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不動産取得税はどうやって計算する?不動産所得税の計算方法と軽減方法

2020.09.18

不動産取得税はどうやって計算する?不動産所得税の計算方法と軽減方法

住宅を購入する人は、家が建っている土地や建物といった不動産の所有者になります。不動産を新たに取得した人は「不動産取得税」という税金の課税対象となるため、その税金を支払わなければなりません。

不動産取得税がいくらかかるか見当もつかず、不安に思っている方もいるかもしれません。しかし、実は不動産取得税の税額は、軽減措置を受けることで大幅に減らせます。ここでは不動産取得税がどのようなもので、具体的にどのようなケースで支払いが必要になるのか、税額はどのように算出するのかといった点を、順を追ってご説明します。

不動産取得税とは?

不動産取得税とは、土地や建物を手に入れたときに一度だけかかる税金です。取得する土地の地目や、建物の種類を問わずかかります。

売買契約だけでなく、贈与や交換(自分が持っている土地と相手が持っている土地の所有者を入れ替えるなどの手続き)、新築、増改築、法人への現物出資などによって不動産を取得した場合も、この税金の課税対象となります。入手の方法が有償か無償か、その不動産に関して登記があるかないかは課税の有無に関係ありません。

不動産取得税の納税先は都道府県で、不動産を入手した後、しばらくすると都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。通知書には納付書が同封されているので、それを使って金融機関やコンビニエンスストアで納付しましょう。

不動産所得税が課税されないケース

不動産取得税は一定の価値がある不動産を対象としており、免税点(標準課税額がそれ未満になる場合は、課税対象とならない金額のライン)が設定されています。そのため、「課税標準となるべき額」がそれぞれ次のようなケースでは非課税となります。

●課税標準となるべき額が10万円未満の土地を取得した場合
●課税標準となるべき額が23万円未満の家屋を建築した場合
●課税標準となるべき額が12万円未満の家屋を建築以外で取得した場合

「課税標準となるべき額」とは、不動産の評価額(固定資産課税台帳に登録された、固定資産税評価額)に軽減措置等を適用した後の金額で、そこに税率をかけて税額を算出する根拠となる数値です。

固定資産税評価額は3年に1回の見直しなので、地価が大幅に変動しても納税負担が大きくなりすぎないよう、実際の取引価格の7割程度になるよう設定されています。

また、価格に関わらず次のようなケースでは不動産取得税がかかりません。
●不動産を取得する目的が公共のためである(地方自治体が公共事業用地を取得する場合など)
●相続や法人の合併等による取得

不動産取得税の税率と軽減措置

不動産取得税は次のような数式で算出されます。標準税額は原則4%ですが、2021年3月末までの取得は特例として、宅地と住宅にかかる税率が3%に引き下げられています。

不動産取得税=課税標準額×標準税率

●土地の不動産取得税

新築住宅用敷地と中古住宅用敷地には、それぞれ不動産取得税を軽減する要件が設定されています。下記の要件のいずれかに当てはまる場合は、「4.5万円」または「敷地1平米あたりの価格×住宅の床面積の2倍(1戸につき200平米を限度とする)×3%」のうち、いずれか多い方の金額を税額控除できます。

新築住宅用敷地 ●取得から3年以内に住宅を新築した場合(1棟が100区画以上の共同住宅等であって、やむを得ない事情がある場合に限り4年以内)
●敷地取得者が敷地取得前の1年以内にその敷地に住宅を取得していた場合
●新築後1年以内の未使用住宅と合わせてその敷地を取得した場合
●新築後1年以上経った未使用住宅(平成10年4月1日以後新築)を取得し、取得者が居住する場合で、次のいずれかに当てはまる場合
・敷地と未使用の新築住宅を同時取得
・敷地取得から1年以内に未使用の新築住宅を取得
・敷地取得前の1年以内に未使用の新築住宅を取得
中古住宅用敷地 ●敷地と中古住宅を同時に取得した場合
●敷地取得から1年以内に中古住宅を取得した場合
●敷地取得前の1年以内に中古住宅を取得した場合

