テレワークできるなら移住もあり？郊外へ住み替えるメリット・デメリット｜永大ハウス工業

職場でテレワークの導入が進んでいるなら、広々と暮らせる郊外へ移住するのも一つの手です。ただ、フルリモートワークを達成している職場はごく一部ですから、場合によっては出社や出張が必要になるため、オフィスから離れすぎた場所への引っ越しに不安を覚える場合もあるでしょう。

今回は、郊外へのテレワーク移住がありかなしかを考える際に役立つ、住み替えのメリット・デメリットをご紹介します。

●移住の理由がテレワークとは断定できない

テレワーク移住を考えるにあたって、まずはテレワークの普及によって郊外への移住者が増えているのかを考えてみましょう。結論からいうと、テレワークの普及で郊外への移住が増えたという明確なデータの裏付けは2021年の8月時点だと出ていません。なぜかというと、そもそも転出入の理由を全国規模で調査したデータがないからです。国内の人口移動を考える際、最も信頼できるデータの一つである2020年の「住民基本台帳人口移動報告」でわかるのは、「都道府県や市区町村ごとにいつ何人の転出・転入があったか」という結果だけ。そもそも、転入届や転出届けには引っ越し理由を書く欄があるわけではないので、移住の理由がテレワークなのか判別しようがないのです。

●データから見る移住の流れ

ただし、データからある程度の推察はできます。例えば、日本で最も人口が過密であり、転入数も多い自治体は東京都です。住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の転入超過数（転出者－転入者の数）は2019年から2020年にかけて5万1,857名減っています。※1

つまり、地方から東京に出てくる人数が大幅に減っているわけです。また、同調査によれば、2020年の7月・8月・11月・12月の4ヶ月は転出過多、つまり東京から出ていった人数の方が多いこともわかります。※1

東京の転出超過は月によっては数百人程度ですが、全国的に県をまたぐ引っ越しをする人数が減っている中で4ヵ月は東京から出ていく人数の方が多かったことを考えると、コロナの影響を受けて東京以外の都市に人口が分散しつつあるといっても間違いではないでしょう。

実際、転入超過数の多い市町村のトップ20を調べると、宮城県仙台市も14位にランクインしています。※1
転入超過数の上位は大阪等の大都市なので、まだ地方の郊外を対象とした移住が多いというわけではありませんが、今後さらにテレワークやフルリモートワークが普及していくことによって、地方・郊外へのリモートワーク移住が増えていく未来も十分に考えられるでしょう。地方移住がメジャーな手段になり、大都市圏の人間が次々と移住するようになると、現在手頃な価格で購入できる郊外の土地価格も高騰していきます。また、地方に移住者が増えると、条件の良い土地や物件から売れてしまう点にも注意が必要です。より良い物件や土地を抑えて郊外への移住を成功させようと考えれば、テレワーク移住が過熱する前に動き出しておいた方が良いでしょう。

※1　統計局：住民基本台帳人口移動報告　2020年（令和2年）結果
https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html

●広い家に安く住める

テレワークで郊外に住み替える最大のメリットが、住居費の節約です。土地の価格はエリアの需要や利便性によって決まるため、都市部から郊外へ移ると同じ住居費でもより広い家を選べるようになります。賃貸物件はもちろんのこと、特に大きな差が出てくるのが一戸建てやマンション。郊外なら、都市部よりも1,000万円以上安い価格で一戸建てを建てたり、築浅のマンションを購入できたりしてしまいます。

地価によって上下する固定資産税や駐車場料金等も、郊外に引っ越すことで節約可能です。一ヵ月あたりの金額では大きな差を感じなかったとしても、10年、20年と住み続けることになる以上、固定費を節約するに越したことはありません。テレワークに対応していて住む場所にこだわりがなく、できるだけ広い家で暮らしたいと考えているならテレワーク移住がおすすめです。

●遠出しやすい

郊外のエリアは、基本的に駅から遠いためアクセスが良くないと思われがちですが、インターチェンジや空港等に近い場所なら不便さを感じることはありません。運転が好き、時間やルートの決まった公共交通機関よりも車で移動したいなど、自家用車を利用した移動に抵抗がなければ郊外でも快適に生活できます。むしろ、インターチェンジや空港に近いと、家族で遠出しやすいためおすすめです。「他人と同じ空間を共有しなくてすむ」という点において、車移動は感染リスクを下げる方法のひとつでもあるため、郊外に移り住むなら積極的に車を活用しましょう。

●緑が豊富

多くの場合、大きな駅近くのエリアよりも郊外の方が自然豊かです。住宅街が多いと公園の数も揃っていますし、地価の安さを活かして大型の公園や運動施設、水族館などがあることも珍しくはありません。また、海や山といった自然との距離が近く、アウトドアスポーツやレジャーを日常的に楽しめるのもポイントです。キャンプ場や山が近くにあれば、外遊びをする際に現地までの移動時間も短縮できます。

