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不動産は相続前と相続後いつ売るべき?メリット・デメリットを比較

2020.12.08

不動産は相続前と相続後いつ売るべき?メリット・デメリットを比較

親や親族が財産を持っている場合、本人が亡くなると「相続」が発生します。
ただ、ここで問題になってくるのが、「不動産は相続前に売った方が良いのか、それとも相続後に売った方がお得なのか」という疑問です。

どちらも大きな違いはないと思うかもしれませんが、実は売却のタイミングによって、相続税やトラブルの起こりやすさが変わってきます。

ここでは、家や土地を売ってから相続する場合と、相続後に売る場合、それぞれのメリットとデメリットを押さえていきましょう。

家や土地を売ってから相続するメリットとデメリット

●財産を現金で残した方が分割しやすい

日本では、基本的に相続人の財産を被相続人(財産を受け取る人)で公平に分ける必要があります。
たとえば、3,000万円の財産を妻一人と子ども2人で分ける場合、割合は「妻1,500万円」「子ども750万円ずつ」です。
財産の内訳が「2,000万円の家」「1,000万円の現金」だと、妻が家を相続した時点で、子どもたちは500万円しか相続できないので損をします。

上記のような相続は、遺族同士のトラブルにつながりやすいです。
分割のしやすさを考えるなら、不動産よりも現金を残した方が良いでしょう。

●生前に売却すると3,000万円控除を使って譲渡所得税を大幅に節税できる

生前に不動産を売却すると、3,000万円の特別控除という節税策を使えます。
親族間売却では利用できないといったいくつかの条件はありますが、3,000万円の控除は節税効果が大きいです。
不動産の売却時に発生する譲渡所得税は、売却額から取得時の経費である取得費と、売却時の経費である譲渡費用を引いた黒字部分に対してかかります。
特別控除を利用すれば、利益が3,000万円以下だと問答無用で非課税になるので、利用できるなら利用するに越したことはありません。

●不動産が高く売れると相続税が高くなる

生前に不動産を売る際のデメリットは、遺産として現金が増えると相続税が高くなってしまうことです。

実は、相続税額の計算だと、不動産は現金よりも評価額が小さくなります。
たとえば、2,000万円の不動産は、相続税額の計算時に1,600万円の資産として扱われるのです。

「現金のようにすぐ使えない」「細かく分割できない」「現金化に時間がかかる」といった事情があるからこそのルールですが、不動産を現金化すると相続税の負担が増えてしまいます。
場合によっては、良かれと思って不動産を売ったことで、遺族の納税負担を増やしてしまうため注意が必要です。

相続してから家や土地を売るメリットとデメリット

●相続税を圧縮できる

相続後に不動産を売る場合、相続税の負担を抑えられます。
先ほど説明した通り、相続の段階では、財産を現金ではなく不動産のまま渡した方がお得です。
また、一部条件はあるものの、相続時に納めた税金は、不動産を売ったときにかかる譲渡所得税の取得費としてカウントできます。
相続税を納めていれば、相続後に不動産を売っても譲渡所得税を節税できるので、金銭的な負担はそれほど大きくはなりません。

●遺産の内訳や相続人の関係によってはトラブルになる

ただし、不動産を不動産のまま相続させる場合、相続人の間で不公平な財産分割が起こりやすいです。
「相続トラブルなんて多額の財産がある家の問題だ」と考えている人は少なくありませんが、実際には財産が少額でも、「不公平感」があったり相続人の間に不信感があったりするとトラブルに発展します。
相続後の不動産売却には、相続トラブルのリスクがあることを知っておきましょう。

相続トラブルの心配がないなら相続後に売るのがおすすめ

もし、相続トラブルになる心配がない場合は、一旦、不動産のまま相続してから、必要に応じて売却するのがおすすめです。
理由は簡単で、不動産を不動産のまま相続した方が相続税を節税できるから。

また、生前相続人が元気なときに売却する場合はともかく、相続が発生してから売却を始める場合、売却に時間をかけられません。
時間をかけて良い条件で不動産を売りたいなら、相続後に売った方が有利です。

投資物件や住む予定の家は売らずに持っておくのもアリ

投資用の賃貸物件や、相続後に自分たちで住もうと考えている不動産に関しては、売らずに持っておくという選択肢もあります。
投資物件は、運用次第で収入を増やせる財産ですし、自分たちで住むなら無理に家を売る必要はないからです。
引っ越し後、相続した家に住む予定がなくなったら、3,000万円の特別控除を使って節税できるので、相続後の人生設計に合わせて家や土地を売るかどうかを考えましょう。

まとめ

相続トラブルの心配がない場合、不動産は相続後に売った方がお得です。
また、相続後の売却だと時間をかけて買い主を探せるので、不動産を良い条件で売却しやすくなります。

ただし、相続トラブルは想像以上にささいなきっかけから発展するケースが多いです。
普段、仲良く過ごしていても、相続財産の分割に不公平感があるともめるので、相続に不安がある場合はあらかじめ家族で相続について話し合い、いつ売るのがお得なのかを決めましょう。

 

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