column 231.

「既存不適格建築物」の価値を底上げして高額売却する方法

2018.11.26

家の売却

現行の建築基準法を満たしていない建物、「既存不適格建築物」は、どれだけ立地や間取りなどの条件が良くても高額売却できません。不動産を高額売却できるかどうかを左右するのは、素晴らしい点がいくつあるのかではなく、欠点が少ないことなのです。

そこで今回は、既存不適格建築物の価値を底上げし、高額売却するための方法をご紹介します。

「既存不適格建築物」とは

まずは、「既存不適格建築物」とは何か、いわゆる違法建築や欠陥住宅とはどう違うのかを見ていきましょう。

●現行の建築基準法に違反している建物のこと

「既存不適格建築物」とは、

  • 家を建てた時点では建築基準法をクリアしていた
  • 住宅を建設して以降の法改正によって、現行法では法律違反の状態になってしまった

建物のこと。

国土の狭い日本では、限りある土地を有効活用できるように、建築時にさまざまな条例や法律を満たしている必要があります。
その中でもっとも重要な法律が、1950年にできた「建築基準法」です。接道義務や高さ規制、用途地域の定めなど、建築基準法のルールを守っていないと、そもそも建物の建設許可が下りません。

ただ、建築基準法は時代の流れに合わせてその都度改正されています。
法改正ごとにすべての家を建て替えるわけにはいかないので、「古いルールではOKだったが、新しいルールではNG」になってしまっている「既存不適格建築物」が存在するのです。

●違法建築と既存不適格建築物は別もの

既存不適格建築物について考える際、押さえておきたいのが「違法建築」「欠陥住宅」との違いです。
両者を区別する基準は、「自ら建築基準法違反をしたかどうか」です。

  • 建設した時点で建築基準法を守っていない
  • 法改正後、建築基準法違反になるような増改築やリフォームを実施した

ものが、違法建築や欠陥住宅にあたります。
建設の時点で建築基準法違反の住宅はもちろん、日曜大工で容積率を越えた増築をしてしまった住宅なども対象です。

そのため、既存不適格建築物を増改築したりリフォームをしたりして、建築基準法違反の状態にすると、違法建築や欠陥住宅になってしまいます。日曜大工などを趣味にしている場合は、知らない間に違法建築にしてしまわないよう注意しましょう。

●既存不適格の住宅は資産価値が大幅に下がってしまう

既存不適格建築物のデメリットは、住宅の資産価値が下がってしまうことです。既存不適格建築物の資産価値は、「現行の建築基準法を守って建て直した場合の価値」で計算します。

例えば、延べ床面積40坪で資産価値3,000万円の家があったとしましょう。
建設したときの建築基準法は守っていますが、後になって法改正が行われ、土地の容積率が元の80%に下がってしまいました。現行の基準で家を建て直すと、最大でも32坪の家しか建てられません。
この場合、建て替え・増改築・大規模リフォームすると家が狭くなってしまう分の価値を差し引いて、資産価値が2,400万円くらいまで下がってしまうのです。

間取りや内装、設備等に問題がなくても既存不適格建築物の資産価値は下がります。自由に建て替えやリフォームができず、購入できる層が絞られてしまう分、買い主探しが大変です。

既存不適格建築物をできるだけ高く売る方法

続いて、既存不適格建築物をできるだけ高く売るための方法をご紹介します。

●隣地を買収すれば大抵の問題は解決できる

「既存不適格建築物」は、

  • 容積率の低下
  • 高さ規制・斜線制限の変更

などによる「容積率・建ぺい率オーバー」であることが多いです。

家を建てた土地そのものが防火地域に指定され、防火性能の高い設備に取り替える必要があるといったケースを除くと、容積率等の問題は周辺の隣地を買収してしまえば解決できます。

広さ80平方メートルで建ぺい率が60%の土地は、住宅の建坪が48平方メートルを越えると建ぺい率オーバーです。しかし、20平方メートルある隣地を買い取ってしまえば、土地の面積が100平方メートルになり、建坪60平方メートルまでは建築基準法違反になりません。

隣地に住宅があると買収は難しいですが、空き地なら交渉次第で安く買い取れるでしょう。隣地を買って家の資産価値を底上げすれば、売却時に買い叩かれる心配もありません。

●条件によってはそのまま売れる

建ぺい率や容積率オーバーで既存不適格建築物になっている物件は、周辺地域の家に比べて広いです。既存不適格建築物は大規模な増改築やリフォーム、建て替えをしなければそのまま住み続けられるため、「広い家に住みたい」という買い主を見つけられれば交渉次第で高く売れます。

まとめ

既存不適格建築物は資産価値が下がってしまうため、高額売却を狙うのが難しいです。
しかし、隣地の買収や買い主の探し方次第で、高く売れる可能性も持っています。隣地の所有者との交渉にも、条件を絞った買い主探しにも不動産業者の協力は不可欠です。既存不適格建築物の売却をするときは、ぜひ当社へご相談ください。

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