●一戸建てなら子どもの騒音問題も気にならない

子育て世帯を悩ませる問題の一つ、お子さんたちの生活音も郊外の一戸建てなら問題になりません。階下のある集合住宅では、家の中を走り回る音や家具から勢い良くジャンプしたときの着地音、泣き声などがクレームの原因になってしまいます。しかし、郊外だと土地が安い分、隣家との距離も離れていますし、一戸建てなら階下の迷惑を気にする必要がないので、安心してお子さんを家の中で遊ばせられるのです。

自宅に庭があれば、自宅の庭でBBQやビニールプール、天体観測にガーデニングといった遊びも楽しめます。

●移住者向けの支援制度を利用できる

地方移住のメリットとして、無視できないのが各種移住支援制度の存在です。東京都を始めとした大都市と比べて、地方は人口の減少や高齢化に強い危機感を持っています。
そのため、たとえば仙台市では東京圏から仙台市へ移住する世帯に100万円、単身者に60万円の支援金を出しているのです。これらの支援制度を活用すれば、移住費用を限りなく抑えつつ郊外へ引っ越せます。住宅の建築時に補助を受けられる場合もあるため、移住先の候補を決めたら各都道府県や市区町村の支援制度について調べてみましょう。

●車の必要性が高い

バスや電車といった交通網が発達している場所もありますが、基本的に郊外に行けば行くほど車の所有が必須になってきます。移住前の段階で車を持っていない場合、車の購入費が必要になりますし、ガソリン代や駐車場代、車検代といった維持費もかかるため、移住する際は交通費がどれくらい増えるかも計算しておきましょう。場合によっては、一家に二台以上車が必要になるケースもあります。運転が苦手といった事情があるなら、交通網の充実度を重視するのがおすすめです。

●郊外ならではの人間関係に悩む場合も

都市部に比べて、郊外は密な人間関係が発生することも少なくありません。ご近所付き合いの経験が浅いと、周辺住民との距離感に悩んだり、問題に巻き込まれたりする場合もあります。都市部での生活に疲れたため、のんびりとした田舎で野菜でも作りながら過ごしたいと考える方は多いですが、都市には都市の、田舎には田舎の苦労があるため注意が必要です。

●買い物が不便

駅前等の繁華街よりも商業施設の数が少ないので、郊外への住み替え後は買い物の手間が増えてしまいます。コンビニや24時間営業のスーパーが近くになかったり、アパレルショップがなかったりするケースも多いため、基本的にはまとめ買いやネット通販の利用頻度が増えるでしょう。とはいえ、周辺の商業施設を確認したうえで住む場所を決めれば、大きな問題にはなりません。

●錦ケ丘

錦ケ丘は、仙台市の西側に位置するエリアです。仙台駅までは車で早くて20分ほどという好立地であり、市内でも有数のベッドタウンとして知られています。そんな錦ケ丘の魅力は、住宅環境の良さ。ベッドタウンとして整備されたエリアなので、町並みも整っており、病院やショッピングモールを始めとした周辺施設も充実しています。保育園・幼稚園に加えて、温泉や大きな公園にもアクセスできることから、特に一戸建てを持ちたい方におすすめです。

●仙台市内なら電車の沿線を狙うのも手

仙台市内で快適に暮らしてくことを考えた場合、仙台駅へのアクセスの良さは外せません。そこでおすすめしたいのが、「仙台駅まで乗り換えなしで移動できる駅の沿線」を狙うこと。地下鉄南北線やJR東北本線など、仙台駅へ直行できる駅の徒歩圏内なら仙台駅周辺の利便性と郊外の住みやすさを両立できます。駅によっては駅直結の大型モールなどもあるため、普段の生活面も便利です。

テレワーク移住時の物件は、ネット回線と仕事部屋を確保できるかどうかで選びましょう。速度の遅い回線は仕事の効率を大きく下げますし、仕事部屋がないと機密情報を保護できません。家族と過ごす時間を長く取るためにも、仕事の能率を高めて労働時間を減らせる間取りや立地が重要です。

また、古民家や空き家のリフォームは魅力的ですが、基礎が傷んでいると対策にお金がかかります。家を買うときは、信頼できる不動産業者を通じて安全性の高い物件を手に入れましょう。

職場でテレワークの普及が進んでおり、出社の機会が減っているなら広い家に安く住める地方の郊外へ移住するのもおすすめです。

ただし、テレワーク対応を考えるなら、高速ネット回線や仕事部屋の確保が必要になってきますし、物件の目利きも必要不可欠。エリアによってご近所付き合いの濃度や交通の便もさまざまです。安易な住み替えは失敗につながりかねないので、新生活に何を求めるのかを考えた上で移住先を探しましょう。