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マンションの固定資産税っていくら?新築中古それぞれ比較!

2020.09.17

マンションの固定資産税っていくら?新築中古それぞれ比較!

固定資産税は土地や建物といった不動産を所有する人が、毎年支払わなければならない税金です。一戸建ての住宅だけでなく、マンションを所有する人も当然支払わなければなりません。

マンションにかかる固定資産税はどのように計算し、どの程度かかるのでしょうか? 新築を購入した場合と中古を購入した場合で、実際にかかる金額を比較してみました。

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や建物などの不動産(固定資産)の所有者に対して、市町村(東京23区内は都)から課される税金です。マンションも不動産なので、購入した人は当然税金を納めなければなりません。

納税義務が生じるのは毎年1月1日時点の所有者(固定資産税課税台帳に登録されている人)に対してです。中古物件を購入した場合、日割り計算で購入した日から年末までの部分の固定資産税を清算し、買主が負担することが多いようです。住んでいる地域の商慣習などによっても取り扱いが変わってくることがあるため、不動産業者に確認しましょう。

課税対象者は所有者なので、所有するマンションを賃貸に出していて自分が住んでいない場合も、所有者が固定資産税を負担しなければなりません。

●市街化区域なら都市計画税も

市街化区域内にある土地や建物に関しては、固定資産税と同時に都市計画税も課税されます。所有する物件が市街化区域外にある場合は、課税されません。

固定資産税の計算方法

固定資産税の税額は、固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出します。税率は自治体が独自に決めることができますが、ほとんどの自治体では標準税率にならって1.4%の税率を採用しています。

固定資産税額=課税標準額×税率1.4%(標準税率)

「課税標準額」は、「固定資産税評価額(以下評価額とする)」をもとに決める課税額算出の基礎となる数字です。不動産には軽減措置や経年原価などが適用されることがあるため、固定資産税評価額と課税標準額が同じにならないことがよくあります。

都市計画区域内では固定資産税と同時に課税される都市計画税は、上限税率が0.3%と定められており、多くの市町村が上限税率を実効税率として設定しています。

●土地の固定資産税評価額の決まり方

課税標準額のもととなる固定資産税評価額は、その土地が面している道路ごとに定められている「路線価」によって決まります。

路線価には毎年国税庁が発表している「相続税路線価(国土交通省が年1回定める地価公示価格の約8割の水準に定められる)」と、各市町村が算定する「固定資産税路線価(地価公示価格の約7割)」の2種類があります。ここで用いられるのは固定資産税路線価です。

評価額は市町村によって3年に1回見直しされるのですが、3年もたてば地価が大きく変動して、本来の土地の評価額に対する税負担が大きくなってしまう可能性もあります。そのリスクを避けるため、路線価は地価公示価格の約70%に定められているのです。

実際に土地を売買する取引価格には、その年の「地価公示価格」や再開発状況など、さまざまな要因が複雑に影響します。そのため、固定資産税評価額は購入価格よりも低くなるのが普通だと考えましょう。

マンションの土地は、全住戸の専有面積の合計に対する対象住戸の専有面積の割合を算出し、それを敷地全体の面積にかけてその住戸の土地面積を割り出します。その評価額から課税対象額を算出できます。

住宅用の土地については、通常は次のような式で固定資産税が算出されます。住宅用地は200平米以下の部分に関して、「小規模住宅用地の特例」という制度の対象となるので、評価額を6分の1に減らして計算できるためです。

土地の固定資産税額=土地の固定資産税評価額(路線価)×1/6×1.4%

小規模住宅用地の特例(200平米以下の部分) 課税標準×1/6
一般住宅用地の特例(200平米以上の部分)
※ただし建物の課税床面積の10倍が上限
課税標準×1/3

200平米を超える部分に関しては「一般住宅用地の特例」の対象となり、評価額を3分の1に減らして計算できます。ただし軽減税率が適用される上限は、建物の課税床面積の10倍です。それ以上の面積の土地については、軽減税率が適用されません。店舗併用住宅であっても、居住部分の面積が半分以上ならその敷地すべてが住宅用とみなされます。

都市計画税についても、小規模住宅用地なら3分の1、一般住宅用地なら3分の2に減らして計算できる軽減措置が用意されています。

●建物の固定資産税評価額の決まり方

建物部分の固定資産税評価額は、「再建築価格」という理論上の価格から決められます。基礎や屋根、外壁、内装、設備など、建物を構成する部分ごとについて、単価と数量を計算してその合計をその建物の評価額とするわけです。

