column 185. 買う&売る

実家が空き家になったらどうすればいい?誰も住まない空き家の対処法

2016.10.24

実家に誰も住まない空家はどうすればいいの?

長期の入院・介護施設への入居・相続などによって実家が空き家になってしまったとき、「もしかしたら使うかもしれないし、できれば所有しておきたい」と考えるケースは多いでしょう。

しかし、直近で住む予定がないのであれば、住まない実家の売却をおすすめします。なぜなら、日本では空き家を所有しているだけで維持費がかかる上に、放置した空き家で何らかの問題が起きた場合は所有者の責任が追求されてしまうからです。

この記事では、実家が空き家になってしまい、誰も住む予定がない場合どうすれば良いのか、空き家を空き家のまま放置しておくとどういったリスクがあるのかなどを解説していきます。

空き家物件の多くは相続で手に入れたもの

●日本国内の空き家は年々増えている

総務省統計局が定期的に調査・公表している「平成30年住宅・土地統計調査」によると、日本国内の空き家は年々増えているのが現状です。(※1)具体的には、調査が行われた2018年時点での空き家数は全国で848万9千戸。持ち家の13.6%が空き家になっている計算です。また、空き家の割合自体も、2018年の調査結果と比べて3.6%増加しています。

全体的に、日本国内では空き家が増えているのです。実際、オリンピックに向けた土地の買収でも所有者のわからない土地や空き家の扱いが大きな問題になりました。私有財産が認められている日本では、誰かが所有している可能性のある土地は勝手に解体したり買収したりできないからです。

では、これらの空き家はどうして空き家のまま放置されているのでしょうか。

●新築志向の強い日本では古い住宅を相続しても住居として使わない

相続によって手に入れた空き家が、空き家のまま放置されている理由には、以下のようなものがあります。

理由はいくつか考えられますが、

  • 現住所や駅などから遠く、住むメリットがない
  • 住宅が古いためリフォームや建て替えを行いたいが、費用を出せない
  • 思い出が詰まっているので、できれば保有しておきたい
  • 売却したり解体したりする手続きが面倒くさい
  • 解体してしまうと税金が高くなってしまう

などが主な要因です。

なかでも多いのが、築年数の古さによる問題。先ほどご紹介した調査によると、1970年以前に建てられた持ち家取得理由の第一位は相続または贈与です。調査自体が2018年に行われたことを考えると、築年数が40年を越える古い住宅の多くが相続によって取得されていることがわかります。一般的に、木造住宅は税制上築20年前後で資産価値がゼロになりますし、古くなればなるほど問題のある箇所が増えて維持管理の労力も増えていくため、リフォーム費用も高くなりがちです。基礎を流用できるならともかく、柱や梁、基礎に問題があると解体工事と建て替えが必要になるため、古い住宅は手に入れてから住居として活用できるようにするまでのハードルが高いというデメリットがあります。

なお、持ち家の取得方法は、新築または新築住宅の購入が全体の52.7%。半数以上が新築を望み、実際に新築住宅を手に入れている日本では、そもそも相続によって手に入るような古い物件には人気がありません。手に入れても住みたいと思う人数が少ないからこそ、国内では多くの空き家が放置されているのです。

(※1)総務省:平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf

空き家を持つメリット・デメリット

●メリット①不動産を所有しておける

空き家を空き家のまま所有しておけるメリットの一つ目が、所有欲です。現時点で住む予定がなかったとしても、不動産を持っていれば将来的に利用できる可能性はあります。また、空き家の多くは相続によって手に入れたもの。幼い頃過ごしたという思い出が詰まっているだけあって、「できれば所有しておきたい」と考えるケースも多いです。実家を保持しておけば、親が亡くなっていても親族で集まる場所として使えますし、家財の片付けも先延ばしできます。仕事が忙しくて片付けの時間を取れなかったり、親が亡くなったショックを受け止めきれなかったりする場合、空き家のまま所有しておくことで問題を据え置きできる点もメリットです。

●メリット②運が良ければ高騰する可能性もある

非常に低い確率ですが、空き家を所有している内に地価が高騰し、売却することで大きな利益を確保できる場合もあります。

  • 新しく駅ができる
  • 大学や工場が建設される
  • 住みやすさランキングで上位に入った

など、特殊な事情によって土地の価値が高くなる可能性はゼロではありません。運良く持っている空き家の価値が高まれば、その分、売却したときに得をするため、空き家はすぐに売却すべきと言い切れないのも事実です。

●メリット③自己所有物件なら好きなようにリフォームや建て替えが可能

賃貸と違って、持ち家である空き家は所有者の好き勝手に利用できます。たとえば、基礎を残して内装をリフォームすれば、現代住宅に劣らない快適な住居として利用可能です。特に、地方や郊外だと土地の価格が安いため、安価で広い土地を確保できます。リフォームやリノベーションの費用を考慮しても、ゼロから土地を購入して家を新築するより安くオーダーメイドの家を建てられるので、立地に魅力を感じているなら空き家を所有しておくのもおすすめです。

