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公示地価・基準地価・路線価は何が違う?それぞれの特徴をわかりやすく解説

2021.11.12

公示地価・基準地価・路線価は何が違う?それぞれの特徴をわかりやすく解説

不動産は、一般的な商品と違って同じ土地や建物に複数の価格評価が存在する財産です。
評価方法の違いを知っていると、不動産の購入時に価格が適正なのか考えられるようになったり、相続時の納税額計算をスムーズに進められるようになったりするので、それぞれの違いを押さえておきましょう。

今回は、日本における土地価格のベースとなっている、公示価格・基準地価・路線価の特徴や違いについて解説していきます。

公示地価・基準地価・路線価って何?

●国の機関によって調査・公表されている土地価格の目安

公示地価・基準地価・路線価は、毎年異なる公的機関によって調査・公表されている土地の参考価格です。
土地に対する課税や公共事業のための用地買収を行う際、時価を参考にすると年度によって同じ土地なのに税の負担が極端に上下したり、公的機関の負担が大きくなったりしてしまう恐れがあるため、国・都道府県・国税庁がそれぞれ土地の適正価格を調べて公表しています。
市場価格や納税手続きにも使われる土地価格の指標なので、公示地価・基準地価・路線価は、基本的に市場価格よりも数割程度安い金額に落ち着くのが一般的です。

●公示地価とは

公示価格とは、国土交通省によって毎年調査・公表されている土地の価値算定基準。
公的機関が公表している土地価格の中でも最も信頼性が高く参考にされているため、市場で取引されている土地の価格も基本的には公示価格を基準としています。
国土交通省の土地鑑定委員会という組織が、1月1日時点の土地価格を全国2万6,000箇所(令和2年時点)で調べて公表しているという大規模調査です。
※1 調査結果は毎年3月の下旬に発表されており、国土交通省のホームページで誰でも知りたい地点の公示価格を調査・閲覧できるようになっています。

公示価格の主な役目は、市場で取引される土地の適正な基準を定めることです。
また、不動産を鑑定したり公共事業用地の買収時の価格を決めたりする際にも利用されています。
最低2名以上の不動産鑑定士とよばれる専門家に土地の適正価格を評価させており、年度ごととはいえ景気の動向や需要の増減にも対応しているのがポイントです。
過去の公示価格も公表されているので、気になる土地の公示価格をさかのぼっていけば、数年単位で土地の需要がどのように変化しているのかもチェックできます。

●基準地価とは

基準地価とは、公示価格の都道府県版です。
公示価格は令和2年の時点で全国26,000箇所の価格を調べていますが、国とは別に都道府県でも毎年調査ポイントを決めて土地の価格を調査・公表しています。
公示価格が都市部を中心に調査を行っているのに対して、基準地価では各都道府県内の全域を対象にしているため、「公示価格では掲載されていない場所」の価格が記載されている場合があるのもポイントです。
最低でも不動産鑑定士1名以上の調査によって土地の価格を決めており、毎年7月1日時点の土地価格を9月の下旬に公表しています。

都市部など、場所によっては公示価格と同じ場所を調査しているケースもあるので、3月発表の公示価格と9月発表の基準地価を見比べると、半年間で土地の評価がどのように推移したのかを確認可能です。
公示価格の補助的な金額ということもあり、土地価格を決める場合は基本的に公示価格が優先されますが、年度半ばの土地価格を知れる点、公示価格ではわからない郊外の土地価格が分かるという点で活用されています。

●路線価とは

路線価は、国税庁によって毎年調査・公表されている土地の基準価格です。
調査を行うのは1月1日時点の土地価格で、結果は毎年7月1日に公開されています。
そんな路線価における最大の特徴は、「道路に面した土地1平方メートルあたりの地価」を算出していることです。
公示価格や基準地価は、調査地点に指定された土地そのものを一つひとつ鑑定して価格を決めていますが、路線価の場合は「この道路に接している土地は○万円」といった基準で大まかに金額を割り振っています。
約2万地点以上の調査を行っている公示価格や基準地価と比べて、路線価の調査地点は全国30万箇所以上。
道路に価値の基準を設定することで、調査地点に指定されていなくても、面積さえわかれば個別の土地価格を自分で計算できるようになっているのがポイントです。

なお、路線価は主に相続税や固定資産税の納税額を計算する際に利用されています。
相続税や固定資産税を計算する際、時価を参考にするとたまたま土地の需要が高まって地価が上がったときなどに税負担が増えてしまいますし、課税の度に時価を追いかけるのも大変だからです。
1年間固定の路線価を使って税額計算をするほうが、納税側も課税側も楽なので、課税時の基準になっています。
なお、土地を個別に見ているわけではないこと、固定資産税等の個人負担を過度に大きくしすぎるのは好ましくないといった事情もあり、路線価は公示価格の7割から8割り程度の金額です。
あくまでも「公示価格等を参考にして決める課税評価用の土地価格」なので、不動産売買の際に使われることは基本的にありません。

