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column 711.
住宅ローンは繰り上げ返済するべき繰り上げ返済が得になるタイミング2020-08-21
住宅ローンを組んで家を購入するなら、「繰り上げ返済」を賢く使いこなしましょう。 そこで今回は、住宅ローンにおける繰り上げ返済の重要性や、繰り上げ返済を使うべきタイミング、住宅ローン控除と繰り上げ返済を上手に併用するコツ等を解説していきます。 繰り上げ返済とは?●毎月の返済とは別に自己資金でローンの返済を進めること
繰り上げ返済とは、月々のローン返済とは別に、手元のお金を切り崩してローンの返済を進める手続きのことです。 ●繰り上げ返済をするメリット
繰り上げ返済のメリットは、「住宅ローンの総返済金額を圧縮できる」ことです。
そこで役立つのが、繰り上げ返済手続き。
ただし、繰り上げ返済にも種類の違いがあり、どの方法を選ぶかによって家計への影響が変わってきます。 繰り上げ返済にはどんな種類があるのか?繰り上げ返済の種類は、以下の2種類です。
・返済期間短縮型:毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする ●返済期間短縮型
返済期間短縮型は、「毎月の住宅ローン返済額を変えずに返済期間を早める」という方法。 たとえば、
・借入額2,500万円
という条件で返済期間短縮型の繰り上げ返済をすると、返済期間を35年から33年3ヵ月に短縮できます。
ただし、返済期間短縮型の繰り上げ返済を利用しても、月々の返済額自体は78,000円から変わりません。 先払いする額が多くなればなるほど将来の家計に対する不安が大きくなるので、返済期間短縮型の繰り上げ返済をする場合は、「繰り上げ返済にいくら使うのか」を良く考えて決めましょう。 ●返済額軽減型返済額軽減型は、「月々のローン返済額を減らして、返済期間は据え置きにする」という方法です。 先ほども使用した
・借入額2,500万円 という条件を使って、両者の違いを確認してみましょう。 返済額軽減型の繰り上げ返済をした場合、総返済期間は35年のままですが、月々の返済額を約7万4,000円に減らせます。
ただし、返済額軽減型の繰り上げ返済で節約できる金利負担分は、約27万円。
また、変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、将来的に金利が高くなると、月々の返済額も上がってしまいます。 「出費を減らして家計を楽にする」という意味では、節約額以上の魅力があるので、家計の状況に合わせて利用するかどうかを検討しましょう。 ●返済期間短縮型は返済額軽減型それぞれどんな人に向いている?
返済期間短縮型と返済額軽減型、どちらを選ぶべきか迷った場合は、「自分にとってメリットの多い方」を選ぶのがおすすめです。 完済までの時間を早め、金利負担を大きく減らせる返済期間短縮型は、
・できるだけ早くローンを完済したい という人に向いています。 一方、返済額軽減型が合っているのは、
・転職・リストラ・病気・事故などで収入が減りそう といった方です。 どちらの方法が自分に合っているのかを理解していれば、「月々の返済額を最低限に抑えて、余裕のあるときに貯めたお金で返済期間短縮型の繰り上げ返済をする」といった、自分なりの返済プランを立てられるようになります。 住宅ローンの返済は数十年かけて進めていく長期戦なので、より負担の少ないやり方を優先しましょう。 返済期間短縮型と返済額軽減型のシミュレーション
ここでは、返済期間短縮型と返済額軽減型の違いを数字で比較できるように、それぞれの返済プランをシミュレーションしていきます。
・借入額2,500万円 ●繰り上げ返済額200万円の場合○返済期間短縮型
・総返済期間:35年→31年7ヵ月 ○返済額軽減型
・月々の返済額:7万8,000円→7万円 ●繰り上げ返済額300万円の場合○返済期間短縮型
・総返済期間:35年→29年11ヵ月 ○返済額軽減型
・月々の返済額:7万8,000円→6万7,000円 ●繰り上げ返済額400万円の場合○返済期間短縮型
・総返済期間:35年→28年4ヵ月 ○返済額軽減型
・月々の返済額:7万8,000円→6万4,000円 ●繰り上げ返済額500万円の場合○返済期間短縮型
・総返済期間:35年→26年9ヵ月 ○返済額軽減型
・月々の返済額:7万8,000円→6万円 実際には繰り上げ返済を複数回に分けて行ったり、繰り上げ返済の支払額が毎回違ったりするため、つねに同じ結果が出るわけではありません。
しかし、基本的には、繰り上げ返済の額が大きければ大きいほど、節約効果も大きくなります。 繰り上げ返済を行う上手なタイミング●繰り上げ返済は早めに始めた方がお得
繰り上げ返済は、多くの場合、早く始めた方がお得です。
たとえば、2,500万円の住宅ローンを10年返済した時点で、100万円返済期間短縮型で繰り上げ返済した場合、短縮できる金利は1年6ヵ月分です。 まったく同じ金額を出すにも関わらず、繰り上げ返済のタイミングが遅れるだけで数カ月分金利を損してしまうこともあるので、預貯金に余裕があるなら早めに繰り上げ返済を始めましょう。
長年返済を進めてローンの残債が減ってからでは、十分な節約効果も返済期間の短縮効果も望めません。 ●金利が低い場合は10年待ってから繰り上げ返済をした方がお得
残念なことに、どんな状況でも早めに繰り上げ返済をすべきというわけではありません。 繰り上げ返済よりも住宅ローン控除がお得なケースも●住宅ローン控除とは
繰り上げ返済をする上で知っておいて欲しいのが、「住宅ローン控除」という特別な節税制度。
控除できる金額は年間40万円、10年間の合計で最大400万円なので、高額なローンを組んでいる人なら、10年間で400万円もの税金が戻ってきます。 ●金利1%未満なら住宅ローン控除と繰り上げ返済を併用した方がお得
住宅ローン控除は、「毎年の年末時点で返済しきっていない、ローン残債の1%」を控除できる制度です。
金利1%未満の低金利ローンを利用している場合は、住宅ローン控除を使ってから繰り上げ返済を始めましょう。 ただし、住宅ローン控除で節税できるのは、年間40万円・10年間で400万円までです。
・4,000万円以上のローンを組んでいる という場合、住宅ローン控除の期間中に繰り上げ返済をしても、最大限の節約効果を得られます。 また、ローン金利が1%以上ある場合は、住宅ローン控除よりも繰り上げ返済を使う方がお得なので、住宅ローン控除と繰り上げ返済を併用しましょう。 繰り上げ返済をする際の注意点●使えるお金が減ってしまう
繰り上げ返済をすると、手元のお金が減ってしまいます。 ●金融機関によっては繰り上げ返済手数料が必要
金融機関によっては、繰り上げ返済をする際に手数料がかかります。 まとめ
繰り上げ返済でローンの元金を直接減らせば、ローンの返済が楽になります。
ただし、人それぞれ最適な返済プランは違います。
住宅ローンの返済は、数十年続きます。
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