●メリット④更地よりも空き家の方が維持費も安い

空き家を空き家のまま持っておくメリットとして、無視できないのが土地・建物の維持コスト。日本の法律上、土地であれ建物であれ、不動作を持っていると毎年必ず固定資産税がかかります。しかし、空き地に家を建てると、特例として土地に対する固定資産税が最大6分の1まで安くなるのです。そのため、下手に空き家を解体して更地にするよりも、老朽化した空き家をそのままにしているほうが維持費を節約できます。固定資産税は、土地や建物の資産価値に応じて金額が決まるため、地価の高い土地や広い土地を持っている場合は空き家のまま管理した方がお得です。

●デメリット①持っているだけで維持費がかかる

使っているかどうかに関わらず、毎年の1月1日時点で不動産を所有している場合「固定資産税」や「都市計画税」が課税されます。これらの税金は毎年必ず発生するため、空き家の所有期間が長くなればなるほど赤字も膨らんでしまうのです。また、そもそも住宅の維持・管理には定期的なメンテナンスや修繕が必要になってきます。外壁の再塗装や壊れた設備の修理・交換費用等も決して安い費用ではないため、ある程度住居として利用できる状態を維持しようと思ったら税金以外の修繕費も不可欠です。

●デメリット②短期間で劣化が進んでしまう

住宅は、人が住んでいない状態が続くと短期間でも驚くほど劣化してしまいます。通気がないと、湿気が溜まって建材が腐ってしまうからです。また、管理する人がいなければ、庭の雑草が生い茂って虫の棲家になったり、庭木の枝が敷地外へ飛び出て近隣住民や隣家の所有者に迷惑をかけたりすることも考えられます。

住宅や住宅環境の劣化を防ぐためには、定期的な換気や掃除が必要になるものの、不動産が遠方にあると移動の時間や交通費の負担も無視できません。住まない空き家は、金銭的にも労力的にも負担のかかる負動産となってしまいます。

●デメリット③事故が起きたら管理者責任を問われてしまう

たとえ私有地であっても、所有している敷地内で子どもが怪我をしたり事件や事故の原因になってしまったりした場合、空き家の所有者が管理者責任を問われてしまう点にも注意が必要です。たとえば、塀等を使って敷地を完全に囲んでいる場合でもない限り、不法侵入で怪我をする人が出たら十分な管理をしていなかったとみなされてしまいます。

●デメリット④特定空き家に認定されるリスクがある

長期間放置され、景観の妨げになったり近隣住民の迷惑になったりすると、自治体によって「特定空き家」に認定されるリスクがあるということも知っておきましょう。特定空き家とは、

  • 倒壊の危険性がある
  • ゴミなどの放置によって異臭や害獣・害虫が発生している
  • 地域の景観を損なっている
  • その他近隣住民の生活に悪い影響を与えている

といった状態にある空き家のことです。特定空き家に認定されると、所有者は自身の責任で建物を解体したり、適切に修繕したりすることを求められます。特定空き家の認定後も適切な対処を取らなかった場合、固定資産税の優遇解除や最大50万円以下の罰金です。自治体から「勧告」を受けた段階で税の優遇措置が外されて固定資産税が最大6倍になり、「命令」にも従わなかったら罰金の対象となってしまいます。

なお、特定空き家に認定されたことや空き家の所有者、住所等が公表される場合もあるため、風聞を気にするなら空き家を放置せずに管理するのがおすすめです。

実家を「空き家」のままにしないための対処法

●不動産を手放す

実家を空き家にしない一番の対処法は、相続した時点で売却してしまうこと。早めに売ってしまえば、空き家の管理に頭を悩ませることはありません。また、ローンを完済していると、実家の売却で多少の黒字を出せる場合があるのもポイントです。不動産売却時の手数料は、「売却代金×3%+6万円」を上限とする仲介手数料や書類の作成時にかかる印紙税などなので、多くの場合、売却代金から費用を捻出できるでしょう。

●引っ越す

思い切って現在の住まいから離れ、実家で暮らすのも一つの手です。空き家の問題は人が住んでいないからこそ起きるものなので、引っ越してしまえば後は生活していく中で管理していけます。
ただし、古い住宅だと断熱性に問題があったり、設備が故障していたりすることもあるため、必ずしもそのままの状態で住めるとは限りません。事前にリフォームなどをする場合、費用も必要ですし工事の期間を待つので入居まで時間もかかります。実家の状態や築年数を見極めて、引っ越すかどうかを考えた方が良いでしょう。