●建物の不動産取得税

住宅の場合、次の表に基づいて課税標準額から最高1,200万円(新築未使用の認定長期優良住宅の場合は1,300万円)が控除できます。

建物の新築日によって控除額を判断するための表が定められていますが、この表の内容は自治体によって期間の区分や金額がやや異なるので注意してください。新築住宅なら平成9年4月以降の項目に当てはまるので、基本的に1,200万円の控除枠が使えます。中古住宅の場合、新築当時の年月が当てはまる項目の控除額が適用されると考えましょう。

【新築年月日による控除額の一例】
新築年月日 控除額
平成9年4月1日~ 1,200万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円

ただし控除の適用を受けるには、次のような要件を満たしていなければなりません。

●1戸(1区画)あたりの床面積が50平米以上240平米以下(戸建て以外の賃貸住宅は40平米以上240平米以下)
●居住用である(賃貸用住宅、セカンドハウスなどでも対象)
●1982年1月1日以降に新築されていること(その時点で大幅な耐震基準の改正があったため)
●それ以前に建築されている場合、新耐震基準を満たしていること
●中古住宅の場合は取得者本人が居住すること

「1982年以降に新築されたこと」という要件がある理由は、耐震基準にあります。

建築基準法上の耐震基準は、大きな地震が起こるたびに何度も見直されてきました。近年でも基準の見直しは続いています。特に1981年6月以降に施行された改正によって大きく基準が変わり、これ以前の基準を「旧耐震基準」、これ以降の基準を「新耐震基準」と呼ぶようになりました。

そのため、1981年以前に建てられた住宅は、現在の耐震基準制度とは大きく基準が異なります。旧耐震基準が震度5強の地震を想定しているのに対し、新耐震基準は震度6以上の地震に耐えられることを基準としています。

そうした強度に不安がある建物は、国として取得を促進するわけにいかないため、そのままだと軽減措置の対象外となります。旧耐震基準の建物は、住宅ローン減税の対象にもなりません。

しかし、「耐震補強工事を済ませている」「十分な強度があることを専門家に確かめてもらった」など、新耐震基準を満たす建物なら安心して取得できます。そこで1981年以前に建てられた建物は、新耐震基準を満たしていることを証明するために、次のような書類を提出する必要があります。

●既存住宅売買に関する瑕疵担保契約証書(住宅瑕疵担保責任法人等が発行したもの)
●耐震基準適合証明書(指定確認検査機関・建築事務所に登録された建築士・住宅瑕疵担保責任法人等が発行したもの)
●耐震等級1-3級であることを証明する建設住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関発行のもの)

また新耐震基準を満たしていない中古住宅を取得した場合も、取得後6ヵ月以内に耐震工事にかかわる次のような要件を満たせば、不動産取得税に関して一定額の控除が受けられます。

●耐震改修工事を施工する
●耐震改修工事後、耐震診断によって新耐震基準に適合していることを証明する
●耐震改修工事後、取得者自身がその住宅に居住する

控除額は各自治体で定められており、新築日によって異なります。詳しい控除額を確かめたい場合は、管轄の税事務所等に問い合わせて確認してみましょう。

軽減措置のシミュレーション

それでは、実際に不動産を取得した場合、どのように軽減措置が適用されてどの程度の不動産取得税がかかるのかをシミュレーションで確かめてみましょう。以下のような共通条件を設定し、新築の場合と中古の場合、それぞれで比較します。

【共通条件】
●延床面積が120平米の一戸建て住宅
●敷地面積が200平米
●自己の居住用住宅
●土地の固定資産税評価額 1,200万円
●建物の固定資産税評価額 1,000万円

●新築住宅の場合

建物部分の不動産取得税については、新築住宅の控除が利用できます。控除額が建物の評価額を上回るため、建物部分の不動産取得税はかかりません。

【建物の不動産取得税】
(1,000万円-1,200万円)×3%=0
軽減措置がなかった場合:1,000万円×3%=30万円

軽減措置がなかった場合の税額は30万円です。

この建物は新築住宅なので、土地部分の不動産取得税には軽減措置が適用されます。ちょうど不動産取得税の金額と同額の税額控除が受けられるため、土地部分についてもやはり不動産取得税がかからないことがわかります。