部分ごとの単価は材質ごとに評価基準に定められており、現地調査と建築図面を見ながら全体の価格が判定されます。

さらに建物は毎年劣化していくので、再建築価格に「経年減価率」をかけて、その年の評価額を算出します。経年減価補正率表は管轄の法務局ごとに定められており、たとえば、東京都の場合はマンションについて、経過年数1年だと0.9579、5年だと0.8569、10年だと0.7397などと定められています。

マンションの場合は、土地と同じく全住戸の専有面積の合計に対する対象住戸の専有面積の割合を算出し、それを建物全体の評価額にかけて課税対象額を算出します。

新築住宅であれば建物についても固定資産税の軽減措置が用意されており、課税床面積120平米までの部分については一定期間の課税標準額が2分の1に軽減されます。つまり、次のような式で税額が算出されます。

建物の固定資産税額=建物の固定資産税評価額(再建築価格)×経年減価率×1/2(新築当初3年もしくは5年もしくは7年)×1.4%

新築住宅の軽減措置
(課税床面積120平米までの部分について)
●3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅:新築後5年間
●一般の住宅(上記以外):新築後3年間
●専用住宅・店舗併用住宅(店舗併用住宅の場合、居住用部分が全体の1/2以上)
●居住部分の課税床面積が一戸につき50平米以上280平米以下
(貸家住宅の場合一戸につき40平米以上280平米以下)
認定長期優良住宅 2022年3月末までに新築した建物部分の課税標準が、5年間(マンション等は7年間)2分の1に軽減。この軽減措置を受けるためには、新築翌年(1月1日新築の場合はその年)の1月末までに申告が必要。

分譲マンションは通常、「3階建て以上の耐火構造・準耐火構造」の建物なので、新築後5年間(認定長期優良住宅なら7年間)は軽減措置が受けられます。

建物部分の都市計画税については、原則として軽減の特例はありません。ただし、市町村によっては条例で軽減の特例を設けているケースがあるので、各自治体のサイトで調べてみると良いでしょう。

新築マンションの固定資産税の相場は?

新築マンションの固定資産税は、減税措置を適用した実際の金額で10~15万円となることが多いようです。もちろん立地や専有面積の広さ、マンション全体の設備仕様などによっても大きく異なるので、あくまでも目安と考えましょう。

都市計画区域内であれば都市計画税もプラスされます。日本人は9割以上が都市計画区域内に住んでいるといわれているため、課税されるケースの方が圧倒的に多いと考えましょう。固定資産税(標準税率1.4%)が10万円の場合は都市計画税(上限税率0.3%)が2万円程度になるはずなので、計算に入れておくことをお勧めします。

●新築と中古マンションの固定資産税を比較

ご紹介したように、固定資産税には新築住宅に対する軽減措置がいくつか用意されています。そのため、同じようなマンションを購入しても、固定資産税の金額は新築と中古で変わってくるということを知っておきましょう。

建物部分は経年減価するので、築年数が進むごとに固定資産税が下がっていきます。一方土地に関しては消費されて価値が減るものではないと考えられるため、路線価が大きく変わるような外的要因がない限り評価額は変わりません。

ここで専有面積100平米、新築時の建物の評価額が1,500万円、土地の評価額が1,500万円のマンションを例に、固定資産税の具体的な金額の違いをシミュレーションしてみましょう。

土地の部分にかかる固定資産税は、建物がある限り軽減措置が適用され続けるので、下記の税額のまま変わりません。

土地の固定資産税額=1,500万円×1/6×1.4%=3.5万円

建物の部分にかかる固定資産税は、下記の式で算出できます。経年減価補正率表は、東京都のマンションに対するものを適用しました。ここでは認定長期優良住宅ではなく、一般的なマンションとするので、減税措置の適用は新築当初5年間です。