●親族に貸して賃料収入を得る

親族や知り合い、または不動産業者経由で募集をかけて賃貸物件にしてしまうという方法です。大家として設備の不良やメンテナンス費用は所有者が負担する必要があるものの、住人を確保すれば家の老朽化をある程度防げます。毎月の家賃収入をメンテナンス費用に当てれば、金銭的な負担も最小限に抑えられるでしょう。たとえ親族間であっても、場合によってはトラブルになってしまうので、賃貸にするときは不動産業者経由で契約することをおすすめします。

●更地にして駐車場にする

空き家トラブルを防ぎたいと考えており、土地を手放す予定がない場合は、実家を解体して更地にしてしまうのもおすすめです。建物がなくなると固定資産税は高くなりますが、更地にしてしまえば特定空き家に指定されるといった問題も起こりません。建物付きの土地よりも更地の方が不動産市場において人気なので、更地にした方が売却もしやすいです。また、建物がなければ駐車場等を作って運用できます。

●荷物置き場として利用する

住む予定はないものの、売却等も考えていない場合、実家を荷物置き場にしてみましょう。たとえば、夏用の衣類やビニールプール、冬用のこたつなどを実家に保管しておき、定期的に荷物を入れ替えるようにすれば実家へ通う習慣を作れます。空き家の問題は、空き家を長期間放置することにリスクがあるため、定期的に人の出入りがある状態を維持すれば問題ありません。また、雑草が生い茂らないように除草剤を使うなど、維持・管理を楽にする手立てを取るのもおすすめです。

大切なのは「空き家」を生み出さないようにすること

●実家の扱いについて家族間で話し合っておこう

空き家問題を考える際に最も重要なのは、不用意に空き家を生み出さないようにすること。そのためには、あらかじめ親が亡くなったり介護施設に入ったりした場合、実家をどうするのか家族間で話し合っておく必要があります。同時に、不動産の権利証や貴重品の保管場所等もある程度共有しておきましょう。たとえば、親が認知症になると、必要な情報を聞き出したり、親が存命の間に不動産を売却したりするのが難しくなってしまいます。親はまだ元気だと思っていても、いつ何が起きるかわかりません。突発的な病気や事故で急に親が入院することになったり、介護を必要としたりするため、不動産の扱いは早い段階で決めておきましょう。

●遺言書を作成しておこう

実家の扱いについて話し合う場合、口頭での話し合いだけでなく遺言を作成するのもおすすめです。日本の法律上、遺産の分配は故人の遺言が何よりも優先されます。事前に遺言で実家を誰に相続させるのか、相続や維持管理にかかる費用をどうやって出すのかなどを決めておけば、いざ親が亡くなった際に慌てることなく対応できるでしょう。

逆に、遺言がない状態だと相続人が集まって話し合うと、どの財産をどの程度引き取るか考える必要があるため、相続トラブルになってしまう可能性があります。家族の仲を守るためにも、不動産のような高価な財産は所有者の死後どう扱うかまで考えた上で管理しましょう。

●引っ越しを検討しているなら事前のリフォームもおすすめ

・古い
・住みづらい
といった理由で実家に引っ越したくないと考えている場合、親が生きている間に実家をリフォームしてしまうという方法もあります。新築同然にリフォームしておけば、実家を相続しても快適に暮らしていけるでしょう。

また、親が自身のお金で持ち家をリフォームしておくと、遺産の額によっては相続税の節約ができます。たとえば、現金400万円と実家を相続する場合、「400万円+実家の資産価値」が課税の対象です。しかし、400万円かけてリフォームしても、実家の資産価値は400万円高くなるわけではありません。リフォーム後の住宅を相続した方が、課税の対象額を抑えられるのです。

空き家の売却時に使えるお得な税の特例

不動産を売却すると、本来なら不動産の売却益に対して「譲渡所得税」という税金がかかります。しかし、「相続した不動産を売却するときに3,000万円控除できる制度」を利用すれば、譲渡所得税の大幅な節税が可能です。ただし、相続した不動産を売却するときに使える3,000万円控除には、以下のような利用条件があります。

  • 相続から3年以内に1億円以下で売却している
  • 1981年5月31日以前に建てられた住まいである
  • 区分所有建物登記されていない
  • 相続の直前まで親が住んでいた
  • 相続が始まってから賃貸していない
  • 一定以上の耐震性能を満たしている

まとめ

実家が空き家になってしまった場合、長期間放置すると近隣住民に迷惑をかけたり特定空き家に認定されて税金が高くなったりしてしまいます。住まない家を長く放置するメリットはないので、空き家を生み出さないように売却や解体工事等の準備を整えておきましょう。

ただし、実家をどうするか家族で話し合っていないと、トラブルになるリスクも存在します。持ち家がある場合、親が元気な内に相続について話す機会を作り、不動産の扱いを決めておきましょう。

 

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