【土地の不動産取得税】
税額控除額:敷地1平米あたりの価格(1,200万円÷200平米=6万円)×(120平米×2>200平米なので200平米)×3%=36万円
土地の不動産取得税:1200万円×3%=36万円
36万円‐36万円=0

軽減措置がなかった場合には土地の不動産取得税が全額かかるので、税額は36万円になります。建物の不動産取得税と合わせると、66万円もの税金がかかるはずだったということです。

このように新築住宅についてはさまざまな優遇措置が設けられており、かなり大幅な減税が受けられます。不動産取得税がかからないケースも多々あり、それほど不安に思う必要はありません。

●中古住宅の場合

今回のシミュレーションでは、2018年に新築された住宅を中古で購入したと設定します。建物部分の不動産取得税には、取得者が自ら居住する住宅であるため1,200万円の控除が適用されます。新築と同様に控除額が建物の評価額を上回るため、建物部分の不動産取得税はかかりません。

【建物の不動産取得税】
(1,000万円-1,200万円)×3%=0

このシミュレーションでは敷地と建物を同時に取得したと設定したため、土地についても軽減措置の対象となります。そのため新築住宅とまったく同じ計算式が適用でき、税額が無料になることがわかります。

【土地の不動産取得税】
税額控除額:敷地1平米あたりの価格(1,200万円÷200平米=6万円)×(120平米×2>200平米なので200平米)×3%=36万円
土地の不動産取得税:1,200万円×3%=36万円
36万円‐36万円=0

この中古住宅に関しても、軽減措置がなければ新築住宅と同じく66万円の不動産取得税がかかります。

このように自己居住用に取得する中古住宅には軽減措置が適用されるため、不動産取得税がかからないケースが多々あります。かかる場合もそれほど大きな負担にはなりません。

どうすれば軽減が受けられる?

不動産取得税の軽減措置を受けるには、手続きが必要です。土地や建物などの不動産を取得した日から概ね10~60日以内に、所管の税事務所などに申告しましょう。都道府県によって申告期限や具体的な手続き方法が多少異なるため、あらかじめ確認しておくことをお勧めします。

一般的に不動産取得税の軽減措置を受けるために必要な書類は、次の通りです。

新築住宅及び新築 ●住宅が所有権保存登記済みの場合は  A、B、C、E
住宅用土地 ●住宅が所有権移転登記済みの場合は  A、B、C、D、E
●住宅が未登記の場合は  A、B、C、F、G
中古住宅及び中古住宅用土地 ●A、B、C、E、H
A 印鑑(自署の場合は不要)
B 不動産取得税納税通知書
C 土地・住宅の売買契約書(住宅引渡証書)
D 住宅の未使用証明書
E 住宅の登記事項証明書(もしくは登記簿謄本)
F 住宅の確認済証(建築確認通知書)
※建築確認申請書副本の第2面から第4面が必要になる場合もあります
G 住宅の(建築完了)検査済証
H 市町村長の「住宅用家屋証明書」

中古住宅のうち1981年以前に建てられたものは、新耐震基準を満たしていることを証明する書類も必要です。詳しい書類の種類は、該当の項にてご確認ください。

まとめ

住宅用土地や住宅に対する不動産取得税には、さまざまな優遇措置が用意されています。自己居住用の物件であれば、中古住宅の購入でもその恩恵が受けられます。そのため不動産取得税は無料になることが多く、かかったとしてもわずかな金額で済む人が多いようです。

ただし耐震基準が今と大幅に違うような古い中古住宅を購入する場合、そのままでは優遇措置の対象とならないこともあるので注意しましょう。

優遇措置を受けるには、申請手続きが欠かせません。手続きや書類に関して不安がある場合は、不動産会社やハウスメーカーの担当者に相談してみましょう。

 

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