column 218.

リースバックをする際の家賃の設定方法とは。 相場はある?

2018.11.22

リースバックをする際の家賃の設定方法

自宅をリースバックした場合の家賃(リース料)は、原則自宅の売却額によって決まります。今回は、リースバック後の家賃の決め方やその相場、リースバックするにあたっての注意点をまとめました。

リースバックの家賃の決め方

リースバックにおける家賃の決め方は、

  • 自宅の売却金額×利回り÷12ヵ月

という計算式で決めるのが一般的です。自宅の売却金額に利回りをかけ、それを12ヶ月で割ると、1ヵ月あたりの家賃(リース料)を求められます。

厳密にいえば、リースバックの家賃は家を売った人と買った人が自由に決められます。たとえば、余裕のある身内に自宅を売って、周辺の家賃相場よりもずっと安い金額で自宅を貸してもらうという契約でも、お互いが納得していれば問題はありません。

ただ、都合よく身内にリースバックを引き受けてくれるような人がいるケースは珍しいです。多くの場合、リースバックで家を購入する相手は、賃貸物件を運営する感覚で投資をしている個人投資家や、不動産会社になります。

第三者である投資家や不動産会社が、リースバックを引き受けるメリットは、リースバックで儲けが出るからです。リースバックをすると、投資家側は固定資産税や住宅の修繕費等を負担することになります。リース料をもらっても利益が出なければ、誰もリースバックを引き受けてくれません。

そのため、リースバックにおける家賃は、「投資家に利益が出る」ことが前提なので、家賃の計算式なのに「利回り」という言葉を使うのです。

家賃の相場はあるの?

リースバックの家賃は、住宅の売却金額によってまちまちです。家が高く売れると毎月の家賃も高くなりますし、売却額が安いと家賃も安くなります。

ただ、リースバックの利回りは6%前後になることが多いです。利回りのパーセンテージに決まりはないので、売り主と買い主の交渉次第で数字は上下しますが、おおよそ6%前後がお互い損をせずに契約できる金額に落ち着きます。

実際に計算してみましょう。住宅ローンを毎月7万円ずつ返済している人が、自宅を1,000万円で売った場合、毎月の家賃は、

  • 売却金額1,000万円×利回り6%÷12ヶ月=5万円

となります。自宅を売る側からすると、住宅ローン返済額より家賃の方が安くなるため、リースバックを選ぶメリットは十分です。一方、1,000万円で家を購入した投資家側は、年間60万円の賃料収入を得られます。リース期間が3年なら、1,000万円の投資で180万円儲かるわけです。ここから固定資産税等を負担しても、最終的に自宅の買い戻しで投資したお金も戻ってくるため、手元に利益が残ります。

ここで、利回りを9%に上げてみましょう。

  • 売却金額1,000万円×利回り9%÷12ヶ月=7万5,000円

利回り9%でリースバックすると、住宅ローン返済額よりも家賃の方が高くなります。売り主側にメリットがありません。また、家賃負担が高すぎると滞納のリスクは上がります。仮に1年で売り主が家賃を滞納し、退去することになると、投資家側は1,000万円投資して90万円しか回収できないのです。改めて入居者探しをする時間やコストがかかるため、利回りを上げすぎると結局、両者とも損をしてしまいます。

こういった事情から、家賃相場を左右する利回りは6%前後に落ち着くのです。

どういった場合にトラブルになりやすい?

●売却金額が高くなりすぎた場合

自宅が高く売れると、売却金額が上がってリース料も高くなります。家賃を数ヶ月滞納すると、買い戻しができなくなってしまうため問題です。

周辺の家賃相場よりも、家賃のほうが高くなるような金額で売却すると、「家を手放して賃貸に引っ越したほうがお得だった」という状況になってしまいます。

●買い戻しについてきちんと決めていない場合

自宅の買い戻しについて書面で決めていないと、トラブルになりやすいです。例えば、「○年後に買い戻す」と決めていなければ、いざリース期間が終わった際に買い戻しを拒否されるかもしれません。

また、一般的にリースバックした物件の買い戻し金額は、「売却金額の1.1倍~1.3倍」程度になるとされています。自宅を1,000万円で売って、買い戻しに1,100万円必要な場合と1,300万円必要な場合、どちらの方がお金を用意するのが大変かは、いうまでもないでしょう。

家賃が安くても、買い戻し金額が高いと自宅を買い戻せません。リースバックをするときは、利回りや契約の更新、買い戻しの金額等についても決めておくことをおすすめします。

まとめ

リースバックは、自宅から引っ越さずにまとまったお金を用意できる、とても便利な資金調達方法です。住宅ローンの返済が難しくなった際頼りになる手続きですが、リースバック後の家賃や買い戻しにかかる予算まで考えておかないと、総合的に見ると損をしてしまいます。しかし、住宅ローンを滞納しているなど、精神的にも時間的にも余裕がない状況で、これらの調整をするのは簡単ではありません。不動産売買でお悩みの際は、ぜひ当店にご相談ください。

 

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