※1 国土交通省:地価・不動産鑑定
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

公示地価・基準地価・路線価の違い

●利用目的

公示価格・基準地価・路線価の最も大きな違いは、調査結果の利用目的です。
公示価格は、国全体、特に都市部における不動産価格の基準として公開することで不動産価格の安定化を狙っており、基準地価は公示価格でカバーしきれないエリアの地価を調べることで公示価格を補助しています。
どちらも基本的には土地の買い占めや売りしぶり等による不当な土地価格の高騰や暴落を防ぐための手立てです。
不動産の価格を決める際に困ったときは、まず公示価格と基準地価を調べると良いでしょう。
不動産の時価は公示価格・基準地価といったベースに需要と供給の影響を差し引きして価格が決まっているため、たとえば、販売されている土地がお得に見えても、公示価格より安いため何らかのマイナス要因があるといった判断ができるようになります。

一方、路線価は不動産の売買には基本的に関与しない土地の価格基準です。
土地を含む財産を相続するときや、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に固定資産税の通知を送る際、納税額を計算する基準として利用されています。
また、「道路に面する土地1平方メートルあたりの価格」が設定されているため、売りたい・買いたい土地の公示価格や基準地価がわからない場合でも、面積さえわかれば土地の評価額を計算可能です。

また、路線価は公示価格の約8割になるよう調整されているため、路線価を調べて0.8で割ると、公示価格の調査地点でない土地の公示価格もおおよそ求められるというメリットもあります。

●調査方法

公示価格・基準地価・路線価は調査方法が違います。具体的には、以下の通りです。

  • 公示価格:不動産鑑定士2名以上による標準値の鑑定結果を元に決める
  • 基準地価:不動産鑑定士1名以上の調査と公示価格の結果を元に決める
  • 路線価:公示価格を元に金額を調整して道路ごとの価格を決める

大前提として、土地の価格は公示価格によって決まっており、公示価格が対応していない範囲を基準地価で調べ、課税・納税時の手続きでは路線価を利用するという役割分担になっています。
そのため、専門家2名以上によるダブルチェックを行っている公示価格の調査が最も厳格です。
また、不動産鑑定士による調査結果の内容を確認できるよう、毎年作られる不動産の鑑定評価書も調査地ごとに検索できるようになっています。

●地価が公表される時期

公示価格・基準地価・路線価はそれぞれ年度ごとに更新されますが、公表される時期は同じではありません。
公示価格の公表時期は3月の下旬、基準地価の公表は9月の下旬、路線価の発表は7月1日です。
基準地価も路線価も、公示価格を参考にして価格を決定しているため、公示価格が最も早く発表されます。

年度途中の公示で問題ないのかと考える方がいるかもしれませんが、固定資産税の通知は毎年4月から6月頃。固定資産税の計算に使う固定資産税評価額は、公示価格の7割なので、3月に公示価格がわかっていれば手続き上問題はありません。
また、相続税の納税期限は故人が亡くなってから10ヵ月以内です。
1月中に相続が発生したとしても、7月に路線価が出て相続税額を計算できるようにすれば、納税期限まで3ヵ月の猶予を持てるように調整されています。

公示地価・基準地価・路線価はどんなときに使われる?

●公示価格と基準地価は土地売買で使われる

公示価格や基準地価は、主に土地を売買する際の参考価格として使われるのが一般的です。
公示価格や基準地価の概念を理解していると、「相場と公示価格がここ数年上昇しているため、これから先値下がりする可能性が低いので今年購入しよう」「相場・公示価格・基準地価も安定しているので、気長に売れるのを待とう」といった判断もできるようになるでしょう。
不動産売買において必須とはいえませんが、理解していると役立つ知識の一つといえます。

●路線価が活躍するのは相続税・固定資産税の計算時

路線価を利用するのは、相続税と固定資産税の納税額計算をするときです。
固定資産税については、各自治体が計算して納税額を通知してくれるため、自分で計算する必要はありません。
基本的に時価や公示価格よりも相続税路線価の方が安いので、相続税の申告・納税をするときは路線価で不動産の価値を計算するのだと覚えておきましょう。

まとめ

土地取引の基準となる国の公示価格、公示価格ではカバーできないエリアの価格を調べた都道府県の基準地価、相続税や固定資産税の計算時に用いられる路線価と、不動産にはさまざまな値付けの仕方が存在します。
それぞれの内容を知っていると不動産売買のタイミングやお得度等を判断しやすくなるので、余裕があれば売買する予定の公示価格や基準地価を調べてみましょう。

 

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