記防止の申出」または「登記識別情報の失効申出」をするなど、不正な手続きを防ぐための対処法を教えてくれます。
売却を急ぐ場合は、弁護士事務所や司法書士事務所、公証役場のどれかに連絡し、本人確認を行いましょう。

Q.登記済証と登記識別情報は交換できる?
A.登記済証と登記識別情報の交換はできません。
土地を取得したときにもらったものを利用し続けることになります。
紛失しても再発行してもらえないのと同様です。

Q.火事や災害で土地権利書が消失した場合は、どうすれば良い?
A.火事や災害で権利書を失った場合も、紛失と同じく、代わりとなる本人確認の書類を作成して対処することになります。
権利書だけでなく、実印や印鑑証明書も消失した場合は、印鑑登録廃止や改印届などの手続きも必要です。
お住いの市区町村で対応しましょう。

土地権利書は紛失しないように適切な管理が大切

権利書をなくすと、土地の売買手続きなどが煩雑になったり費用が増えたりする可能性があります。
紛失しないように、適切な管理に努めることが大切です。

保管場所を忘れないことも大事ですが、第三者に見つかりやすいところに保管すると、空き巣などが入った際に盗まれる可能性があります。
家の中で「探しやすいけど見つけにくい」場所を検討し、大切に保管しましょう。

また、名義変更の手続きは、実印と印鑑証明書も必要です。
これらを権利書と同じ場所に保管すると、一緒に盗まれて不正な手続きもできてしまいます。
できるだけ別々の場所に保管することをおすすめします。

なお、登記識別情報は12桁の英数字です。それが書かれた権利書自体が盗まれなくても、「盗み見」してメモされたら、権利書が盗まれたのと同じです。
封をしたまま、誰にも見せないように保管することも大切です。

まとめ

土地の権利書は、不動産の売却時や土地を担保にしたローンを組む時、必要な書類の一つです。
手続きをスムーズに完了させるためにも大切に保管し、必要なときに取り出せるようにしましょう。

もし紛失していても、専門家に頼んだり自分で手続きをしたりすれば、本人確認を代用できます。
とはいえ、紛失すると余計な心配や手間とコストが増えてしまうので、適切な場所で保管することが大事です。

権利書だけで、不正に不動産を売却される可能性は低いです。
なくしたことに気づいたら、まずは落ち着き、法務局や司法書士などに相談して必要な対処を進めましょう。

 

永大ハウス工業では、仙台・宮城エリアに特化した戸建て、マンション、土地など様々な不動産を取り扱っております。こだわりの物件はコチラから。

人気のこだわり物件

来店予約・見学予約・訪問査定キャンペーン実施中!お近くの店舗はこちら

今週のおすすめ物件

一覧に戻る