建物の固定資産税額=1,500万円×経年減価率×1/2(新築当初5年)×1.4%

以上のような計算式から、次のような結果が得られました。新築マンションの場合、実際に課税されるのは新築翌年からなので築1年から計算しています。

築年数 土地部分の固定資産税 建物部分の評価額 建物部分の固定資産税 合計納税額
新築時   1,500万円    
築1年 3.5万円 1,437万円 10.1万円 13.6万円
築2年 3.5万円 1,396万円 9.8万円 13.3万円
築3年 3.5万円 1,356万円 9.5万円 13万円
築4年 3.5万円 1,320万円 9.2万円 12.7万円
築5年 3.5万円 1,285万円 9万円 12.5万円
築10年 3.5万円 1,110万円 15.5万円 19万円
築15年 3.5万円 934万円 13.1万円 16.6万円
築20年 3.5万円 758万円 10.6万円 14.1万円

この表からわかるように、固定資産税の納税額は新築当初から徐々に減りますが、築5年を経過すると軽減措置が終わるため一気に増えます。建物の評価額はその後も下がり続けるため、築20年を経過する頃には新築当初に近い納税額になると考えましょう。

中古マンションは新築に比べて物件価格が抑えられます。しかし、5年が経過した物件については、固定資産税の軽減措置の恩恵は受けられません。取得する築年数によって、上記の表のように固定資産税がかかってきます。

また、通常は入居する日付によって日割り計算でその年の固定資産税や都市計画税の清算をする必要があります。中古マンションを購入する場合は、それらの税負担も考えておきましょう。

●新築と中古マンションの都市計画税は?

マンションが建てられる位置はほぼ都市計画区域内なので、固定資産税と同時に納税通知書が届く都市計画税についても考えておく必要があります。

都市計画税は税率が0.3%で、やはり小規模住宅用地の軽減措置が適用されるので、次のような式で土地の都市計画税額を算出できます。

土地の都市計画税額=1,500万円×1/3×0.3%=1.5万円

以上のような計算から、次のような表が得られました。都市計画税については、新築住宅に対する建物部分の軽減措置はありません。

築年数 土地部分の都市計画税 建物部分の評価額 建物部分の都市計画税 合計納税額
新築時   1,500万円    
築1年 1.5万円 1,437万円 4.3万円 5.8万円
築2年 1.5万円 1,396万円 4.2万円 5.7万円
築3年 1.5万円 1,356万円 4.1万円 5.6万円
築4年 1.5万円 1,320万円 4.0万円 5.5万円
築5年 1.5万円 1,285万円 3.9万円 5.4万円
築10年 1.5万円 1,110万円 3.3万円 4.8万円
築15年 1.5万円 934万円 2.8万円 4.3万円
築20年 1.5万円 758万円 2.3万円 3.8万円

固定資産税は「軽減措置」を利用

このように固定資産税には、さまざまな軽減措置が用意されています。それらの恩恵を受けるためには、申告手続きをしなければなりません。「固定資産税の住宅用地等申告書」を提出するのですが、提出先がエリアによって異なります。ハウスメーカーや不動産会社の担当者に確認してみましょう。

納付期限(申告期限)は、申告が必要になる事由が生じた翌年(事由が生じた日が1月1日であれば、その年)の1月末です。

固定資産税の払い方やタイミングは?

固定資産税の納税方法は年4回にわけての分割払いと、1年分の一括払いのいずれかを選択できます。分割払い用途一括払い用の両方の納付書が同封されているので、どちらか一方を使って支払いましょう。

毎年4月頃に納税通知書と納付書が同時に送られてきます。都市計画区域内であれば、都市計画税の金額も同じ通知書内に記載されるはずなのでチェックしておきましょう。

固定資産税についての注意点

固定資産税や都市計画税の納税通知書が届いたら、まず内容をチェックしてみましょう。疑問点があれば、通知書に記載されている担当部署に問い合わせることが大切です。特に次のような部分に注意してみると良いでしょう。

地目 登記簿謄本に記載されている、その土地の使われ方を示しています。地目によって税額が違ってくるので、正しい地目か確認してください。
土地の減額適用 「小規模住宅用地の特例」は200平米までの部分に、「一般住宅用地の特例」は200平米を超える部分に適用されます。正しく適用されているかチェックしましょう。
建物の減額適用 新築住宅は建物の構造によって、3~7年間建物部分への固定資産税軽減措置が受けられます。自分の家では何年間適用が受けられるのか把握しておき、正しく適用されているかチェックしましょう。

まとめ

こちらではマンションの固定資産税を算出する方法をご紹介し、新築と中古のマンションについて比較してみました。固定資産税と同時に課税される都市計画税を合わせると、かなりの出費になります。毎年必ずかかる費用なので、資金計画に盛り込んでおくことが大切です。

 

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