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売却時に払ったお金は戻ってくるの?管理費と修繕積立金の扱いを解説

2023.05.17

売却時に払ったお金は戻ってくるの?管理費と修繕積立金の扱いを解説

不動産を売却する際、管理費や修繕積立金が戻ってくるのか気になる方も多いでしょう。
マンションは一戸建てと違って、月々のローンとは別に管理費と修繕積立金を支払う必要があります。
これらのお金を敷金のようなものだと考えていると、心情的に「使っていない分は返して欲しい」と考えるのも無理はありません。

ただし、管理費や修繕積立金は、基本的に不動産を売っても戻ってこないお金です。
この記事では、管理費や修繕積立金がどういったお金なのか、売却時に返ってこないのは何故なのか、そして不動産の売却時に管理費などを滞納しているとどうなるのかについて、解説していきます。

マンションの管理費・修繕積立金とは

●管理費とは

マンションの管理費とは、マンション住民が日々快適に生活する上で欠かせない物件の清掃や設備の点検をするために毎月管理組合に徴収されるお金のことです。
エントランスや廊下の掃除を始め、エレベーターの点検や廊下に付いている照明の買い替えといった幅広い管理業務に使われています。
マンションの管理組合が管理会社に業務を委託したり、管理人を雇ったりするお金もマンション住民から集めた管理費が元手です。
管理費の金額は、共有部分の広さや戸数、築年数によって変わるため、物件によって金額が違います。

●修繕積立金とは

修繕積立金は、主に10年から15年ごとに行われるマンションの大規模修繕の費用を払えるように、管理組合に積み立てておくお金のことです。
マンションのような大きな物件は、足場をかけて外壁塗装や防水工事をやり直すだけでも莫大な費用がかかります。
修繕工事やメンテナンスのお金を一気に用意するのは難しいため、マンションでは修繕積立金という形で毎月お金を徴収し、必要なときに支払いができるようにしています。
修繕積立金がないと、マンションの定期メンテナンスを実施できず、建物や設備の劣化が進んで住みづらくなります。
マンションの資産価値を維持し、長持ちさせるために必要なお金です。

不動産の売却時に管理費や修繕積立金は戻ってくる?

●管理費は戻ってこない

不動産の売却時、基本的に支払った管理費は戻ってきません。
なぜなら、住民が負担した管理費は、日々のマンション清掃や管理業務の支払いに使われているからです。
管理費の恩恵を受けていないと思っていても、エントランスにゴミが落ちていない、夜廊下の照明が切れていない、エレベーターが問題なく動くといった形で、マンションの所有者は管理業務の利益を受けています。
管理費を払い、管理費を受け取った管理組合が管理業務にお金を使い、そのサービスを受けている以上、「管理費を使っていないはずだから返金して欲しい」と要求しても通りません。

●修繕積立金も戻ってこない

管理費と同様、修繕積立金も原則として戻ってきません。
1回目の大規模修繕工事を行う前の売却だと、「まだ使っていないなら返金できるだろう」と考える方もいるでしょう。
しかし、修繕積立金を支払った時点で、お金は自分のものではなく管理組合の共有財産になっています。
管理組合の共有財産になった修繕積立金の返金請求は、勤め先の会社から「支払った給与を返して欲しい」といわれるようなものなので、過去の修繕積立金は戻ってこないものと考えておきましょう。

管理費・修繕積立金を滞納しているとどうなる?

管理費や修繕積立金を滞納していても、不動産は売却可能です。
ただし、滞納のある不動産をそのまま売却した場合、滞納分、つまり債務は買い主に引き継がれます。
「支払うべき管理費や修繕積立金を滞納している」という事実は残ったままなので、売却後買い主に滞納分を負担してもらうか、不動産を売るときに売り主が自分で滞納分を精算する必要があります。

なお、管理費と修繕積立金を引き継いだ買い主は、売り主に対して「請求された管理費と修繕積立金の滞納分」を請求できるため、結局は売り主が滞納分を支払うことになります。
「滞納がある」ことは不動産を売却する上で物件のマイナスポイントにもなるので、基本的には不動産を売却する前に滞納分を精算しておきましょう。

まとめ

不動産を売却するとき、過去に支払ってきた管理費や修繕積立金は、原則として戻ってきません。
前納分に関しては、買い主との交渉次第で精算してもらえる場合もありますが、買い主側の手続きを減らし、不動産売却をスムーズに終わらせるため、管理費や修繕積立金の精算を求めないケースも多いです。

また、マンションの管理費や修繕積立金を滞納している場合、基本的には売却前に滞納分を精算しておく必要があります。
滞納を買い主に黙って売却しても、後日買い主から同額の請求が来ますし、「滞納がある」こと自体が物件を売りづらくしてしまいます。
管理費や修繕積立金を滞納したまま不動産を売るメリットはないので、不動産の売却時は、管理費・修繕積立金・固定資産税の滞納がないか確認しましょう。

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