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相続不動産の共有はNG!土地建物の共有で起きるトラブル事例を紹介

2022.09.27

相続不動産の共有はNG!土地建物の共有で起きるトラブル事例を紹介

遺産に一戸建てやマンションが含まれる場合、どれだけ家族と仲が良くても相続不動産の共有だけは避けましょう。
なぜなら、不動産のように価値の高い資産を共有すると、さまざまなトラブルの引き金になってしまうからです。

今回は、相続不動産の共有によって起こり得るトラブル事例の紹介を通じて、不動産を共有しない方が良い理由を解説していきます。

相続した不動産を共有するとトラブルになりやすい

基本的に、遺産相続において不動産を共有するのはおすすめできません。
なぜかというと、一つの不動産を複数の相続人で共有すると、ほとんどの場合、不動産をどう扱うか、どう管理するかで意見が対立してしまうからです。

「家を売りたい・売りたくない」「名義を持っているなら維持費も負担して欲しい・住んでいる者が全額維持費を負担して欲しい」「リフォームしたい・リフォームに同意できない」など、真っ向から意見が対立すると、意見の調整に時間がかかります。
長い目で見ると、不動産を共有せずに一人の所有物にしたり、売却して現金を相続人全員で分け合ったりした方が、トラブル予防になるのです。

トラブル事例①特定の相続人が実家に住むケース

相続不動産の共有で、非常にトラブルになりやすいのが、相続不動産に住む名義人と住まない名義人がいるケースです。
たとえば、実家に住んでいた親が亡くなったため、親と同居していた兄と、親元を離れている弟の二人でそれぞれ50%ずつ不動産の持ち分を共有することになったとします。
本来なら、固定資産税などの維持費もそれぞれ50%ずつ負担する必要があるのですが、実家に住んでいるのは兄だけなので、固定資産税は全額兄が負担していました。

ただ、相続が終わってから数年後、弟が仕事でミスをして降格し、収入が下がってしまいます。
子どもの教育費に住宅ローン、支払いのお金を工面するため、弟は「実家を売ってその代金を半分ずつ分けるか、持ち分を買い取って欲しい」と提案。
実家を売って住む場所がなくなると兄も困りますし、不動産の持ち分を買い取るだけの現金を用意する余裕がないので、兄は弟の提案を断りました。

このように、どちらかの意見を通せばもう一方が損をするケースが多くなるのが、不動産共有トラブルの特徴です。
お互い妥協ができない状況で意見が対立すると、結論が出るまで長引きますし、話し合いが長引くと兄弟仲がこじれてしまうことも少なくありません。
トラブル自体も数年越しに起きるので、「仲が良いから大丈夫」と言い切れないのが、相続不動産共有トラブルの怖いところだと思っておきましょう。

トラブル事例②共有者が自分の持ち分を勝手に売った

不動産を共有している場合、不動産全体の売却・大幅なリフォーム・建て替えには権利者全員の同意が必要です。
しかし、「自分の持ち分の売却」は自分の意思で決められます。
その結果、起こり得るのが、不動産の買い上げを狙った業者による交渉です。
共有不動産を狙う業者がほかの名義人から持ち分を買い取った場合、業者の持ち分に応じた家賃の支払いを求められたり、老朽化で相続した家に住めなくなるまで建て替えなどを拒否され、仕方なく持ち分の売却に応じようとしたら安値を提示されて残りの持ち分を買い叩かれたりすることになります。

トラブル事例③売却や建て替えの合意が取れない

民法のルール上、共有している不動産を売ったり建て替えたり空き地に新しい物件を建てたりするためには、名義人全員の同意が必要不可欠です。
つまり、自分以外の名義人の気が変わったり相手と別件でトラブルになったりすると、どれだけほかの名義人にとってお得な提案であっても、嫌がらせで提案を拒否される可能性があります。

拒否の理由が感情的な反発だと、本人同士が話し合ったところで問題解決はできません。
長い人生何が起きるか、どこで共有名義人同士の仲が悪くなるかわからない以上、不動産の共有は避けるべきです。

トラブル事例④維持費・管理費・管理の仕方で揉める

共有している不動産の維持費・管理費・管理の仕方は、基本的に持ち分に応じてすべての名義人が負担する必要があります。
ただ、不動産の維持に必要な手続きや労力、費用についての考え方は人それぞれです。
たとえば、「全員で毎月順番に実家の掃除をしにいく」と決めても、実家まで片道30分の相続人と片道4時間の相続人がいる場合、掃除の負担は公平にならないので、当然ながら不満を持つ方が出てきます。
不動産を相続した時点で、不動産の維持・管理に関するルールを書面化していればおおよそのトラブルを防げますが、一般人だと隙のない契約書を作るのも一苦労です。

相続不動産を共有する場合は弁護士等に依頼し、権利者全員が納得する契約書を作る必要があります。

まとめ

親から相続した不動産を共有すると、後々トラブルになる可能性が高いです。
相続を終えた直後は全員が納得していたとしても、5年、10年と時間が経てば遺産に対する考え方も変わります。
相続を終えた段階で法的に不備のない契約書を作り込むのも大変なので、相続財産の中に不動産がある場合は、トラブル回避のためにも名義の共有を避けましょう。

 

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